2011年06月02日

第69期将棋名人戦七番勝負第5局

 海外も含めて、この世のあれやこれやを忘れたい気分です。クラシックもよいのですが、段々、贅沢になって生で聴きたいなあと。そんなわけで、真剣勝負に申し訳ないのですが、名人戦第5局の棋譜を火曜日から見ておりました。途中までは先手は森内俊之九段、後手は羽生善治名人です。途中までは、封じ手予想クイズでは▲4五歩を予想しました。以下、△3五銀、▲3六歩で後手の銀が遊べば、先手陣の整備ができるでしょうと。驚いたことに、羽生名人は銀を引かずに、△2六銀とどんどん進んできて、悲鳴を上げそうになりました。職場には内緒ですが、このあたりは、仕事用のパソコンで駒音を消して見ておりました。

 5月末日締切の書類を私にしては珍しく期日までに提出したこともあって、本当は木曜日の準備のために残業が必要ですが、大盤解説を聞きたくなりました。同僚たちが早めに帰宅するムードだったので、6時過ぎに勤務先を出て、大盤解説場へ。実は、将棋会館に出向くのは初めてですが、山崎隆之七段と大石直嗣四段の解説だったので、出かけました。6時40分ぐらいに到着したので、72手目の△5二金を解説されていました。山崎七段が先手森内九段に角を渡した後で、後手羽生名人が▲7二角の打ち込みを消しているという手の狙いを解説していました。実際は、終局後の開設だったと思うのですが、山崎七段も大石四段も△5二金を印象深い手として挙げておられました。山崎七段の説明よれば、先手から指す手がないのを見切った手で、将棋盤全体を見渡していないと指せない手とのことです。大石四段なら、この手を指さずに、△6三桂として飛車角交換の後で手を考えるんでしょと山崎七段がジョークを発して、大石四段がそうなんですよねと答えているあたりが楽しかったです。

 しかし、△5二金と▲6六歩の交換は先手がつらいのですが、このあたりで羽生名人と森内九段は、盤上で、どんな会話をしていたのだろうかと。ちょっと想像したくなりますね。

羽生名人:いきなり桂馬で飛車をつますのは簡単ですが、角打ちの備えもしたいですよ。
森内九段:……。
羽生名人:それにそれに、森内さんから積極的に出ていく手がないでしょ?
森内九段:…・・・。正直なところ、困りました。

 8時すぎから後手の寄せの手順と先手からの詰めろの手順が検討されていましたが、会場から派手な寄せ手順が示されて、こちらの方が華やかなせいでしょうか、最初は異なる手順で示されていたのですが、派手な手順がメインになりました。羽生名人の最後の手がファックスで入って、解説をされていましたが、終始、楽しいトークで楽しませてくれていた山崎七段が羽生名人は冷たいですねと。また、強くなるためには、このような厳しい手を指さなくてはとも。このあたりは、会場向けでもありますが、ご本人にも言い聞かせているような印象をもちました。

 山崎九段の全体を通しての印象は、序盤で森内九段が後手陣の形をとがめようと▲3七桂と跳ねたあたりに問題があり、△2六銀から銀桂交換を行って、飛車を中心に先手の攻め駒を攻めていけば十分だという羽生名人の大局観のよさが際立った将棋だったそうです。棋譜解説でも同工異曲のことが述べられており、プロ棋士の共通した感覚なのでしょう。個人的には、もっとひどい手順で崩壊させられる可能性があった局面で自陣に角を打った森内九段の受けもすごみがありました。今後の七番勝負の行方ですが、谷川九段の話として、羽生名人の2011年勝率は悪いけれども、対局を重ねていくうちに調子を上げてくるでしょうと。ただ、それが名人戦に間に合うかどうか。山崎九段は、棋聖戦に王位戦の挑戦者決定戦もあり、体調が大丈夫かなどうかと心配されていました。大石四段は、やはり第7局まで見たいですねと話されていて、まったく同感でした。それにしても、山崎七段はユーモアもさることながら、見る側への心配りが実に細やかで、もともとファンでしたが、ますます好感が上がりました。大石四段は、穏やかですが、若い世代らしく、筋が悪くてもあえて踏み込む手順を多く示して下さって、若いときに安全勝ちを目指すよりも、リスクをとるというのは大切なので、さらなる活躍を期待いたしております。



続きを読む
posted by Hache at 07:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 気分しだいの寝言