2010年09月08日

コーランの「焚書」 破綻国家を2つもつくるのか?

 なんだか変な気候ですね。台風まで日本列島をうろうろする始末で、昨年の9月から碌なことがないような気がします。暑さもあるのでしょうが、前歯の治療に入ってから、歯軋りでもしているのでしょうか、夜中にすぐ目が覚めて、再度、床に入ってもうとうとするのが限界です。ほとんど思考らしい思考ができず、厳しいです。不思議なことに、電車の中ですと、爆睡できるので、早めに出かけて始発の駅から乗って睡眠時間を補っています。起きているには仮歯にしては食事などに支障を感じないほど噛み合わせはよいのですが、先に治療した奥歯とて異物を入れているわけでして、意識しないうちに体が反応しているのかもしれません。

 そんなわけで思考力がゼロ、判断力もゼロという平常運転ではあるのですが、アフガニスタン絡みの米紙の報道で気になることがありました。Wall Street Journalが2010年9月6日付けで配信した Julian E. Barnes and Matthew Rosenbergの"Petraeus Condemns U.S. Church's Plan to Burn Qurans"という記事がタイトルからして穏当ではなく、内容を読んで、目を剥きました。フロリダの小さな教会が9月11日にコーランを焼く計画をしているのに対し(後で紹介する記事では50人程度が参加する模様)、ペトレイアスがそれだけは勘弁というところでしょうか。怒ったアフガニスタンの抗議デモ参加者が石を投げるなど、しゃれにならない騒動になっているようで。世論に見放されたカルザイ政権の顔を立てながら、アフガニスタンの治安構築を、米軍へのアフガン市民の信頼にもとづいて再建しようとするペトレイアスからすれば最悪の状況と言ってよいのでしょう。WSJの報道から1日遅れでNew York Timesが"Petraeus Warns Against Planned Koran-Burning"という記事を、Washington Postが"Petraeus condemns Fla. church's plan to burn Korans"という記事を配信しました。基本的にはWSJの記事と変わらず、コーランを焼くという計画だけでも、アフガニスタンの狂信者へプロパガンダの材料を与え、実行されたら(以下略)というところですが、NYTの記事では、コーランの「焚書」を計画しているTerry Jonesを単なる狂信者としてしか伝えていませんが、WaPoの記事では、次のような記述があります。

In Florida, Jones rejected the warnings and said his church plans to go through with its "International Burn a Koran Day."

Jones said he agrees with Petraeus that burning copies of the Koran could provoke violent opposition, but he argued that the United States should stop apologizing for its actions and bowing to kings, the Associated Press reported. He apparently referred to a London summit meeting in April 2009 when President Obama greeted Saudi Arabia's King Abdullah II, now 86, by clasping his hand and bowing.

 フロリダでは、ジョーンズは警告を拒否し、彼の教会の計画を「国際的なコーランを焼き払う日」として実行すると延べた。

 ジョーンズはコーランの写本を焼くことによって暴力的な反対を誘発するだろうという点でペトレイアスに同意した。しかし、彼は、アメリカは行動に関する謝罪と王に頭を下げるのをやめるべきだと主張したとAPが報じた。彼は、どうやらオバマ大統領がサウジアラビアの現在86歳のアブドッラー2世の手を握り、お辞儀をして敬意を表した2009年4月におけるロンドンサミットに関して述べているようだ。


 まあ、いずれにしても、ジョーンズさんに「逝っちゃってる」感を覚えるのは禁じえないのですが、以前、斜め読みした記事に、やはりWaPoで無視できない程度にオバマ大統領はイスラム教徒だと信じ込んでいるアメリカ人がいるという世論調査が以前、出ていて、オバマさんも大変だなあと。いろいろと国内で誤解されているようですなあ。天皇陛下ともそうでしたが、オバマさんは精神的権威にはごく普通の礼をとっている気もします。他方、オバマさんが国民への説得が不十分なまま、成果を出そうとしてアメリカの世論を分断しているのは否定できないのでしょう。コーランを焼くという行為を肯定するつもりはまったくありません。ただ、彼が仕事をするほど、アメリカの世論が分断されていっていることは否定できないと思います。彼が歴史に名を残すとしたら、アメリカ国内を砂漠のようにバラバラにし、アメリカの世界への影響力を決定的に貶めたということになるのかもしれません。

 なんといっても、イラクから撤退してアフガニスタンへは増派するというオバマさんの戦略は理解不能でして、やはり破綻国家を中東と南アジアに2つもつくりたいのだろうかと。2010年9月7日付でWall Street Journalが配信した"Petraeus Sees Gains Amid Afghan Violence"という記事ではペトレイアスがアフガニスタンとイラクの違いを分析しています。アフガニスタンでは部族(民族)対立が強く、武力による掃討作戦は部族間対立を高める可能性が高いとのこと。ペトレイアスは文句なく、優秀な司令官だと思いますが、最高司令官は軍事的才能は皆無といってよいのではと思います。オバマの資質をあれこれ詮索する方が少なくないのですが、軍事に興味がないのではなく、まったく軍事がわからないから成果を収めようと意気込んだり、腰砕けになったりと肚が座らないだけなのでしょう。よほどブッシュ政権の路線を踏襲してくれていれば、こんなバカなことにはならなかっただろうにと悔やまれます。


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