2011年09月22日

スマホとラーメン

 ネットで見ていたら、台風で愛知県が大変だなあと。帰宅してNHKの9時のニュースを見ていたら、なんとういう首都圏ローカルの情報しか流れないのかとびっくりしました。まあ、さすがに最初の20分ぐらいは大変だなあと思うのですが、延々とやられるとうんざりしますね。帰宅難民がどうたらこうたらとか、首都圏の交通情報とか、1時間を超えてやられると、もっとひどい被害のところは報道しないのかとなります。津波は別格ですが、堰止湖でもできないと、テレビとしてはおいしくないのかなと。9月11日前後の番組もおしつけがましいですし。東北地方太平洋沖地震を忘れることはないのですが、忘れるな、忘れるなとしつこく言われると、うんざりします。拉致問題のときに、1年たって母上が、毎日あの話ばかりされると、疲れるとこぼしておりましたが、週一でスイッチを入れるかどうかのテレビでも私には十分うんざりです。震災復興の財源がないから復興が進まないという流れをつくっているのには嫌味を込めて感心しましたが、世代を超える話となりますと、消費税率換算で2%(年間5兆円)もあれば十分で、最初の十年にお金がいるなら、なにも増税にこだわる必要はないでしょうね。通常の長期債で十分ではと思うのですが(世代間の公平なら、金額を考えても、年金の方がはるかに問題だとしか思えないのですが)、世の中的にはそうでもないみたいなので、この話題は避けているのですが、帰りの電車で信頼しているエコノミストに聞いたら、東京が変じゃないですかとのこと。地方都市に住んでいると、財務省の「魔の手」が伸びないので、とても気楽です。どうも東京の識者なりの話や報道を見ていると、下の画像のような目で見たくなりますね(職場からアクセスされている方はクリックしないことをお勧めします)。ちなみに、「復興目的」の増税が、それ以外の財源になるんじゃないのという疑念があるということです。関東地方のエコノミストとか経済学者というのはバカ正直にツイッターだと書いてますね。あれを読んだら、ああ、復興の負担を将来世代に回さないのが目的ではなくて、それ以外に、「専門家」(笑)の主観で必要だとみなした分野にお金を使いたくてしょうがないのがわかります。人から国家権力でむしとってきた金であるにもかかわらず、自分の主観でここに回そうなんて発想は私には『三國志』とか『信長の野望』とかでしかできないです。個人的には住民税の所得割を廃止して、均等割部分を月3万円で統一してくれたら、とても嬉しいのですが(本当はもっと多くても大丈夫ですが、自分の所得をネットにさらすほど、破廉恥ではないので)

http://imas.ath.cx/~imas/cgi-bin/src/imas9393.jpg

 まったく話は変わりますが、AT&TがTモバイルを買収する件を取り上げたら、あまり説明がよくなかったような。アメリカの合併・買収の実務に疎いので、この程度の合併で裁判になっては大変だなあと。司法省の言い分自体は理解できるのですが、いまだにHHIとかで買収をブロックするというのは古色蒼然としているような。かなり端折った「寝言」ですが、AT&T分割による通信の規制緩和というのは、分割のスキーム(主として長距離通信市場と市内通信市場を別の市場として分割する)や自然独占とされた市内通信でベル電話会社と持株会社に異常なほどの規制強化が行われたという点で問題が多かったというのが原点にあります。垂直分離というのは、規制緩和という「大義名分」の下に、行政府が仕事をつくる側面があって、需要側のニーズや供給側の技術進歩を行政府が把握して適切なスキームをつくることは原理的に無理な以上、新規参入を認めて、AT&Tに相互接続を義務付ければよく、そのルール作りは面倒かもしれませんが、FCCは1980年代に利用者アクセスチャージの引き上げで議会や州の公益事業委員会を説得できなかった時点でアウトでしょうね。私が見ていたのは主として、1995年ぐらいまでのアメリカの通信産業でしたが、その頃はまだ、電話料金も下がり、通話料は増え、分割されたAT&Tが1991年には史上最高利益を上げるなど、AT&T分割後の通信産業がバラ色にアメリカのウォッチャーには映っていたようです。いわゆる「ITバブル」を経て後、金融危機を経験する前には、かなり悲観的になっていて、1996年通信法は欠陥だらけだし、そもそもAT&T分割なんてやらなきゃよかったという見解をロバート・クランドールあたりが出していて、ずいぶんと変わったなあと。個人的には、遅きに失したとはいえ、加入者アクセスチャージ(SLC: Subscriber Line Charge)を引き上げたのは、通信自由化によって期待される、内部相互補助の抑制へと大きく進んだということでしょう。最も、ITバブル崩壊後には、足回りを十分にもたない事業者が競争の結果、内部補助の原資を出す体力を失ってたために、結果的に市内通信会社に料金の引き上げが可能になったことが大きいのでしょうが。分割直後から1980年代後半にはAT&TやMCIなどが負担した事業者アクセスチャージ(CCLC: Carrier Common Line Charge)は、15年以上前に作った資料によると、実に売上高の4割を占める状態でした。AT&T分割の意義は、独占の解体というよりも、規制の下で、市内電話料金を抑制したい連邦議会や州の公益事業委員会の政治的な圧力によって、いかに料金体系が需給を反映しないという意味でゆがんだものになるということをアクセスチャージ制度を導入することによって、白日の下にさらしたということでしょう。

 話を元に戻しますが、アメリカの移動体通信(向こうでは"wireless"という表現が多いので、無線通信とした方がよいのかもしれませんが)では、この10年ぐらい合併が多くて、AT&Tに待ったをかけるのは市場シェアやHHIだけの問題ではないだろうなと。Wall Street Journalが2011年9月18日に配信した L. Gordon Crovitzの"AT&T and the Economics of Monopoly"というコラムは、AT&Tがいまだに独占の象徴として扱われていることを示していて興味深いです。ただし、加入者もしくは有料記事でしょうから、あまり紹介できませんが。司法省がHHIとか市場シェアなど形式にこだわる限りは、市場支配力の強化につながると懸念するのは、当局としては当然でしょうと言わなかったので、些末なツッコミを入れられたのは鬱陶しかったですが。個人的には、米紙の報道で興味深かったのは、New York Timesが2011年9月1日付で配信したJenna Worthamの"T-Mobile May Suffer if AT&T Deal Fails"という記事です。最近になって、TモバイルがiPhoneの発売を来月あたりから行うという報道もあるので、記事でTモバイルは買収が完了するまで端末の新規契約を凍結しているという叙述は、疑問が残るものの、もし、Tモバイルの買収が失敗すると、ウェブ上ではいろいろな投機目的の憶測が流れているが、CATV事業者以外には買い手がつかないというのは、それが正しいかは別として、推論のプロセスが興味深いです。

(1)スプリントは、異なる規格を採用している事業者を買収すれば、巨額の投資が必要になるため、買収が困難であろうという指摘は、この部分も技術的なことがわからないので留保月ではありますが、それが真であれば、AT&Tの側には投資のインセンティブが存在するとともに、投資の原資を確保する体力があるということなのでしょう。なお、Verizonの基地局数が4,300に対し、Tモバイルの基地局数は5,400だと指摘しており、周波数帯の確保とあいまって、AT&Tが投資するインセンティブがあるとも思えます。

(2)アップルやグーグルがTモバイルを買収した場合、(本業ではない)通信ネットワークの運用に労を割くことを避けたいだけではなく、他の通信事業者との関係を悪化させることを懸念しなければならないという指摘も興味深いです。iPhoneはアメリカではAT&Tが独占的に販売していましたが、とっくに崩れており、他の国でも複数のキャリアがアップルと取引を行う、あるいは取引を行う交渉をしていました。日本だけがソフトバンクだけでしたが、こちらもauが販売するようで、元々、スマホ自体、個人的には利用したいとも思わないのですが、通信では投資をケチって再生エネルギーがどうたらこうたらとか胡散臭い会社が武器を失うのは悪くないなと。

 話がそれましたが、AT&Tによる買収が失敗した場合、Tモバイル単体では落ち目の状態で、代わりの買収相手となるとCATV事業者だというのは、説得力があると思います。ちゃんと確かめていないのですが、CATV事業者がAT&Tに代わって買収する場合、州のPUCの規制下に入るので微妙な部分がありますが、AT&Tが買収する場合とCATV事業者が買収する場合を比較した場合、現段階で前者の方が消費者にとって不利益を与えるのかどうかは、私では判断がつきかねます。寡占化が進むことへの懸念を明確に反証するのは難しいのですが。スプリントが提供しているパケット制限なしの料金の維持可能性には疑問を呈する向きも多いので、iPhoneの発売とともに制限なしの新料金プランがあるから、これをもって市場支配力の形成に懸念をもつ必要はないという意見にその場で同意しましたが、説得力に欠けますね。AT&TやVeriozonは極端に通信料が多いユーザーに課金ではなく、通信量そのものに上限を設けているので、技術進歩とともにボトルネックが解消するかもしれませんが、過渡的には市場支配力が高まる可能性を否定するのは難しいでしょう。簡単に言えば、移動体のトラヒック増加を口実に、現状はトラヒックを制限しているものの、通信料金を値上げする素地があり、AT&Tのシェアが高まれば、寡占化によって競争が制限され、料金の値上げが生じるという問題を排除することはできないでしょう。

 ラーメンの話ができませんでした。まあ、よほどお暇な方は「続き」でもどうぞ。



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