2006年10月03日

安倍政権 静かな船出

 「寝る」、「さぼる」、「手を抜く」という最も安直な療養でだいぶ持ち直しました。早乙女流奥義「敵前大逆走」なみにすちゃらかな「治療法」ではありますが。完全に復調するところまではゆきませんが、だいぶ体が楽になりました。もっとも、ボロボロだったのが、ヨタヨタになった程度ではありますが。副作用で睡眠時間が短くなりましたが、これまで寝すぎたからでしょうか。ご心配をおかけした方々には心よりお詫びいたします。

 寝不足気味なので、やや暴走気味かもしれませんが、2006年10月2日の代表質問をネットのライブラリーで見た感想です。

 国会での代表質問ですが、民主党および支持者の方には誠に申し訳ありませんが、鳩山幹事長の質問は飛ばして、安部総理の答弁だけを聞いていました。失礼ながら、常識的な答弁でした。極東軍事裁判を裁判として受け入れるというあたりは、一部の失望を買いそうですが、総理の発言としてはこれでよいと思います。某テレビ朝日の番組の神学論争で十分、うんざりしたので神学論争はもう政治の場では勘弁。歴史家や歴史好きな方が議論すれば十分でしょう。こんなことは政治問題化することではないと思います。

 さらに「主張する外交」の大枠が見えてきて興味深く思いました。日米同盟を基本としてアジアでの安定をはかる。どっかの番組の司会者なら「優等生」と毒づくのでしょうが、現実政治の場に劣等生は不要。さっさと退場していただくまでです。例によって報道は外交交渉のことばかり論じるのですが、基本政策についてはあまり伝えない。私が知りたいのは、実務に携わったことがない素人にはわからない外交の機微への感性を要する細かな交渉ではなくて、外交の基本政策です。メディアでは肝心の部分がまったくわからず、どうでもいいことばかりが書いてある。メディア不要とは言いませんが、小泉政権以上に安部政権ではトップの発言を直接、聞くことが大切だと思いました。

 「美しい国」や「A級戦犯問題」での答弁を聞きながら、安部総理はやっぱり「常識人」だなあと思う反面、個人と国の関係がまるで復古調ではないので興味深かったです。派手な表現や名言・格言の引用はほとんどなかったのですが、それゆえに自分でしっかりと考えて言葉にされているのが伝わってきます。小泉総理は発足当初の期待値が高かったがゆえに、その後、失望も多く感じましたが、安部総理も世間の期待値が高いけれども、ほどよい湯加減で安部流が貫ければ、期待が信頼に変わるだろうと思います。まだ、出航したばかりで前途はわかりませんが、「変人」政権は楽しみも多かったけれども、疲れることも多かったのに対して、「常識人」政権は疲れず、肩に力が入らず(ふっとした瞬間にど真ん中を投げてくる感覚はありますが)、熱狂を生むこともなく、この感覚を維持していただければ、私みたいな市井でのおのおと暮らしている人間には実に歓迎すべき政権です。ただし、「常識人」内閣というのはあくまで現時点での評価です。「復古」主義(復古主義一般は否定しませんが)の感覚にはついてゆけないので、それを感じたら、共感が薄れてゆくでしょう。

 ただ、集団的自衛権の行使に関する解釈をまともにするためには、野党がしっかりしてもらわないと困ります。安倍総理が右を向けば左を向き、左を向けば右を向くようでは、お話にならない。妥協ができなくては国会などただの討論ごっこになってしまいます。この件に関しては安倍総理が譲歩するのではなく、野党の側が明確なコンセンサス形成に参加していただきたいと思います。外交・安全保障に関して妥協をして社民・共産はともかく、民主党はえるものはあっても、失うものはあまりないでしょう。安倍政権が飽きられれば、政権交代も見えてくる。日米同盟を強化しつつ、アジア諸国の独立を間接的に擁護することが、党派を超えてコンセンサスになることが、最終的な「戦後レジーム」からの脱却だと考えます。

 大正・昭和の言論の暑苦しさと明治の自由闊達さを対比する方も多いのですが、幕末も空理空論がはびこった時代です。明治の前半は、その後片付けに追われたといってもよいぐらい。いつの時代も空理空論絶えず、それでいちいち滅んでいたら、戦後などは何度、滅んでいたかわからないでしょう。さらにいえば、「イデオロギー・フリー」というのは言論人の夢でしょうが、言論界などほとんどご縁のない私には無理でしょうなあと不届き千万なことを考えてしまいます。政治家の党派性と言論人のイデオロギーは、別の問題であってそれに気がつかない言論人は政治家に利用されるだけの話です。政治家が言論人に振り回されるようになっては、尻尾が犬を振るようなもの。言論界の方には失礼ですが、言論のほとんど(すべてではありません。例外も少なくないですが。名指しするのはいやらしいのでしません)は、後付け・後講釈です。そうであることを恐れる言論人は馬鹿げている。理屈は後からついてくる。そうでないと言い張るのは、個人の自由ですけどね。

  あんたはどうなのって?

  「寝言」ですから。理屈も何も面倒なことはありません。

 という訳で、「常識人」内閣にホッとしたところで、復調を期してお休みします。動悸はおさまったのですが、今度は異常に眠いです。仕事という名の借金がたまる一方なので、寝ている場合ではないのですが。デフォルトするぞと脅しながらリスケを計るなどと不届きなことを考えながら、とりあえず、寝ます。