2011年06月05日

解説者を泣かせる手順の不思議

 第69期名人戦第5局2日目午後のBS中継を録画しておいたので、見ました。やはり午後の中継で、後手の羽生名人が△5二金と指した時点で、解説者の阿部隆八段も意表をつかれたようです。久保利明二冠と解説を進められていましたが、指された当初は、意味を考えようと駒を動かして、うーんとなっていました。久保二冠があっさりとこの手の説明は無理ですねと話すと、阿部八段が二冠がそれじゃあ困りますと苦笑いをしていたのが印象的です。角の打ち込みを防ぐという狙いははっきりしているといえばはっきりしているのですが、あまりに漠然とした手です。羽生善治名人らしいといえばそうなのですが、やはり普通ではない手だなあと。谷川浩司九段と井上慶太九段の二人で検討が進んでいくうちに、先手の森内俊之九段の応手が難しく、こちらも困ったご様子でした。

 森内九段は50分前後、考えて▲6六歩と指されました。これも不思議な手で、やはり意味が分かりにくいです。BS中継の解説では、△4五桂とはねられた場合、玉が6筋から逃げられるという手ではありますが。やはり、羽生名人の「手渡し」に対して、飛車を逃すなどの有効な手がない状態で、動かしてもダメージが相対的に少ない手を選んだというところでしょうか。谷川九段が▲6六歩にかえて▲6八銀とすると、ひどいことになるという手順を示されていて、なるほど。この手を考えているときの森内九段はつらい苦吟を続けられていたと思いますが、飛車角交換後、その後の手順は直線的ですから、この時点で▲8八角という、バラバラの陣形をまとめながら、最後の反撃を狙う局面を描いていたのかどうか。

 BS中継では阿部八段が56手目あたりで後手が既によかったのではとのことでした。棋譜解説では、封じ手の▲4五歩がまずく、この段階で▲2七銀など陣形を整えなくてはならないとのことです。△2六銀から銀桂交換で十分と見た羽生名人の大局観が、優れいてたのでしょう。なお、山崎七段が話していた羽生名人の調子は、BS中継での谷川九段の発言でした。対局数を重ねるごとに羽生名人が調子を上げているが、名人戦に間に合うかどうか。一方の森内九段は名人戦に専念できる状態のようですが、それがプラスに働くのかは難しいところのようです。第1局までは森内九段の良さばかりが目立ちましたが、第5局で羽生名人らしい手が出て、両者のよいところがぶつかる好勝負を第6局に期待したい気分です。



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posted by Hache at 10:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 気分しだいの寝言