2007年05月07日

自由と繁栄の弧(地道編)

 外務省HPに「日本外交の新機軸 『価値の外交』の推進と『自由と繁栄の弧』の形成に向けた取組」というコーナーがあります。大変失礼な話ですが、数ヶ月前にはPowerPointの簡単な資料があるだけでしたが、ふと見たら、「コンテンツ」が充実しておりました。中でも、「外交フォーラム イン 京都 ―麻生外務大臣と語る120分― 『日本外交の新機軸』(概要)」(以下、麻生基調講演)は(こちらに講演の録画や当日の配布資料などがリンクされています。ご参考までに)、楽しい話がでてまいります。余計なお世話ですが、 「亡国のパワポ」 (「不規則発言」2007年4月20日)と「憂国の士」にはPowerPointには国を滅ぼすおそるべきツールと映っているようです。麻生基調講演では、簡潔なプレゼンで、要所を締めているというように思いました。プレゼン資料は、見た目が今ひとつでも、話し手の内容が一番であることを実感いたします。

 講演の内容をかいつまんで紹介していると、大変ですので、まず、平成18年11月30日の麻生外務大臣の「『自由と繁栄の弧』をつくる」という演説が基本です。こちらをご覧頂くことをお勧めいたします。ちなみに、この演説に便乗した私の記事がこちらこちら(続編)にありますので、物好きな方はどうぞ。

 CLV諸国などでの女性の活動など、興味深い話題が多いのですが、私が最も興味をもったのは、北海道の富士メガネさんの金井昭雄さんの「視援隊」の活動です。「視援隊」は不要なったメガネをなどを集め、金井さんを筆頭に社員の方たちがボランティアでタイ、ネパール、アルメニア、アゼルバイジャンでメガネをあつらえているそうです。おじいたん、おばあちゃんが何を見たいかと問われれば、世界共通で「孫の顔」だそうです。このあたりはなるほどと思います。金井さんは、ボランティアではなく、社員教育で行っているそうです。「あなたが私の視力を取り戻してくれた」とおじいちゃん、おばあちゃんが泣いて抱きついてくるそうです。麻生外相は金井さんを「普通の眼鏡屋さんのおじさん」と呼んでいますが、金井さんは「うれし涙とともに記憶される日本人でありたい」とおっしゃっているそうです。麻生外相は、この講演で「現地の人たちの目線に立って、現地の人たちが、…(中略)、経済的繁栄をすることによって、将来に希望を見、自分に自信を取り戻し、そして将来を楽観し、それがテロを防ぐと思っています」と述べています。個々の活動は決して派手ではありませんが、麻生外相によれば、「自由と繁栄の弧」という言葉は、この金井さんから教わったそうです。

 「役人というのはモノを売るというセンスがおよそありませんから」、「役人というのはお金を稼ごうという人はやっちゃいけないんだから。お金を稼ぐ才能がない人がなっている職業だと思ってもらわなくちゃいかん」などと「口の悪さ」も健在ですが、全体として地に足の着いた話が多く、楽しんで見てしまいました。最初の方では、GDPの大きさから日本の「等身大」の姿を示すというのは、お約束ではありますが、「他国からどう日本が見えるのか」という常識的ではありますが、肝心のことを語られていました。私は、遠大な戦略論も好きですが、このような地道な活動が外交を構成していることを実感いたします。