2011年04月18日

困難を極める東北地方の電力問題

 新聞社のサイトで見た覚えがあるのですが、どこの社だったのかは忘れてしまいました。東北電力のサイトに記載があるので、(参考)こちらが正確でしょう。実質的には東北電力と東京電力の合弁会社である常盤共同火力の勿来発電所から調達しても、東北電力が想定する今年の8月の最大電力には到達するわけではなく、あらためて厳しい、綱渡りの状態が続くことを実感します。勿来発電所に関しては検索すれば一発ですが、立地は微妙なところですが、石炭火力の再開発が進んでいることを実感させられます(参考)。2011年3月14日の「寝言」で首都圏の電力問題について書いた者としては、現在の電力問題に関する報道が首都圏のことばかりで異様な印象を受けます。「時の最果て」にはふさわしくない「寝言」ですが、せめて首都の名にふさわしい情報発信をして頂きたいと思います。

 東北地方の電力復興は、被災地の再建を図るうえで不可欠ですが、電力会社の投資が極めて限られている状態では既存設備の活用に限られてしまうのでしょう。首都圏へ必死に電力を供給するべく各電力会社が努力を行っている現状で、首都圏のマスメディアや識者と称する方などから電力会社へのバッシングが続いているのは極めて異様な光景です。下記にもある通り、経済産業省が、東西融通を事業者に促しているのが現状です。

 経済産業省は13日、東京電力と東北電力管内の電力不足を補うため、東日本と西日本で異なる周波数を変換する施設の数を増やしたり、送電の能力を高めたりする方針を固めた。中部電力など他電力からの電力融通を、5年以上かけて現状の数倍の300万〜500万キロワットに増やす。

 電力需要が高まる夏のピークは、東電と東北電を合わせ7500万キロワット。これに対し、両社が今夏までに確保を目指す供給電力は6200万キロワットにとどまる。火力発電所などを増強しても数年は厳しい電力需給が続くとみられ、電力融通の拡大で中長期的な電力不足に対応する。

 現在、東電が中電から受け入れられる電力は100万キロワット。東電と中電の間にある変換施設の能力を増やす。与党内には、政府が施設増に補助金を出すべきだとの意見もある。

 日本は明治時代、東日本の電力が周波数50ヘルツの発電機を導入、西日本は60ヘルツの発電機を導入したことから東西で周波数が異なり、スムーズな電力のやりとりを妨げている。

 また、東電は中電から、東北電は北海道電力から、それぞれの管内に引き込む送電線の本数を増やして容量を増やす。(福田直之)


 もっとも、60Hz地域の電力会社からは冷ややかな話がほとんどです。まず、東京電力の管内は、首都圏を含むとはいえ、日本で販売されてきた総電力の3分の1近くを占めるほど、電力需要が極めて巨大であることです。電気事業連合会HPの電力需要実績に関するデータ(参考)によれば、2010年度上期(2010年4月から9月まで)では、いわゆる全国10社の電力会社の総販売電力量は4,582億5,139万6,000kWhであり、東京電力の販売量は1,506億5,949万5,000kWhと実に10社合計の32.9%を占めます。東北電力は410億9,564万1,000kWhと約9.0%を占めるにすぎません。現在でも、東北地方(茨城など北関東を含むますが)では地震が続いており、仮に、想定されている電力需要を超過する供給能力を確保できたとしても、送電が破壊されるなどのリスクは依然として残っており、安定供給を東北電力が実現するのは、需要規模が小さいからといって容易ではないことを首都圏の識者どもは忘れるべきではないのでしょう。被災地は、茨城や千葉などを除いて、東北地方に集中しているという事情をおいてもです。

 60Hz地域の電力会社が冷ややかなのは、既に書いたように、周波数の変換所に要するコストが巨額であること(だいたい同程度の発電所をつくるのと変わらない)が大きいのですが、周波数の変換が不要な北海道・本州間連系でも60万kwがいいところであって、このケースは送電網を、海底をもぐらせなければならないという特殊な事情が大きいのですが、日本の地理を考えれば、周波数の問題をおいても連系に要する費用が大きくなるという事情を無視している議論を見ると、それが首都圏のことしか考えていないという視野狭窄に陥っているという点を除外しても、うんざりするのが正直なところです。電力会社の方もうんざり気味のようで、各方面から問い合わせが多いとのことですが、現実を見てくれとも言えず、お疲れのご様子。ちなみに、周波数統一の話もしてみましたが、やはり発電所単位で莫大な費用が発生するばかりではなく、最終需要家レベルでインバータをかませなくてはならず、言うは易く行うは難しというところでしょうか。家電はよほど古い冷蔵庫や洗濯機は別として対応ができそうですねと話すと、まあそうですねと。問題は、中小零細の事業所で使われている発動機でしょと話を振ると、そちらにすべてインバータの取り付けをお願いするとなると気が遠くなるとのこと。識者先生方が空理空論を振り回している間に、下記のような危機が既に生じているわけでして、首都圏の先生というのは、一度やったらやめられない、極楽な稼業ですなあ。下記の記事は、60Hz地域でも電力料金の水準が長期にわたって上昇することを予想せざるをえない問題を指摘しています。資源価格も上昇しており、デフレがどうこうという以前に、全般的な物不足が長期化すれば、種々の財貨やサービスの小売段階で価格や料金に転嫁にしても、しないにしても、長期的に復興に伴う税負担に日本経済が耐えるのはかなり厳しい状況となりかねないでしょう。

 東京電力福島第一原子力発電所の事故を受け、電力各社が社債(電力債)を発行できずにいる。東電だけでなく原発を持つほかの電力会社の信用も揺らぎ、金利が上昇しているためだ。4月の電力債の発行は、4年4カ月ぶりにゼロとなる見通しで、混乱が長引けば各社の資金繰りが悪化しかねない。

 社債は、事業会社が金融市場から直接資金調達するために発行する債券。電力会社は例年の4月だと上旬に発行することが多いが、いまは「動きがない状態」(市場関係者)だ。金融情報サービス会社のアイ・エヌ情報センターによると、このまま電力債の発行がなければ、2006年12月以来の事態となる。

 電力10社の電力債発行残高は約13.1兆円。社債市場全体の約2割を占める。とくに東電債は約4.8兆円の残高があり、売買も多いために社債市場の「指標銘柄」とされてきた。

 社債は国債利回りに上乗せする金利が、取引の指標となる。電気料金から安定した収入が見込める東電債は、国債に近い信用があり、上乗せ金利は市場でも最低水準だった。

 発行された社債は、証券会社の店頭(流通市場)で売買され、金利(価格)が上下する。事故以降、東電債の上乗せ金利は急上昇(価格は下落)。直近では事故前の23倍、2.56%幅に高まった。売買はほとんど成立せず、新規発行ができない状態だ。

 金利は、ほかの電力債も上昇している。津波による原発事故は、どの電力会社でも起きうる。自治体は停止した原発の再起動に慎重だ。電力各社は津波対策を求められており、そのための巨額投資で業績が悪化するとの見方が、金利上昇の背景にある。

 数兆円ともみられる東電の賠償金の一部を業界全体で負担するという観測も、金利の押し上げ要因。「電力各社に大きな負担となり、格付けが下がる可能性がある」(アナリスト)。

 東電は毎年5千億円にのぼる社債償還などに備え、事故後に金融機関から2兆円の緊急融資を受けた。ほかの電力各社も社債を発行せずとも、銀行借り入れで資金調達できるが、調達コストは社債より高くつく。

 東日本大震災後、東電債の上乗せ金利上昇を受け、社債市場全体が低迷した。ようやく大手銀行が発行を始め、事業会社にも動きが出てきたが、依然、東電の賠償問題が影を落とす。市場では「政府の東電処理方針が固まるまでは、本格的な発行は難しい」(アナリスト)との見方が強い。(前地昌道)


 現状は東北地方の電力復興に最も高いプライオリティを置くべきだというのが、「時の最果て」にふさわしくない、まじめな「寝言」です。福島第一に足を引っ張られる形で、東電のみならず、東北電力をはじめ各電力会社の資金調達に困難をきたしている状況では、電力会社の自助努力に任せているようでは、それすらも空理空論になりかねない状況です。中東におけるイランとサウジの新しい「冷戦」など考えたいことが山積みですが、日曜日の朝7時からやっていた番組で福島産のイチゴを御厨貴と渡部恒三ほかが食べているのを見ながら、こいつらはなにをやっているのだろうかと休日の早朝から憂鬱になりました。別のところを読みながら、銀座の街を明るくするために東西融通に投資して、それがひるがえって60Hz地域の電力料金にも跳ね返るとなったら、どのように説得するのだろうかと。ちなみに、勤務先以外でも東京方面への出張を控える傾向が強いのですが、理由は簡単です。地震で新幹線をはじめ復路の手段が確保できないリスクがあるから。地震や津波が怖いわけではなく、まして放射能(CSの番組を見ましたが、福島の人を心配しているようには見えませんでしたが)などには無関心というのが実情です。自粛ムードとは無関係です。政治や行政、経済などの中枢が東京に集中しすぎているのが問題でしょう。あと、やはり同じく朝日ニューススターの番組で逆に放射能で発がんリスクが低いという話は結構なのですが、福島第一周辺の方々に避難をお願いしている与党議員がいうことかねえと。ちなみに、1955年から1960年生まれあたりは層が以上に薄い印象です。政治的リーダーシップの担い手も含めた本格的な復興は、わかってもいない理屈を振り回す団塊の世代よりもはるかにたちの悪い連中が隠居してからかなあ。全治20年というところでしょうか。

 まじめにやるつもりでしたが、やはり無理ですね。復興構想会議は復興妄想会議にでも改名してもらって、五百旗(苗字が読めないと復興期に関心がない人にはきわめて評判が悪い)氏に今は亡きMaxisの開発陣とシムシティ4000開発資金を与えて、東北地方太平洋沖地震復興シナリオでもつくればいいのに。増税したら市民が暴動とか西洋的な要素も取り入れて頂くとか、高台に車で5分もあれば漁業ができるという発想がどれだけ現実離れしているのか、実感していただくには、ゲームの開発費用程度なら、実際に適用されるよりもはるかに害が少ないと思います。


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posted by Hache at 00:35| Comment(0) | TrackBack(0) | まじめな?寝言