2007年02月08日

ずれた人から見た医療の「現場」(後編)

 ふわあ。時の賢者様の癖が移りそうですが、退屈な作業をひたすら続けていると、本当に自分の人生が寝言のように感じます。まあ、冷静に自分を振り返ると、わが歩みこそ、「寝言」、あるいは悪い冗談みたいなものですな。「冗談は顔だけにしろ!」と自分で自分に言い聞かせる毎日です。とあるブログのコメント欄(って既に遅いか)を拝読しながら、ついつい悪乗りしてお医者さんをからかいたくなってしまいました。よく考えると、お医者様には散々、お世話になっているのにひどいことばかりしております。

 前にも書いたような気がするのですが、数日頭痛がひどく、あるとき突然、動悸が激しくなって意識が朦朧とし、そのままぶっ倒れてしまいました。救急車でかつぎこまれて勤務先にも迷惑をかけてしまったのですが、病院によると過労とのこと(その後、パニック症候群という診断を受けましたが、再発はなし)。CTスキャンでは異常なし。ただ、めまいがひどいので念のため、脳のMRIをとって置いたほうがよいといわれて、物珍しさもあって受診してみました。結果は「シロ」。診断して頂いた先生が同じ大学の出身だったこともあって、軽口をいろいろ叩かれて、「意外と医者も暇なんだな」と思いました。めまいの種類についても、詳しく説明して頂いて、勉強になりました。30分もたつと話題もなくなってきて、そろそろ終わりかなというときの会話が以下の通りです。

先生:というわけで、結論として、脳は真っ白、異常なしですよ。
:ありゃま、それって使ってないという意味ですか?
先生:またまた。さてっと、他に悪いところはないですな。
:…。実は、他ならぬ先生にだけ打ち明けたいことがございます。他人には言えない悩みがあるんです。
先生:(さすがに表情が真剣になる)悩みとは?
:…(間をおいて)子供のときから、頭が悪くて悪くて、本当に困るんです。先生!治していただけないでしょうか?
先生:…。(ぽかーん)…申し訳ないですが、こればっかりは…。使っていただくしか…。あのお、そのお、まあ、私もいろいろと。…。それでは、そろそろいいですかな?
:ありがとうございました。

 こうやってお医者様の労働条件の悪化を加速させる最悪の「患者」であります。実は、もっと面白いこと(それまでの話が楽しかっただけに)をおっしゃるかと思いましたが、残念ながら「同類」ではなかったようで、私が「衝撃の告白」をした瞬間に、本当に口をあんぐり開けられて頭が白紙になって、落ち着いたところで「ネタにマジレス」をされてしまい、バツの悪い思いをいたしました。「いっぺん死んで来い!」ぐらいは全然、セーフだったんですが。なんだか、私がとっても悪い人みたいじゃないですか(なんだか日曜日以降、ずいぶん老け込まれた大人らしくなってしまったご様子。あんな国会見てられるかってとかでしょうかね。それとも「中韓でも」発言がヤバイ?ちなみに「テロ」の催促ではないので、文字通り読んでいただければ幸いです。ちと過剰防衛か)。

 え゛っ!自覚が足りない!?

 ワターシ、ニホンゴ、ワカリマセン。

 …。さて本題ですが、この「連載」(?)のスイッチとなるキーワード、「若い『女医』」。正直、入院して以来、女医だけは勘弁と思っていましたが、菩薩のような方がいらっしゃいました。推定年齢、28歳(当時 根拠なし)。勤務先の健康診断を受けられなかったので直接、病院で受診したのですが、最後の「お約束」内科検診。たいてい、男の先生が面倒くさそうに、「はいシャツ上げて」で聴診器を当てて、「なんかありますか。ないですね」で終わりです。作業を終わらせるべく、ドアを開けると…。失礼ながら、絶世の美女ではないのですが、まさに理想の方がそこに。知的だけれども知性をあからさまに顔に出すことを抑え、上品だけれども相手を突き放すような印象を与えない方がにこやかにいすに座っておられました。検診なんておまけみたいなものなんですが、このときは天にも昇る気分。

 「検査の後でお疲れだと思いますが」となんともありがたいお言葉。書類を見ながら、「血栓性静脈炎で怖い思いをなされたでしょうが、予後はいかがですか」。もうこの一言で信頼しました。「(よそでも)診断されているとは思うので、差し出がましいようで申し訳ありませんが、念のため、聴診しますね」。もう、こうなると、シャツを上げるのも嬉しくなってしまいます。一つ一つの所作が医師らしくテキパキしているのですが、どこか温かみを感じます。もうなんだか幸せ。

 「この病気と○○さんの習慣の因果はかならずしも、明確ではないのですが、これをきっかけにお止めになることをお勧めします。習慣を止めると、本当につらいでしょう。失礼ですが、失敗することも多いかと存じます。ただ、止めようという意思をもたないと、なにも始まりません。立ち入ったことを申し上げて恐縮ですが、ご家族ともご相談の上、まず、環境を整えましょうね」。

 あのお、その「ご家族」になって頂けないでしょうかなどと不届きなことで頭が一杯の私は、それから1週間ほど「不潔な習慣」を止めることができました。デブで不細工で柄が悪い、「生まれも悪いが育ちも悪い」くせに、人一倍、プライドが高く、どんな美人をしても、一回あっただけでは「ふーん」としかならない私が、唯一、一目会った瞬間に、…となったのは生涯一度きりです。迂闊なことに、このような場合、どのように対応してよいのかわからず、ひたすら焦っていたような。こういうときについつい「相手はお仕事。当然のことをしているだけ」と自己抑制が働いてしまい、とりとめもない話を15分近くして去ったのでありました。

 脳外科の先生の頭の中を真っ白にできるのに、肝心の、「ここぞ」というところでダメなんですよね。自分でも勝負強さがないと申しますか、なんというべきか。良い方の、想定外の事態でチャンスを逃すことが多いんですね。でも、まあ無理筋かな。まあ、このあたり「ダメモト」の勢いがなくなってくるのが30代後半の悲しさではあります。変に先が読めてしまう。ペシミスティックな分、ピンチでダメージを抑えるのは得意なのですが、「あらま」のチャンスにめちゃくちゃ弱い。10年前だったら、勢いで意外と無理な筋でも通っていたのですが、だんだん、「無理なものは無理」という妙な物分りのよさが身について少々、強引でも言い分を通すという「若さ」がなくなってまいりました。正直なところ、今の野党を見ていると(中継を見る暇はさすがにないのですが)、中年を越えてからの「発作」は見苦しいなあ、怖いなあ、「他山の石」とすべしだなあと思います。それにしても、野党党首の発言のどこを縦読み、斜め読みしろというのか。安部総理が「『寝言』もいいかげんにしろ!」と叫んで解散したら、「『寝言』解散」となってわがブログも「歴史」にも残るかもしれぬ「事件」なのですが。

 …。「寝言」とはいえ、すさまじい展開ですな。話を元に戻しましょう。 

 水曜日の冒頭の耳鼻科の先生と今回の内科の先生は、まったくといってよいほど対照的なタイプです。しかし、重要なところで共通する部分があります。それは、診察や治療を受ける側が「誠意」と「愛」を感じることです。そんなもの主観に属する問題でどうやって評価するのかというのは難しい問題です。これでも苦しいのですが、医師の使命は、「『顧客』を安心させること」だと思います。極論すれば、どんな名医でもミスをする。この医師で命を失ったとしても、やむをえないという気もちにさせるのが本当の名医なのでしょう。これは、ある危うい領域とぎりぎりの部分があります。誠意や愛、安心などというものは主観に属する問題であって、客観的な評価は非常に難しいのでしょう。私の判断もどこまであてになるのか、自分でも懐疑的です。ただ、「プロ」が「対象」に愛着をもてなくなったら、プロではなくなることは間違いないと思います。

 それにしても、あの女医さん、よかったなあ。指輪をしていなかったけど、やっぱり未婚だったのかなあ。頭がいいのに、顔や態度に露骨にでない女性なんてめったにいないよ。は〜あ(未練たらたらの「寝言」)。
posted by Hache at 00:01| Comment(3) | TrackBack(0) | 気分しだいの寝言