2008年10月26日

カネの稼ぎ方 使い方 失い方

 ずいぶん、ぶっとんだ「寝言」を書くと、この島国のことなどたいしたことがないような気分になります。それにしてもドル円・ユーロ円の値動きはすさまじい。今年の前半は、ドルがやばいというのでユーロに資金が流れましたが、やっぱりヨーロッパももっとヤバイとなって円に流れてきている。ただ、円高といっても実感がなく、海外で円をどのようにもっているのかは素人にはわからないのですが。相場の解説では、アメリカ、ヨーロッパと比較して金融危機による損害が相対的にマシであろう円に資金が流れているとのことですが、東京証券取引所では株価が盛大に下げていますね。日経平均はともかく、TOPIXまで800円をきりそうな流れで、カネの流れがなかなかつかめません。

 円高といっても、所詮は他の国・地域の通貨との交換比率にすぎないのですが、交易条件そのものをあらわすだけに、輸出が大変だとかと騒ぐ人がいる一方で、円が強いのだから活用せよと強気の方もいらっしゃるご様子。もっとも、国内は地銀や信金・信組、農林中金などしゃれにならない状態ですから、国全体としてはリスクをとるのは無理があるでしょう。とくに、信金・信組の長期債務などは市場で売買の対象にはならないがゆえに、地域内で中小企業が引き受けざるをえず、サブプライムローン関係の商品の問題がなくても苦しい状態なのに、まかり間違えば、ますます地方の衰退を招きかねない状態です。お気楽な批評を弄ぶ人たちとは異なって政府は対応するようですが、信組・信金は単に地元企業へ融資をしているだけでなく、債券を地元企業が引き受けているだけに、対応に苦慮するでしょう。このネットワークは、蛸足のような関係のようにも映りますが、乱暴に切ってしまうと、地域経済の再生に国が直接、関与せざるをえない局面になるリスクもあり、私自身、妙案はありません。

 他方で、これだけ円が強く、2007年末で対外純資産が250兆円にのぼる国の国際経済における存在感が薄いというのも珍しい光景です(正確なデータはこちら)。外貨準備が110兆円という変な国なだけにやむをえないのかもしれませんが、所詮はなりあがりの国で運用を覚える段階にきたときに、高ころびして、気がついたら、20年もしないうちに80兆円以上も医療と介護でかかるそうですから、あぶく銭みたいなものか。そう悲観する必要もなく、医療と介護は改革しようが改革しまいが、もう崩壊していますから(10年ぐらい前ですが、介護の現場の話でお年寄りが必死に風呂に入れようとする若い介護士の胸をさわり放題触って心が折れるなんて話をうんざりするぐらい聞きましたから)、そのうち、カネをだしてもサービスの供給が減るのでしょう。この分野はカネさえ出せば、自分の思うがままにサービスが受けられるという安直な感覚を集約して表現しているように感じます。頑張って金持ちになったものの、使い方がわからずに、いつの間にかなくなってしまうというのは、国レベルでは教養がないのでよくわかりませんが、個人レベルなら身の回りにもいくらでも例が転がっているような。塩野さんの著作だったかな、国際政治では畏怖されても、軽蔑されてはならないとありましたが、喧嘩に負けて喧嘩はアメリカ頼みで、金儲けで成功したものの、使い方がわからないというのでは軽蔑されるのも当然かなと。

 もっとも、700兆円を超える公的債務があるものの、公債の市場は事実上、「鎖国」みたいなものですから、20年かけて1960年代から1980年代にかけて蓄えてきた富を食いつぶしてゆくのも悪くはありません。そういえば、先月、若い世代が消費税率を20%にせよというので、ほおと思って尋ねると、今のままでは年金をもらえる気がしないとのことで、そりゃまあそうだなあ、しかし、この国はロシアみたいな国になっちまったなあなんて気楽な感想が浮かんだりします(りそな国有化の頃にはある大学教授は中国人の留学生が「日本で資本主義を学ぼうときました」と言ったのに対し、「日本は社会主義国だからお国で勉強しなさいと言って、相手が呆然としたなんて話もありますが)。冗談で、消費税率の引上げなんて簡単だよと話したら、そ、そうですかとひいていました。なに、まず自民党と民主党で密室談合で消費税率を20%に引き上げる合意を結ぶ。まず自民党が消費税率を5%引き上げる予算を組んで、解散する。ボロ負けしたら、3年ぐらいして民主党がやはり5%引き上げる予算を組んで、国民に信(笑)を問い、自民党に政権を譲る。もう1回、やれば、10年はかかるけれども、簡単に20%ぐらいはいける。これぞ、「キャッチ・オール・パーティ」ならぬ「キャッチボール・ポリティクス」といったら、バカにされたような表情をしていました。まあ、もちろん、悪い冗談のつもりでしたが、どこぞの新聞の社説で書かれると、ちょっと残念。『朝日』ごときが思いつく程度では修行が足りませんな。

 もっといっちゃっている「寝言」を書けば、そのうち、欧米もゼロ成長にゼロ金利と日本みたいになってくるんでしょうかね。なんとなく、経済危機を起こすのは民間部門であって、公的部門はそれに事後的に対応するしかなく、それとて規模によってはやれることは限られていることが忘れられてしまっているご様子。政府を擁護するわけではありませんが、市場がこれだけ規模も範囲も大きくなってしまうと、政府の影響力は小さくならざるをえないという簡単なことが忘れられてしまうようです。もっとひどいことを言えば、危機に際して、これをやったら、次はあれと「計画」が簡単に立てられるなら、もはや自由経済とはいえないのでは。俺の言うとおりにやらないから、こんなことになるんだなんて書いてあると、さぞかし利巧な方なんだろうなあと。「上から目線」で書けば、存在の不完全性、すなわち自然現象のように生きる者から見ると、なんともスケールの小さいところですら、「畏れ」という感覚を失った現代人がパニックに際して政府を「神」のごとき存在であることを求めて、そうでないことに腹を立てている様子は滑稽ですらあります。