2007年11月11日

楽しむということ

 どうも、最近は「寝言」も浮かばず、仕事も今ひとつはかどりません。なんとなく調子が悪いのですが、体調自体はごく普通で、運動不足がひどいかなという程度。こういうときは歩くのが一番で、あれこれ考えているうちに途方もなく大きく感じたことが、体を動かしているうちにそれ相応に見えてくることが多いものです。芸のない気分転換ですが、公園を歩こうと余裕があるときに限って雨が降るというのもあって、能率が悪い状態が続いております。

 「寝言」を書き始めてあらためて再確認したのが、事実を整理して分析することが苦手なんだなあということです。子供の頃から、抽象的な話が好きで、個別的・具体的な事柄に無頓着な性格でした。あまり自分の書いた記事を読み返すことが少ないのですが、なにかの拍子に以前はどう論じていたのかを参考にすると、すぐれて現実的な問題であるのに、なにやら抽象論で終わっていることが少なくなく、ブログを書くということは自分の性癖をさらけ出すことなんだなと思ったりします。ネットでは「ブロガー」という言葉を以前ほどではありませんが、見かけると、他人事にように感じてしまいます。私の場合、どなたかに読んでいただくこと以上に、ブログに載せる記事を書くことで、自分の考えていることなんて、この程度なんだなと再確認するという感覚です。自分で書いたものを読むと、力量の足りない者には抽象的・普遍的な問題と具体的・個別的な事柄が分離してしまうことをしみじみ実感します。

 自分で物足りないと思うのは、対象が個別的な事柄であれ、普遍的な問題であれ、対象に対して思い入れ、あるいは「思い込み」があまりに少ないことです。「思い込み」という表現は通常ネガティブな印象を書き手がもっているものですが、この場合、ネガティブというよりも、情熱という言葉では物足りない、持続する意志をあえてより実感に近い形で「思い込み」という言葉をあらわしているという感覚でしょうか。もちろん、極端な形になれば、単なる空回りで終わってしまうのですが、どうも、私は他人や他物に愛着が薄く、翻れば自分に頓着しない悪い癖があるようです。思い込みというのは、物事を理解するにせよ、事を成すにせよ、一面的でしかないわけですが、しかし、一面を捉えていたり、すべてをなすことができない人生でなにか一事をなすには不可欠のものだと思います。「客観的」という表現に対して「主観的」という表現を用いれば、通常は否定的なニュアンスですが、理解するにせよ、行動にするにせよ、それは主観的であると同時に能動的であり、主体的な営みそのものです。そのような営みを持続させる「思い込み」が自分に欠けていることを実感したのが、少し早すぎるかもしれませんが、この一年でした。

 このように書いておりますと、なにやら深刻でもあり、オヤジ臭い感じですが、先週だったかな、紀伊国屋Bookwebから志賀浩二先生が『大人のための数学』シリーズを発刊されるとのことで、楽しみだなあと。若いときには『数学30講』シリーズにお世話になり、数学の楽しさの一端を味わった気分になりました。もちろん、わかったなどと豪語するにはほど遠いのですが、著者自身が、初心者にもわかりやすく苦心するとともに、楽しく書かれているようにも感じました。このようなレベルには到底、及ぶものではありませんが、なにかの拍子に何事もなそうという意志の弱い自分に失望するあまり、足りない者なりにこの世のことを楽しんでゆけばよいということを忘れていたことに気がつかされます。

 薄情なのは性分である以上、直しようがないわけで、自分が楽しいと思えることを素直に楽しんだらいい。実生活が、ブログよりもはるかにちゃらんぽらんなので、単なる自分への言い訳という気もいたしますが、楽しもうとすることさえ忘れてしまって、楽しんでしまおうと。なにかをしようとすると、なにもできなくなってしまう。もう、志を立てるとか、そういうことを考える年齢ではなくなってきたのだということを感じます。正確に言えば、そのような性分ではないということに最近なのか、40年近くかかってわかってきたのか、よくわかりませんが、ようやく自分がどの程度なのかということが見えてきて、焦っていることに気がつかされた一週間でした。

 ちゃらんぽらんですが、自分がどの程度ということも忘れて(考えると悲しくなるだけですから)、楽しんだらよいんだなあと。子供っぽく響くのかもしれませんが、私の場合、自分が変なガキだったせいか、世間が子供の純真さを説くのを聞いていると、こういうことは実は後からやってくるのではないかと思ったりします。『老子』が嬰児を理想とするというときに、なんと作為的なことだろうと思う私がちょっと変なのかもしれませんが。
posted by Hache at 02:42| Comment(0) | TrackBack(0) | 気分しだいの寝言