2007年02月15日

ディベートの「効用」?

 この連休中は「インフレファイター」を通り越して、読者の方々の「耐性」を試すような記事を連投して申し訳ありませんでした。本業の方でじっくり構える余裕がでると、かえって迷いが生じます。いろいろ迷いましたが、「あぶない」方にゆくことにしました。もうちょっと才能があったら、もっと「ヤバイ」道を選びたいのですが、これはないものねだり。些細なことでも、みんなが「当たり前」と思っている話を「ここをごにょごにょしてこうすると、そうでもないでしょ?」というぐらいでも風当たりがきついので、さすがに迷います。あんまり気が進まないのですが、まあ「保険」もかけておこうかなという感じ。業界も世知辛くなって、「成果」があったことにしないと(間違っても、某番組のような「捏造」ではないのですが。あんまりおもしろくないけれど、一応、こんな結果がでましたという程度)、放り出されてしまうのでやむをえないでしょうか。

 『三原淳雄の言いたい放題』は、ときどきハッとさせられることがあって刺激的なのですが、「ディベートの効用」は、つい考え込んでしまいます。ディベート教育の必要性を主張する方も少なくないですし、私自身も共感する部分があります。ただ、大学でそのような教育を受けた学生がかならずしも、そのような教育を受けていない学生に比べて論理的思考でまさっているのかといえば、これはあくまで私の印象にすぎませんが、あまりそのように思えないです。むしろ、ディベート以前の教育が不足しているため、現状でディベート教育に力を入れてしまうと、逆効果になる部分が大きいと懸念しております。三原淳雄さんの論旨自体は共感するのですが。

 コラムの批判をしたいわけではないのですが、「日本人は学ぶことに関しては多分世界一だろう」という部分には若干の違和感があります。「学ぶこと」をどう捉えるかなのですが、与えられたタスクをこなすということに関しては、「学力低下」が進んでいるとはいえ、たしかに日本人の「学力」は捨てたものではないのかもしれません。しかし、自らテーマを設定し、そのテーマを論じるにはどのような論点について考える必要があるのか、論じるための材料が十分にあるのかなど、自ら学びとるという意味での「学力」は、私自身がそのような教育を受けていないのではありますが、非常に危機的な状況にあります。もともと、このような教育が行われていないので、今の若い世代が特別ひどいというわけでもないと思います。これは論拠が薄弱なのですが、会社勤務に要求される知的水準が上昇するのに比べると、自ら問題を提起する能力とのギャップが拡大している印象があります。さらに、憶測を重ねると、20年前ぐらいまでは社内教育で大学を含む学校教育ではまるで手がついていなかった部分を新卒者に施す余裕があったのではないかと思います。今では、そのような余裕のある会社が激減し、新卒者の離職率がなかなか低下しないように思います。

 今、手元にないので出典がわからないのですが、塩野七生さんがエッセイの中でイタリアの大学入試の問題を紹介されていて、水準の高さに驚きました。歴史は地理などの教養はもちろん、論理的思考全般を問う問題ばかりで採点する側もこれは大変だろうなあと思いました。塩野さんに限らず、海外在住の日本人の方々はどうしても祖国に辛くなりがちなのですが、これには彼我の差を感じました。ディベートの効用を否定するわけではないのですが、基礎的な学力が未熟なまま、議論だけを覚えると、ネットの一部のような状態になります。

 「習うより慣れろ」とはいえ、このような基礎学力は一朝一夕で身につくものではありません。私は「詰め込み教育」そのものは有益な部分があると思いますが、国語その他で考えること、それを表現する基本がしっかり教育されないと、いつまでも同じことを繰り返すだけだと思います。コミュニーケーションのベースには、自分の意見を的確に述べる能力が不可欠であり、そのためには事実を正確に認識した上で適切な軽重判断を行う能力が前提になるでしょう。このような教育は国語教育では極端に疎かにされてきたと思います。さらに、自分でえた結論が、どの点で論拠が弱いのかなど客観的に評価する能力も大切です。従来の国語教育では、あまりに「情操教育」が偏重されてきたのではないでしょうか。

 実は、今日は「寝言」というより、「繰言」でありまして、私が小学生低学年時代に遠足の感想文を書くといつも「事実ばかり書いてあって君の想いが伝わってこない」と言われた「ルサンチマン」をくどくどとぶちまけております。どこそこから何mほど歩くと、これこれという花が咲いていてこれは何科の植物でもう少し後になると花を咲かせるとかそんなことばかり書いていたからしかたがないのでしょうが。「『想い』を書け」というので、つまらん「お遊戯」みたいなことはガキ臭いからやめてくれとの趣旨のことを書いたら、ど叱られました。まあ、そんなこんなで現在の「教育改革」でよくなるとは思えないのですが、免許更新などくだらない仕事がさらに上積みされて学校の先生が困る姿が目に浮かんで(以下略)。
posted by Hache at 01:30| Comment(3) | TrackBack(0) | ふまじめな寝言