2008年12月01日

ソマリア沖海賊の跳梁跋扈が示すこと

 先週は、若い人には珍しく例の作文に共感する人がいたので、珍しい虫でも眺めるように会話をしておりました。戦前の日本は侵略国家ではなかったとおっしゃるので、「大陸で侵略しましたけれど、何か?なにが悪いんですか?」と「むしろ悪女がいい派」の立場で尋ねると、しばらく沈黙。コミンテルンがどうたらこうたらとおっしゃるので、「ローズヴェルトはコミンテルンに操られた愚鈍な指導者で、その程度の人物の罠にはまった日本の指導者はみんなバカばっかりだってことですね。わかります」と話すと、しばらく沈黙。イラク戦争だって侵略じゃあないんですかとおっしゃるので、「仮に侵略だったとして、治安を改善した上で駐留協定を結んで居る状態ですが、何か?」と話すと、再び、沈黙。とどめに、「戦前のことを悪く言われていては戦えないなんて言っている将官連中は万が一のときに戦闘したくない言い訳にしか聞こえないのですが、何か?」と畳み掛けると、とんでもないのに出くわしたといわんばかりの失礼な表情(正常な神経の持ち主なのでしょう)で逃げられました。

 そんな観念的な議論をしている間に、インドのテロばかりでなく、『朝日』まで11月30日に「海賊怖い…喜望峰へ遠回り 年間100億円のコスト増」(参照)という記事を配信していました。あくまで前川弘幸日本船主協会会長の発言として「『海賊から守る自衛艦の派遣をお願いしたい』とも訴えている」と締めくくっていて、とくに論評を加えていないのも興味深いです。

 海自の艦船の派遣を行うべきか否かという点を離れて、この記事は簡潔ですが、けっこうおもしろいなあと。喜望峰へ迂回すると、航行距離が約6500kmも長くなるというのはすさまじい。スエズ運河は中東戦争で閉鎖されたりと地政学的には非常に不安定な位置にありますが、海賊で迂回を強いられるというのは大変な事態だなあとあらためて感じます。ちょっと、驚いたのが、所要時間が6日から10日程度増加するというあたりで、粗い計算ですが、速い船で平均25ノット弱、遅い船になると記事にもありますが平均15ノット弱というところでしょうか。船の種類にもよりますが、現代の商用船は意外とスピードが出るんだなあと変なところで感心してしまいました。

 日本国内では海賊対策のために海自を派遣する方がよいという提言が増えているようですが、中国でも軍艦を派遣せよとの主張があるようです。『レコードチャイナ』は「ソマリア沖に中国軍艦を、海賊を撃退せよ―香港メディア」(参照)という記事を配信していますが、こちらは露骨に中国海軍の派遣が海上交通に依存している中国経済にとって不可欠だというストレートな主張で、日本国内ほど屈折していないのかもしれません。現実問題として写真で出ているミサイル駆逐艦をインド洋からソマリア沖に展開できる能力があるのかはわかりませんが、日本国内で議論がぐだぐだになると、日本の海運会社の船舶が中国の軍艦にエスコートされるという、とっても素敵な姿を見ることができるのかもしれません。


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