2010年04月15日

一見、選択肢が多いと間違えやすい?

 胃腸がなんとか収まりましたが、なんとなく生気がないです。失礼な表現になりますが、ちょっと迂闊な韓国人と会話をしていたら楽しかったです。まあ、当然ではありますが南北統一を願っていると言うので、向こうの一人当たりGDPは韓国の20分の1ですよというと、びっくりしていました。うーむ、普通はここで統一は悲願だが、現状では大変だよねとなるのですが、向こうが面食らっていて、ちと意外。年齢的にはほぼ同世代なので、この点では珍しいぐらいナイーブな方でした。なるほどと思ったのは円が高すぎるという愚痴で、確かに日本ではデフレがふんだらだで騒いでいますが、外国人からすると日本の物価は、サービスも含めて、依然として高いといってよいのでしょう。政権交代前から観光立国だそうですが、さほど珍しいものがあるわけでもなく、そのくせ、製品やサービスの品質自体は高いとはいえ、むやみに高いわけですから、海外から見て日本が特別、魅力的だとは映らないと思った方がよいのでしょう。

 で、私が面食らったのは、「鳩山さんはいつ辞めるんですか? 7月の参院選で民主党が負けたら辞めるんですか?」と尋ねられたとき。この手の話は韓国人に限らず、外国人から言われると、どんなに不出来な総理でもやはりたしなめるのですが、あまりに底意がなく、素朴に尋ねられたので、鳩が豆鉄砲でも食らったような気分になりました。えーと、それが一番わかりやすいですね。ただ、鳩山さんが私の記憶の範囲では最悪の総理とはいえ、代わりが見当たらない。政治はどん詰まりですよというと、妙に納得していました。アジア通貨危機をリアルタイムで共有していたので、そのときの苦労話を聞いていると、やはり戦後日本というのは敗戦が底で、本当の意味での試練を経ていないのだなあとあらためて実感しました。同世代の韓国人と話が合うのはやはりIMFの悪口でしょうか。日本の1990年代なんてぬるま湯みたいなものです。ただ、やはり反米感情が強いので、韓国が反日であっても親米であればうまくやってゆけるが、逆だとどんなに親日でも仲良くはできませんよと釘を刺しました。

 体調も悪いし、気候も不安定なので、日曜日に名人戦の棋譜を見ていたら、びっくりです。今期は第68期で羽生善治名人対三浦弘行八段の対決。棋譜しか見ていないので、次局からは衛星放送を録画しておきたいのですが、横歩どりから後手羽生名人の85飛車。と思ったら、角交換が入って現在の最新形とのこと。相横歩ほどではありませんが、決まると一発で終わりそうなので、見ている分には楽しいですが、とても指せそうにないですね。封じ手予想は△7四飛か△8一飛の二択だった様子。検討陣は△7四飛をおすすめでしたが、羽生名人の指し手を見ずにパッと見た感じでは、△8一飛かなあと。5五の地点に馬ができるので、受身になりますが、△7四飛で攻め合いというのも今一つ迫力がなくて自信がもてないなあと。先に桂馬と香車をとられるのもちょっとつらい。たまたま当たりましたが、さすがに46手目の7六角はまったく思いつきませんでした。相手に攻めさせてカウンター狙いかなという感じですが、角を捨てて飛車を抜く手順というのはちとびっくり。この損得はまったくわかりません。この時点で飛車を抜く手順がメインの読み筋だったのか、成り込む手順と両にらみだったのかもわからず。

 しかし、47手目の三浦八段の▲7三歩、49手目の▲7ニ歩成は大きく、6ニの銀が外れると、後手陣は狭いし、駒の連携も悪く、厳しいなあと。ぼおっとそんなことを考えて先を進めると、またまた羽生名人が54手目に△2五飛と引いてびっくりしました。なにも考えずに△2九飛成の一択かと思いきや、香車をとらせて桂馬を外すとは。ただし、棋譜解説では渡辺竜王が△2九飛成以下の手順を示して感想戦で羽生名人もそちらの方がよかったですねえと話していたようなので、ちょっとひねりすぎた手順だったのでしょう。こんなの名人と竜王で意見が一致すれば、私みたいなど素人は盲目的に信用しますね。しかし、渡辺竜王の示している手順はごりごりと直線的に攻めたてるタイプで、羽生名人には浮かばないだろうなあと。七番勝負が終わっていない段階で不謹慎ですが、来期の名人戦の挑戦者は渡辺竜王が最有力でしょう。「柔よく剛を制す」とは言いますが、渡辺竜王の直線的な攻めは見ごたえがあります。羽生世代に引導を渡す対決になるのか、来期が楽しみだったりします。

 手順を追っても、所詮は素人なのであまり意味がないので省略しますが、82手目、羽生名人が△3八桂成とした局面で渡辺竜王のコメントが興味深いです。形勢判断の前提は、やや三浦八段がよいようですが、次に指す手が難しい。いろいろ指したい手があるようにも見えます。パッと見て思いつくのは、▲4ニ成香か▲4ニ銀成ですが、勝ちきる手順が難しいです。棋譜解説で示されている手順は三浦八段がよいとのことですが、非常に難しい。あとは▲3八金と成桂をとってしまう手ですが、玉の下ががら空きになるので、けっこう怖い。▲5六玉もあるかなと思ったら、解説では△5一玉で銀を外す手順が成立して思わしくないようです。モニターから三浦八段が声を漏らした様子が解説には出ていて、指し手がなくて困っているわけではなく、選択肢がいくつかあって困ってしまったのでしょうか。指された手は▲3四桂で、素人でもパッと見て詰めろ。64手目で羽生名人が△4ニ金(棋譜解説ではこの手自体の評価は高い)と寄った時点で、▲3四桂で後手玉が痺れるかもと思っていましたが、この時点ではなんと敗着。もちろん、▲3四桂で後手玉が縛れるというのは私の単なる思い込みでしょうが、どこかでいれておきたいなあと。それが、この局面では敗着とは。解説にそう書いてあることもあるのですが、その後の手順を追ってゆくと、この手の後で、素人目にも三浦八段には勝ち目がまるでありません。将棋の怖さを実感します。

 手が広いように見えるだけで、実は手が狭いのか、実際に選択肢が多かったのかは素人にはわかりません。極論すれば、将棋ならば、結果ははっきりとすぐにわかりますが、実社会では数年、あるいは数十年もかかるでしょう。将棋ほど時間制限が厳しいわけではありませんが、人は日々、三食に何を食べるかということから、立場が立場なら下の人に多大な影響をおよぼすであろう選択を迫られます。選択肢が多いことが幸いするのか、不幸をもたらすのかは実に悩ましいものだと感じました。


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posted by Hache at 06:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 気分しだいの寝言