2010年03月18日

日本には政府が必要だ

 リーダーで他ブログの記事や邦字紙のサイトを適当に眺めていると、維新ごっこが流行りのようですね。平和なものですなあ。コーエーのゲームに『維新の嵐』というのがありましたが、カードゲームをやっているような気分でした。なんだか日本政治というのはずいぶんと薄っぺらくなったようです。海外でこんな政治をウォッチしていないだろうと思ったら、Wall Street Journalが2010年3月17日付でJames Simmsによる"Japan Needs A Government"という記事を配信しました。記事のタイトルが真面目なのか、揶揄が入っているのかは私の語学力ではわかりませんでした。

 噴いたのは、冒頭部分で"It's time for the training wheels to come off."と述べていて、そろそろ自転車操業に乗るために、補助輪を外すときだと、ちょっと小バカにしていて、非国民の私には鳩山内閣の成立と支持率低下などの経緯にふれた上で、参議院で民主党が過半数をえていないために、少数党に配慮せざるをえないことを指摘しています。金融制度改革やアメリカとの安全保障問題で連立相手の小政党に振り回されているとも指摘ししています。また、長期的な経済成長と傷んだ社会保障制度を見直していくという公約を果たすのにも少数党との連立が不可欠だと述べています。

 まあ、邦字紙にしても日本語のブログでも、国内政治は上品なものでして退屈なのですが、この記事は辛辣なぐらいです。"Unfortunately, Mr. Hatoyama, the scion of a political dynasty, has proven unable so far to make tough decisions."と述べています。鳩山氏は政治的名門の御曹司ではあるが、不幸なことにタフな決断ができないことがわかってきたと指摘しています(もう少しこなれた日本語訳にすると、「神輿は軽くてパーがいい」という感じかな)。なんとなく思っていても、口にできないところでしょうか(脱税の話が海外で出てなくてよかったですね。普通は政治生命を失う程度に厳しく一発アウトでしょう)。まあ、"incapable"と書かないわけですから、辛辣というほどでもないのかな。興味深いのは、描写ばかりしているわけではなく、次のような分析を行っていることです。

  Part of the problem is that the government lacks a central decision-making body. The administration said it will abolish the Council on Economic and Fiscal Policy, which brought together the prime minister, key cabinet members and the Bank of Japan governor.
  Now dormant, the council at times proved effective in carrying out policy. But Mr. Hatoyama doesn't want something identified with previous structural reforms championed by former Prime Minister Junichiro Koizumi, a popular politician from the rival Liberal Democratic Party.

 問題の一部は、政府が中央の意思決定体を欠いていることだ。政権は、経済財政諮問会議を廃止すると述べた。経済財政諮問会議には首相や主要閣僚、日銀総裁などが参加する。
 今ではこそ、会議は、休眠状態だが、政策を実行するのには有効であった。しかし、鳩山氏は小泉元純一郎総理(自由民主党の人気の高いライバル政治家)が支持した構造改革と同一視されることを欲していない。


 まあ、財務大臣が「デフレ宣言」をして、なにか対策をするのかと思ったら、日銀がなにかやれよというすごい政権ですのでなにかを望むこと自体ムダだというのが非国民である日本人たる私の感覚ですが、政府の意思統一が出来ていないというのは的をえているかなと。また、記者は小泉さんが引退したことを知っているのか、ちょっと疑問に感じますが、海外の日本政治関連では小泉政権の評価が高く、この記事では婉曲的ながらも、小泉改革を評価して、鳩山氏がそれを嫌っているという指摘も興味深いです。小沢氏との二元支配という指摘はやや食傷気味でしょうか。この記事の分析でもでてくるように、前回の総選挙では自民党でなければよいというだけの理由で集団自殺政権交代が起きたわけですから、役者が変わっただけでもインパクトがあり、やっていることは小泉政権と同じでも問題がなかったのでしょう。

 ちょっと先走っている感じもありますが、最後のパラグラフでは「民主党のへまにもかかわらず、だが、それゆえ民主党は次の選挙で負けるだろう。鳩山氏が機会を利用しようとするのなら、最良の行動があっただろう」と結んでいます。官邸主導の政治は小泉政権で、いろいろと不備もありましたが、プロトタイプができました。安倍・福田・麻生政権は、それをメンテナンスすることに失敗しました。失望した国民は、政権を代えましたが、さらに政治的な意思決定プロセスが混迷するでしょう。中国の為替レートに関する米紙の反応がすさまじいので前座として軽く触れるつもりでしたが、意外と長くなったので、次の機会に回します。


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