2008年10月10日

マネタイゼーション?

 夢が壊れるというのは悲しいものです。『溜池通信』のアクセス数の推移を毎日チェックしているわけではありませんが、平和なときよりも政変や経済危機のときに異常な値を示しており、あの数字は「日本人の不幸度指数」として非常に優秀です。このブログはとくに高い志もなく、ボーっと「寝言」を綴ることを目的としたものですが、絶対的な規模は異なれど、なんとなくアクセスカウンターが「不幸度指数」のような動きをしていてなんとも不幸せな気分です。もっとも、連日、歩数計が1万歩を超えていて、足への負担を減らそうとすればするほど、逆に増していて、なかなか足萎えが直らないということも大きいのでしょうが。『母をたずねて三千里』というアニメを子供のときに見た記憶があるのですが、たずねる相手もなく「杖をついて1万歩」というのはいかがなものか。金曜日は死体が歩いている感覚です。とにかく疲れました。

 正確な時期は忘れましたが、わりと大規模な会議で日本のエコノミストと海外のエコノミストが日本のデフレについて議論するのを聞く機会がありました。日本勢が中国からの輸入デフレとか筋の悪い議論を出したせいなのか、日本のデフレは世界的な趨勢になりえないという議論が大勢になって、日本のデフレ要因に関する議論が深まらなかったのが残念ですが。当時は非現実的な設問でしたが、もし、日本で起きた事態があなたの国で生じたらどうしますかという話に、最初は海外のエコノミストが答えを渋っていたものの、結局、英米ともに"monetization"を実行するしかないと答えていて、のけぞった覚えがあります。おまえ自身がそういうことを平気で言いそうじゃないかと思われるかもしれませんが、その辺の雑草ではなく、まともなキャリアをお持ちの方からでてくると、さすがに。まあ、危機の時代には「なんでもあり」というのが古今東西、事態を収拾するためにはやむをえないのでしょう。

 「とんでも」な議論をあえて述べれば、どの道、金融危機、実体経済の悪化を耐えしのぐには、膨大なカネがいる。どのみち、公債を市中消化で賄うのは不可能な金額になるでしょう。高橋財政の頃の公共投資乗数を知らないのですが、1960年代で5を超えるという理論的に説明するのが困難な推計が有力なようです。今日では1.3弱。公共投資で不況を乗り切るという時代は既に過去になっているといってよいでしょう。現代におけるマネタイゼーション、あるいは公債の中央銀行引受はより防衛的にならざるをえない。端的に言えば、現在の金融危機は最終的には政府が債務を支払う能力への疑義にまで達する勢いです。露骨に言えば、増税、あるいは民間部門から強制的に資金を吸い上げる能力で公債は最終的に担保されているものの、この状況下で増税ができるのかという話に遅かれ早かれ、そういう疑義になる。他方で、公債を中央銀行が引き受ければ、ドルやユーロなどの国際通貨でさえ、、紙切れになり、いわゆる「悪性のインフレーション」が生じるでしょう。また、各国の財政規律が完全に失われる可能性もあります。「べき論」からいえば、私自身、マネタイゼーションなど論外でやるべきではない。しかし、放置しておいても、ドルやユーロの信認が地に落ちるリスクがあり、金融危機に財政当局、金融当局ともに後出しジャンケンを続けている現状と比較すれば、確率は低いですが、市場経済が再生する可能性が残るでしょう。表現が悪いかもしれませんが、「パンドラの箱」を開けた後、なにも残らないわけではない。極論ですが、間違っても「積極財政」のように財市場を支えることに使うのではなく、金融市場という現在と将来の資源配分を結ぶ市場が機能するまでの過渡的な措置です。まあ、ECBが今でもインフレ目標を放棄していない以上、「暴論」というより、日銀には失礼ですが、ゼロ金利に量的緩和、買い切りオペとなんでもありとなった金融政策が嫌ならせめてインフレ目標ぐらい放棄せよというあたりが限界か。

 おそらくはそうはならずに、財政当局や金融当局の対応は市場の後追いが続くのでしょう。金融危機の実体経済への負の影響を議論している間に、実体経済の悪化がさらに金融危機の「出口」を見えなくするという段階に移るのは、予想以上に早いのかもしれません。周囲では金融に関係が深い方ほど、今回の事態に関して口が堅く、ポツリとスケールが測れないとつぶやいていました。冗談で、日本の広義流動性、約15兆ドルが世界全体で吹き飛ぶ程度だったら、単なる危機。日本の広義流動性の2倍の富が吹き飛べば世界恐慌。それを超えたら未知のゾーンと話したら、「あんた、なにもわかっちゃいないようだけど、もう未知の世界は未知じゃないんだよ」と呟いて去られたので、呆然とするしかありません。


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posted by Hache at 22:49| Comment(0) | TrackBack(0) | ふまじめな寝言