2008年07月09日

「オタク」商売の難しさ

 とうとう5年まえに買ったPCが動かなくなってしまいました。昨年、「Vista恐怖症」で慌ててセカンドマシンを準備しましたが、デュアルコアの驚くほどの性能にびっくりです。アンチウィルスソフトが常駐していようが、無闇にIE7でPDFファイルを読み込んでデータをいじくりながら、息抜きにゲームをしようが、まるで速度が落ちないです。結局、新しい方がメインになったのですが、今回の故障で家で1台しか確実に使えるPCがないというのはちょっと不安になります。ノート型はありますが、アンチウィルスソフトのパターンファイルを更新すると、2、3分は放置せざるをえない状態で、なかなか厳しいです。デスクトップとノートの両方を新調するのはさすがに苦しいので、どうしようと迷っておりました。

 そうこうしているうちに6月末でXPが出荷停止となって、もうないかなと思いつつ、「XP Professional」アップグレード版を探して、まずはビックカメラに行ったところ、ありゃま、買い溜めをしていたそうであっさりゲット。土日はどこもどっと混むという感じなので、平日の帰りに寄ったりすることが多いのですが、楽でした。予算がちょっと余ったので、グラボもPCI Express対応のものがほしいなあと物色したら、売り場の担当者にスペックと用途を説明したら、このあたりで十分ですかねとでてきたのがLEADTEKのGeforce8400(256MB)搭載のグラボ。ロープロファイル対応でないとちときついのでこんなものかなと。4,000円ちょっとの買い物だったので、このまま帰ろうかなと思いましたが、自作用のバーツコーナーだったこともあって、CPUやメモリーの価格表やPCケースの実物と電源などをしばし眺めておりました。

 さっき説明してくれた方がとても説明がわかりやすかったので、マザーボードの整理をしているところで、「お忙しいと思うんですが、ちょっとだけ相談にのって頂けませんか」と尋ねると、快諾してくれました。まずは、素人らしく、インテル系のP35とP45の違いがさっぱりなんですがと尋ねると、あっさりと「形式的にはPCI Express2.0に対応していることやメモリーが16GBまで搭載可能なことなどがありますね。あとは、Core2シリーズのアップグレードについてゆくにはP45の方がいいでしょう。でも、正直なところ大した差はありませんね。そのうちアーキテクチャーがまるで異なるCPUがでてくるはずですが、どちらも陳腐化しちゃいますから」とのこと。素人的にはインテル系にするのかAMDにするのかでまず迷うので、なるほどという感じです。今のメインがAMDなので、自作はインテル系でもいいかなと思いましたが、マザーボードがわけわかめだったので、助かりました。

 次は、電源とPCケースです。これは素人的な感覚ですが、PCや周辺機器のほとんどは、よほど安いものでない限り、物理的な故障がほとんどです。壊れた後に壊れやすそうな物理的形状であったり明らかに加工の段階で手抜きっぽい場合がほとんどで、雑誌に載っているほど安定性などはあまり気にならない感じがします。ネットでパラパラと大手販売店のサイトで商品を見て、メーカーのHPで個々の製品の説明を見ておりましたが、電源はENERMAXが気に入ってケースはANTECあたりが見た目もよさげ。しかし、素人判断なので見本がいくつかありましたので、早速、尋ねると、「そのあたりが定番ですね。電源だったらスカイテックあたりも安定しています。ここはケチらない方がよいですよ。電源の不具合だけは代替が利かないですし。ただ、複数、電源を用意しておけば対応できますが。あと、他のパーツはともかく、ケースはいくつも買うのが大変ですからね」と話してくれました。そんなに悪い判断をしていたわけでもなさそうです。とくにケースは意外なところで重要で、「私も過去15台ぐらい自作しましたが、不要になったパーツの処分で一番、困るのがケースなんです。これは中古の引き取りもないですし、役所に届けても1ヶ月に1回の頻度でしか回収に来ませんから」。自作マシーンが15台というのもびっくりしますが、「出口」まで考えてのアドバイスは感じ入りました。「高いものを買うときにはあまり迷わなくてもいいんですよ。まず、外れがないですから。明らかに安いものを買う場合も期待していないから簡単ですし。難しいのは微妙に安いものを買うときです。うまくゆけばお値打ち感がありますが、外れると痛いですからね」というあたりはなるほど自作の話を離れて消費者行動として納得してついつい別のことを尋ねたくなりますが、相手もお仕事ですから、抑えてPCの話に。

 次のポイントはキーボードとマウスとのことでしたが、こちらはメーカー製のものを使うことが少ないので、今でも十数年前のAptivaについていたキーボードがあるのし、マウスはいらないぐらいありますからと放すと、「昔のIBMのキーボードは本当によかったんです。今でも、中古で探している人がいるぐらいですよ」と教えてくれて、これまたびっくり。外部に露出しているパーツで壊れやすいのが中学時代からキーボードでこれは大切に扱っていましたが、物持ちのよさが意外なところで役に立つこともあるんだなと思いました。反則ですが、職場でも昔のPCを保管しているところから無理やりお願いしてキーボードだけIBMのものを使っております。職場でも自宅でもIBMのキーボード。これだけは譲れないです。使っていて本当に疲れないですから。

 そうはいっても、やはり性能を決めるのはマザーにCPU、そしてOS。もう一度、P45の見本のところでネット対戦型の3Dゲームをやりますかと尋ねられて、思わず首を横に振ってしまいました。「今のネットゲームはスキルよりもマシンの性能で決まりますから、そこまでのヘビーユーザーであれば、インテル系をお勧めしますね。ケースはNine Hundredあたりとは相性もいいですね」とのこと。でも、Core 2 Duo E8500はよさげですよねと漏らすと、「ベンチでは抜群なんですし、Core2系は一つのタスクをとことんやり込むには向いていますが、並行作業に意外ともろいこともあります。AMDはベンチマークで数字が出ないので雑誌ではボロボロに叩かれますが、タスクが多いときでも閾値寸前でもスピードが変わらないので、安定感は抜群です。今だったら、Phenom対応のマザーボードが史上最高といわれているんです」と言われて、意外でした。実は、クアッドコアまでは考えていなかったので(単にゲーマー御用達という程度のイメージですが)、PhenomもCore2 Quadも別の意味で「圏外」扱いしていました。AMDのマザーの見本で配線などのイメージを教えていただきましたが、素人でも扱えそうなぐらいシンプルでした。このあたりで閉店終了の音楽が流れ始めたので、流石に申し訳ない感じで、名刺を頂いて帰りました。Yさん、ありがとうございました。

 それにしても、話の内容は正真正銘の「オタク」でしたが、話がとても丁寧で、かつわかりやすくて勉強になりました。15万はかかるかなと見積もっていたのが、あっという間に想定していたスペックよりも高い状態で10万ちょっとに収まってしまいそうで、びっくりです。当初は、通常の家電量販店ではパーツを買わない予定でしたが、よき「オタク」に恵まれたおかげで、こちらとお付き合いするの方がよいかもと思いました。余計なお世話ですが、余計なものを買わせようとしないというのは、商売としては損かもしれないと思いましたが。ただ、長期的な取引を前提にすれば、信用をえるという点で合理的なのかもしれないとも。それにしても、こちらも楽しい会話でした。

 小売店の存在意義として古典的には単なる商行為だけでなく、商品に関する知識の提供やアフターサービスなどが挙げられますが、昨日はなるほどと実感しました。あまりにニッチの市場の話なので(もっともメーカー製のデスクトップ市場での日本人の購買行動は他国と比較してちょっと特異だという話もありますが)、一般化はできませんが、知識のスピルオーバーがあるため、量販店ではサービス水準が低下してしまうというのが素人的な見方です。最近ならば、消費者の側も一通りの知識をもっていますし、販売員が客に話しかけると、逃げてしまうという問題もあるのでしょう。他方で、いわゆる「家電のデジタル化」の進行とともに、顧客のニーズや支払能力に応じて適切なソリューションを提供できる能力が消費者にとって必要な時代だとも感じます。あれこれ理屈をこねていますが、Yさんのような「オタク」が報われるような競争環境というのは、やはり価格競争が主の状態ではなかなか実現しないと思います。価格にサービスの質なども反映するのが望ましいのですが、なかなかそうはならないのは昔から変わらないとも思います。


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posted by Hache at 08:26| Comment(5) | TrackBack(0) | 気分しだいの寝言