2007年05月16日

「極道」への誘惑

 寝不足でヨレヨレになってしまいました。とにかく寝たい。「東アジアの『冷戦』と日米同盟」を書き始めて、いろいろ考えてゆくと、勉強不足だということを痛感いたします(寝不足だというのにキッシンジャーやナイの本を読み返してしまう私は「病気」以外の何物でもないですな)。慌てて記事にすることもないので、いろいろ「補助線」を引きながら、「寝言」風かつ素人的に考えてまいりたいところです。それにしても、すべてを放り出してとにかく熟睡したいというのが正直なところ。月・火は寝不足状態でなんとか乗り切って、水曜日に「充電」して木曜日にすべて「放電」し、金曜日は廃人状態ながらも、なんとか「本体業務」をこなすというのが基本的な「リズム」なのですが、年々、「顧客」の水準が低下してこちらの負担が増える一方でなかなか厳しいものがあります。

 中年の愚痴はこれぐらいにして、今日も引用からですが、「本丸」へ行く途中の「寄り道」です。「テロ」への恐怖はあるのですが、『溜池通信』の「不規則発言」(2007年3月20日)からです。

<3月20日>(火)

〇東京財団の若手安保研、とうとう今宵が最終回である。思えば2003年夏、坂本正弘先生の呼びかけで第1回の会合を開き、座長を押し付けられてしまってから幾星霜。2004年春から東京財団の研究プロジェクトに昇格して予算がつき、丸3年にわたって毎月第3火曜日の夜には研究会を開催してきた。参加者はじょじょに増え、講師ものべ30人を数え、提言も2本まとめた。ホント、よく続いたものだと思います。

〇今日の講師は伊藤貫さん。「日本は核武装せよ」という論者である。ワシントン在住の人なれど、たまたま日本に出張中のところを来ていただきました。この会が始まった当初には、まさか日本の核武装論議を真面目にする日が来るとは思わなかったけれども、それだけでもこの間の安全保障環境の変化が大きかったことが良く分かる。で、伊藤さんの議論は概ねこういう経路をたどる。

(1)日本人はリアリスト外交を知らない。親米保守派は真のリアリストにあらず。

(2)今後アメリカの国力は低下し、世界は多極化に向かう。

(3)核の傘に頼れない日本は自主防衛するしかない。ちなみに核武装のコストはGDPの0.1〜0.2%で良い。

〇たくさんの論点があるところですが、かんべえ(世間的な評価では親米保守派になるのでしょう)が妙に納得したのは、伊藤氏が「日本が自前の核戦力を開発するまでには10年程度かかる。それまではNuclear Sharingでいくしかない」と言ったところです。前にも書いたと思いますが、日本が自前の核を持つことは容易ではありません。NPT脱退なんて論外ですし、そもそも黒鉛炉を作るところから始めなければなりません。そんなもん、日本国内で立地できるわけありませんわな。その辺のことを知らずに、勇ましく「日本よ核を持て!」と主張する論者は、観念的リアリストと呼んでさしあげるべきでしょう。

〇ところが今後、中国の軍事力が今の調子で拡大を続けた場合、アメリカが日本に対して「核を持っていいぞ」と言い出す可能性はけっして低くはなく、それでNuclear Sharingができるのであればとりあえずは安心である。伊藤氏の場合、その間に自主防衛の努力をして、自前の核を持ってはじめて日本は一人前になる、という議論になる。ただし、アメリカの核を借りて、アメリカの目を盗んで自前の核を持つというのは、限りなく不可能に近いですわな。というか、日本の場合はNuclear Sharingができた時点で安心してしまい、その先には進まなくなるでしょう。

〇かんべえのように没道義的(極悪?)な人間としては、「それでいいじゃん」と思ってしまうのですが、自主防衛論者としてはそういう無定見なところが許せない、だから親米保守派はケシカラン、ということになるのでありましょう。結局、リアリストだ、アイデアリストだ、何とか主義だといった無数の流派は、最後は個々人の人生観とか好き嫌いに帰着するものなのであろうなあ、というのが今宵の生暖かい結論であります。

〇会合が終わったあとは、アメリカ大使館前の「キングズアーム」へ。ここでポテトとナッツをつまみにビールを飲むのが吉例の二次会となっておりまして、今まで何十回来たかわからない。ホントはお洒落な料理と一緒に各種ウイスキーを楽しむべき店なのですが、なぜかそういうストイックな路線になっている。しかも今宵などは、ウーロン茶とジンジャエールが多数派を形成しておりましたぞ。通算4年の月日の結果、もう「若手」ではなくなったメンバーが増えたのかもしれません。

〇何はともあれ、終わってホッとした。来たる3月29日(木)午後6時半から、この会合の最終報告会を開きます。Open to Public、無料の会合でありますので、ご関心のある方は下記URLから参加登録をどうぞ。不肖かんべえも報告をいたします。ついでに立食パーティーもついておりますので、安全保障関係のネットワーキングにも最適ですぞ。


 まず、引用文中、明らかな事実誤認がありますので指摘しておきます。「極悪?」という表現がでてきますが、クエスチョンマークは不要です。おそらくはツッコミをいれろという御指示ではないかと憶測いたしますが、「非道」先生と「グル」ですと、「極悪非道」、略すと「極道」です(あ、ネタにマジレスしちゃった)。読者の皆様、このあたりの煙の巻き方は、かんべえ師匠もといかんべえさんの得意技ですので、お間違いのなきよう。

 ちなみに最終報告会への参加希望を出しましたが、「ドタキャン」してしまいました。かんべえさんのテロにはある法則性があって、(1)その日に出会った人がブログを所有していると「テロ」への誘惑に駆られる。(2)なかには奇特な方もいらっしゃって、「テロ」をして下さいといわんばかりに、自分のブログを教えてしまう。(3)「不規則発言」のネタが不足しているときに、やや「ぬるめ」だけれど、かんべえさんから見るとおもしろいネタが書いてあるブログを見つけると、「テロ」をしたくなる。(4)やじゅんさんのように親切に知人のブログを紹介して「テロ」でブログに勢いをつける。当然、「ドタキャン」した理由は、(1)を回避するためでありまして、「テロ」攻撃を受けるという確信があったわけではありませんが、いかれた「外道」とはいえ、「君子あやうきに近寄らず」が原則であります。

 …。いきなり本題からそれてしまいました。"nuclear sharing"自体は、「極悪」でもなんでもなく、自前の「核武装」よりもはるかに現実的だと感じる方が普通でしょう(と素で感じる私も「あれ」な人なのかもしれませんが)。あまりに素人的な発想で恥ずかしいのですが、自前の核でも、いわゆるアメリカの「核の傘」のどちらでもよいのですが、私の関心は、日本に対して核攻撃も辞さない態度を示している国に核を含めた軍事的オプションを準備することで、潜在的な敵国の軍事行動を抑止できるかどうかということです。この「計算」をきっちりやるのは私の手に余ります。他方で、自前の核というと、威勢はよいのですが、米軍基地でも揉めるのに、国内で地下核実験をやるとなったときに、「候補地」の選定で揉めるとなると、目も当てられない話ではあります(北朝鮮の核開発を受けた核武装論議のときには「外交上、どうかな?」という疑問があって批判的なことも書きましたが、現実問題としてはもっとお寒い話になりそうな気がして、あのときには書かずにおきました)。「核武装」や「核の共有」それ自体は手段であって、核抑止という目標が達成できるかどうかが、素人が知りたいところということです。ちなみに、この「不規則発言」を拝読したときには日米で核を「共有」するという話自体は魅力的だけれども、アメリカがそこまで言うのかなという疑問はありました。

 寄り道ついでに、素人的にはやはり自前の核武装自体に疑問があります。国際的な制約は全て無視したとしても、現代の核兵器といえば、弾道ミサイルに搭載された水爆(?)が基本でしょうが、日本が核武装をしたところで、プルトニウム爆弾がいいところでしょう。仮に、水爆レベルまで開発するとしても、実験データを確保するとなると、途方もない積み重ねが必要になりますが、どうやって実験場を確保するのかがわからない。さらに、第二撃能力は潜水艦から発射するミサイルでしょうけれど、そんな技術を自前で開発できるのかなど疑問だらけになります。まあ、自分でもナイーブすぎる疑問なので専門家に尋ねたり、しっかりと調べたわけではないのですが、どうも現実味がない。

 他方で、核抑止は中長期では対中露で考えておく必要があると思います。とくに、ロシアは、一時的とはいえ、核戦力に関してはアメリカとほぼ対等な立場までいった実績があり、ソ連崩壊で核拡散の方に関心が向かいましたが、ロシアと中国が手を結ぶのは非常に危険だと素人目には映ります。両者の事実上の同盟は核にとどまらず、通常兵器でも日米に対抗しうる、対応を誤れば凌駕しかねない危険すら感じます。

 というわけで、首領様には申し訳ないのですが、北朝鮮自体は「撃つわ」などスルーに近い状態だったのですが、まさか核開発が核のシェアのきっかけになる可能性があるとは思いもしませんでした。とにかく眠たいのですが、書かずにはいられない衝動があります。

 男は顔じゃないというものの、安倍総理におかれましては比べること自体、非礼かとは存じますが、安倍総理と首領様のご尊顔を並べると、勝負は(以下略)。   
posted by Hache at 01:18| Comment(0) | TrackBack(0) | ふまじめな寝言