2007年11月19日

日米首脳会談雑感その他

 無事、日米首脳会談が終了しました。報道で見聞きしているだけですが、概ね、安達正興さんがこちらで書かれている予想通りに終わったという感じでしょうか。タイトな日程で派手さはまるでありませんでしたが、「日米交流強化のためのイニシアチブ」などさりげなくフフン、もとい福田色もでていて、興味深いです。日米の人的交流を立て直すには金額がささやかな気もいたしますが、取り組み自体は評価できると思います。「親日派」というよりも、「知日派」を増やそうというのは、ブレやすい民主主義国の世論を考えれば、地道とはいえ、日本の国情を正確に知っている専門家を増やすことは、ただちに世論のブレへのブレーキにはならないにしても、悪いほうに振れたときに、冷静な判断の材料を政策決定者に与える可能性を高めるでしょう。中国専門家が増えること自体は避けられないでしょうが、日本が何もしなくても良いというわけでもないと思います。この種の取り組みは、比較的コンセンサス形成に党派性が薄いでしょうから、福田政権に限らずに継続的な活動となることを望みます。

 表面的な観察ですが、テロ国家支援解除問題でも、被害にあわれた方たちからすれば不十分でしょうが、他国の元首が拉致問題を忘れないという発言をすること自体、十分だと思います。もっと露骨に言えば、拉致問題は日朝間の問題であって、米朝間協議とリンケージさせるには日本の外交資源は不足している。それ以上に懸念しているのは、核開発をめぐって実効性のある廃棄に向かって枠組みができるかどうかです。この点では米朝協議の中身が十分に伝わっていないだけに、米朝交渉自体、私には危なっかしく見えます。なんとなく国内の議論で違和感があるのは、拉致問題が主で核廃棄の問題が従であるかのような雰囲気があることです。どうも、このあたりは情が先にはしっている感があり、私みたいに政治的影響力がない方たちがそのような議論をするのは特に関心がないのですが、六カ国協議なり日朝独自の交渉でもよいのですが、与野党問わず、政治家の発言から核廃棄で日本外交がどのような役割を果たすのかが、まるで見えてこない。そのような外交的影響力がないというのなら、限界があるなりにどのように影響力を行使するのかを明確にしていただきたいと思います。素人的な発想にすぎませんが、核廃棄と核不拡散という他国も利害を共有する問題で日本が積極的な役割を果たさずに、拉致問題が解決できるとは思えないです。

 ゲーツ長官の発言は、先に引用したコラムとは異なる受け止め方をしております。現在は、海自の補給活動に過度に焦点が当たっていますが、米軍再編の中で日本が果たす役割が変わってきているのにもかかわらず、相変わらず、基地問題でも収拾がつかない。私自身は、海自の補給活動の継続が望ましいと思いますが、もはや日米安全保障体制という狭い枠組みでは日米関係をマネージすることは難しく、同盟国としてまず、費用、そしてリスク、最終的に戦略と価値観を共有する関係にもってゆかざるをえないでしょう。海自の補給活動の継続に関しては悲観的に見ているので、あまり期待値は高くありません。この問題に上手に対応できなければ、福田政権が危機に陥るのかもしれない。ただ、この問題に仮にうまく対応できなくても、日米同盟が軍事的に同盟として機能する胴体部分がしっかりしていれば、国会の機能不全によるショックを最小限に食いとどめることができるでしょう。この問題は、完全に手抜きになっていたので、的外れなことばかり書いているかもしれませんが、ゆとりができたら(いつになったら楽になるんでしょうね(遠い目))、あらためて考えようと思います。

 補給活動が継続できればベストだと考えておりますが、9.11後、小泉・安倍政権の下での陸・海・空の自衛隊の活動は、日本外交にとって代替できるものがない貴重な資産だと思います。今、「ねじれ国会」は、この活動を「遺産」にしようとしているように見えますが、仮に「遺産」になったとしても、テロ対策で、イラクの復興支援でアメリカをはじめ各国の軍との協力関係を実際に行ったことは、日米を中心として各国との安全保障や外交などの実務家との貴重な経験を共有したということでしょう。「日米同盟強化」とか「国連中心主義」などのお題目よりも、実際の資産は、この特異な経験を共有した各国の実務家とのつながりだと思います。日米同盟にせよ、国際協調にせよ、お題目よりも実際の経験の共有が今後、10年間という、この国の国際的地位の低下が続くであろう期間において活用してゆくべき「資産」だと考えます。

 それにしても、日曜日の朝からテレビとか新聞を見たり読んだりするもんじゃありませんね。消費税増税をぶち上げる議員さんがいらっしゃる自民党と「高速道路無料化」とのたまう党首を擁する民主党の経済政策はため息が出ます。かたや「緊縮」、もう一方は「バラマキ」。『朝日』によると、大阪市長選の投票率が前回33.92%から9.69ポイント上昇して43.61%に上昇したとのことですが、大阪の方は立派だなあと思います。言いにくいのですが、経済では政治は最低限、余計なことさえしなければよく、現状を見ていると、政治的関心を保つこと自体が困難に思えます。