2007年02月07日

ずれた人から見た医療の「現場」(前編)

 雪斎先生が「不愉快な話」を書かれていて、あっという間にコメントが5件(雪斎先生のコメントを除く)がつくのを見て、「時の最果て」はやはり過疎ブログなのだということを実感いたしました(コメントを賜っている方に心より感謝いたします)。ふと記事を拝読していて気になったのが、「若い」女医さん。「先生」と現場で呼ばれる方の多くは、年齢と経験に相関があって年配の方ほど安心感があります。副鼻腔炎でかかった耳鼻科の先生は40代の男性でとても怖い先生(患者に向かって大声で怒鳴りつける)だったのですが、おっしゃることを聞いているとちゃんと筋が通っているので怒鳴られるのを我慢して指示通りに通院して薬を飲んでいたら、1年ほどで完治しました。地元ではけっこう評判がよくて、いつも混んでいました。医療機関に従事している方には申し訳ないのですが、若い先生に当たると、ちょっと怖い。雪斎先生の記事のコメント欄を拝見すると、医療行政の「失政」のおかげで医者からすると、「安かろう、悪かろうの上に多忙なんだから、これぐらい我慢しろ!」ということらしいので、とりわけ都市部ではますます医療機関、医師の選別が進むのだろうなあと思いましたね(遠い目)。

 ただ、「若い」からダメというわけでもなく、医師の良し悪し(「相性」もあるので難しいのですが)は、若いうちでもはっきりでてきます。悪い例は、血栓性静脈炎にかかったときの外科の女医さんでした。推定年齢、20代後半。はっきり言って美人です。ただ、私の好みではない。それはおいておいて、紹介してくれたお医者さん(開業医)が血栓性静脈炎の疑いありとの趣旨の診断書を送っているにもかかわらず、触診をして体温を測って血液検査をやり、それでも首をかしげていて、こちらが不安になってしまいました(体温が37.1℃で微熱気味だったんで迷われた御様子。平熱を尋ねられないので、こちらからいうべきだったのかもしれませんが、起床時を除くと、だいたい36.5−36.8℃程度なので、誤差の範囲じゃないかと思うのですが。自分で触っても右足と左足の温度差がわかるぐらいなので「バ○ひいちゃったな」と思いました。左足が冷え切ってました)。しきりに外科部長と相談して蜂窩織炎だと主張している御様子。言いにくいのですが、開業医の方は触診をした瞬間に顔が蒼ざめてふだん見たことがない表情で緊急事態となったのですが、総合病院はなかなかのん気でありまして、触診を何度も繰り返しても、答えが出ない御様子。けっきょく、部長が直接、診断して血栓性静脈炎と蜂窩織炎を併記した診断となりました(まあ、戦前の国防方針みたいなものですな。要は、内部で面子を立てて両論併記。この場合は、最悪、私がくたばれば済む話ではありますが)。ちなみに開業医の方は、照会先の病院で医師を特定していたのですが、診療時間に間に合わなかったために、この女医さんが担当医になりました。

 さらに一週間ベッド上安静という措置をとったので体臭がどうしてもきつくなります。今でも覚えていますが、この女医さん、汚いものに触るかのように触診をしていて、臭いに耐えられなくなったのか、途中から若い男性の医師を連れてきて自分では触診をしなくなりました。「カノッサの屈辱」なんてかわいいものです。あるスイッチが入ると、雪斎先生のように紳士ではないので女性が相手でも容赦がなくなってしまいます。「屈辱」を晴らすべく(というより「誤診」一歩手前までゆくし、殺されるんじゃないかと思いましたが)、奇策を打ちました。

 まずは、看護婦さん。看護師というのが適切なのでしょうが、入院先では女性しかいなかったので旧称でまいります。こういう話に突っ込みたい、お暇な方はお好きにどうぞ。入院経験がない方は不謹慎なことを考える方が少なくないようですが、お世話になると、本当に「3K」(不適切な表現かもしれませんが)だなあと思います。まず、同世代ぐらいで機微がわかりそうな方を選んで、気軽に相手が愚痴を言える関係を構築しておきました。その後、ごにょごにょと聞き出して外科部内で医師どうしの力関係を確認。見かけほど長に信望がないのと、女医さんが長と今一つということも抑えて、最初に紹介していただく筈だった先生と「同盟」を結びました。もちろん、その先生はまともな方なので同僚の悪口は言わないのですが、入院を引き伸ばさないように尽力していただきました。かんべえさんには百年かかってもおよぶことはないのですが、ほんのちょっとだけ性格が悪い私は、歩けるようになると外出届などを担当医ではなく、「同盟」関係にある先生に出しました(担当医の同意が必要なのですが、相手にしないという作戦。要は、「じらし」)。

 さらに、造影のときに足の指から点滴で造影剤を入れるのですが、担当医が点滴で(もう信じられないぐらい下手くそ)失敗すると、最初は大袈裟に痛がって徹底的に「じらし」。これは効きますね。焦る、焦る。足の指へ点滴するのは難しいので、仕方ない部分がありますが。5回失敗して(右足の親指から血がにじんでいました)「降板」させて「同盟」関係にある先生になると、本当は滅茶苦茶痛いのですが(ただし一発で成功)、おくびにも出さず、上手だなあというそぶり。左の足の指の番になって担当医がもう一回自分がやるというのでどうぞと思いつつ、3回目に失敗したときに(痛いのをこらえて)わざと「くすっ」とやると、担当医が「その笑いはなによ!」とキレて周囲の医師と看護婦の失笑を買って完全に降板。こっそり、ちゃっかり目立たぬよう、看護婦さんにはこれでもかというぐらいお伺いを立て、指示に完璧にしたがって「あの患者はものわかりがよくて楽」という評判を立てておきました。このあたりはある種の「保険」で、担当医に「たてつく」患者というのは扱いが悪くなるリスクが高いので、細心の注意が必要です。定期的に血液検査を行うので担当医と接触する機会が多いですからね。

 この記事自体、本当にどうでもいいのですが、お見舞いにくる方は本当に素晴らしい方ばかりで、「こういうときこそ人生の大事がわかるとき」などと言いながら、「あの先生きれいだね」と大きな声で言った後に耳元で「一人だと寂しいだろう」とか中には「あの女医さんと○発やったんだ?」(←ここは、状況によってはコップの水をぶっかけるイベントが入りますが)などということを囁く方が多く、知己に恵まれたと涙ぐみました。これもチャンスでありまして、「いやいや私には高嶺の花ですよ」と看護婦さんに聞こえるように言うと、事情がわかっている方なので思わずニヤニヤしていました。ハサミと「失言」は使いようとしみじみ学習したものです。

 そうこうするうちに、「担当医」は名目だけになり、「同盟」関係にある先生がうちではこれ以上の診断は無理だから権威筋の御判断を頂きましょうということにして「脱出」に成功しました。最後の方は、仕掛けた方が気の毒なぐらい、干されてましたな(他にも失敗を繰り返してプライドがずたずたになって別の病院に移ったそうです)。ま、こちらも命がかかってるんで御容赦いただきたいですけどね。入院する際に散々、外科部長に「通院でも治ることは治るけど、死亡することがけっこうあるし、責任はもてないなあ」と脅されましたから。

 とどめは、保険会社に送る書類。さすがに、これはまさに「ホンマに」ドン引きしましたが、担当医が書いた書類で「血栓性静脈炎」の「炎」の字が「災」になっていたことです(この担当医にあたったことが私にとって「災」いだったことを暗示しているような誤字でちょっと感心してしまいました)。私も字が本当に汚いのでえらそうなことは言えないのですが、解読が必要なほど字が汚い。おまけに、日付の記載に矛盾があってこれはさすがにまずいだろうと思って保険会社の担当者に問い合わせたら、一瞬、間があって(たぶん後頭部に鈍(以下略))「しょうがないですよ。そのまま送って頂いてかまいません」。さすがに書類を往復させるコストが高いと見たのか、諦念ムードでしたね。ちなみに、この保険に加入申請したのが2月。契約の発効が5月1日で8日に入院したので「疑惑の目」で見られていましたが、あまりの展開に「お命が無事で何よりでした」と感情と勘定をこめて漏らしていたのが印象的でした(死亡時保険金が父上の懐に入るのがちょっとだけ寂しいです)。基本的には電話での事務的な処理なので担当者が感想を漏らすことはないのですが。まあ、医学部をでて国家試験(合格率が司法試験に比べてべらぼうに高い、きっと、アーパーな文科系には想像がつかない、とてつもなく優秀な方しか受けていないのではないかと思われる試験)を通っても、漢字すらまともに書けないお医者様がでてるんですね。

 お医者様には責任がないのでしょうね。すべては厚生労働省が悪い。なにかあったら、役所が悪い、自民党が悪い。のどかで、お気楽な時代だなあと思いますね。

 …。治療を受ける側からすると、「自主防衛」しかないですね。行政が適切な対応をしたとしても、効果がでるまで時間がかかるでしょうし。勤務条件の悪化は少なからぬ他業種で勤務されている方々が経験していると思いますが。「安かろう、悪かろうでくそ忙しいのだから、我慢しろ!」と言われれば、「悪い」なりに「マシな」医療機関、医師を選ぶしかありません。露骨に言ってしまうと、いくら匿名とはいえ、私だったら本業に関してこんなことは書けないですね。私が医療に従事していたら、「改革」、「改革」っていうわりによくならないじゃないかぐらいの皮肉は書くかもしれませんが。

 続いて楽しい話を書くはずでしたが、長くなってしまいましたので、今日はここまで。余談ですけど、内科の先生は私の知っている範囲ですが、政治感覚が高等で、いつも話をすると、医療行政の不備が問題だという気分にさせられるのですよね。「まあ、医者も困ったのがおるんですよ」とこちらが「いえいえ、とんでもない」という気分になった後で飄々と諧謔を交えて事実を語るので、勉強になります。冗談ではなく、まじめに医療制度改革の方向を転換する必要があると親しくさせていただいているお医者さんのお話を伺ったときには感じるのですが。医者でも文化の違いがあるのでしょうか。明日は、楽しい「出会い」がテーマです。若いお医者さんにも、ちゃんとした方がいらっしゃいます。

 ここでようやく今日の「寝言」ですが、すべては私の好みではなかった瞬間にことが決していたと思います。それがすべてだったような気がしてなりません(なんのこっちゃ)。

(蛇足)

 「不幸自慢」で私に「勝つ」のはなかなか厳しいと雪斎先生に「警告」しておきましょう(「本当にどうでもいい寝言」なので獅子咆哮弾はでませんよ)。たぶん、この記事にコメントがつくことはないでしょう。ただ、「極悪」、「非道」ではかんべえ師匠、雪斎先生にははるかにおよばず、「坂の上の雲」を眺めている、そんな気分になります。
posted by Hache at 00:07| Comment(2) | TrackBack(0) | 気分しだいの寝言