2012年09月19日

ミサイル防衛をめぐる米中のさや当て

 ここ数日、咳が時々出て、それほどではないのですが、体力を地味に削っていきます。なんだかけだるい感じ。「寝言」も書くほどのことはなにもないので放置しておいて大丈夫だと感じますね。というか、まあ騒ぎの割には中国側に不利な話が多いので、尖閣諸島にきている中国の武装漁船と当局の船を上手に追い出した上で、向こうが泣きついてくるまで放置プレイでもいいのではと思ったりします。あんまり私自身がわかっていないので、日中関係でしたり顔でもっともらしいことを言う前に、Wall Street Journalが2012年9月17日に配信したJulian Barnesの"Panetta Announces U.S. Expansion of Missile Defense”という記事を読んでおいた方がよいのかなとは思いました。

TOKYO−Japan will host a second land-based radar to defend against ballistic missiles, U.S. Defense Secretary Leon Panetta said, underscoring America's deepening military and security engagement in the region, but potentially complicating Mr. Panetta's trip to China this week.

China has raised questions about the U.S. investment in missile defenses, saying they could be aimed at reducing the effectiveness of Beijing's nuclear deterrent. Analysts have said the missile-defense system expansion could feed Chinese fears about containment by the U.S. and encourage Beijing to accelerate its own missile program.

But defense officials said Monday the new deployment of the early-warning system, known as X-band, wasn't aimed at China. At a news conference, Mr. Panetta said he will continue to make clear to the Chinese that the U.S. ballistic-missile defenses are aimed at North Korea.

(東京)日本は対弾道ミサイル防衛を目的とする地上配備型のレーダーを受け入れるだろうとレオン・パネッタ米国防長官は述べた。パネッタは、この地域における軍事的および安全保障上の関与を深めることを強調したが、潜在的にはこの週のパネッタの中国への旅を複雑にした。

 中国は、アメリカのミサイル防衛への投資が、中国の核抑止の有効性を減じることを目的としていると指摘して、疑問を提示した。アナリストはミサイル防衛システムの拡張は中国の、アメリカによる封じ込めの恐怖を助長し、独自のミサイル計画を加速させるだろうと指摘した。

 しかし、月曜日に国防省の高官はX-bandとして知られている早期警戒システムの配備は中国を標的としたものではないと述べた。記者会見でアメリカの弾道ミサイル防衛が北朝鮮を標的としたものであることを中国に理解させることを続けると述べた。


 北朝鮮の弾道ミサイルを防ぐためにずいぶん手間をかけますなあと中国側ではなくても、嫌味の一つも言いたくなりますが、「おめえの弾道ミサイルがうざいんだわ」と中国に面と向かって言われても困るので、説明としては苦しいですが、まあやむをえないかなと。ミサイル防衛が対中「封じ込め」となるか否かは、中国の行動と意図にも依存するので、アメリカ側としては結果的に封じ込めとなる手段をとること自体はやむをえないでしょう。非常に粗雑に、中国が日本を実質的な支配下に置けば、アメリカは、少なくとも太平洋の西側で行動の自由を失うので、ゼロサムゲームを避けようとすると、かえって危険だと思います。どの道、ほとんど言いがかりのように、「悪いのはアメリカ」(参考)と言われるのは避けられないでしょうから、開き直って頂いた方がありがたい面もありますが、まあ、言わぬが花という面もあるので、当座は「悪いのは北朝鮮」としておくのは、大人の知恵でしょう。

The first X-band radar is located in northern Japan. A U.S. team landed in Japan in recent days to discuss where the second facility will be located, according to a U.S. defense official. Officials have said they want to locate the radar, formally known as AN/TPY2, in the southern part of Japan, but not on Okinawa, where the U.S. military presence is deeply controversial.

 1基目のX-bandレーダーは日本の北部に配置された。アメリカの国防省の高官によれば、日本に駐留しているアメリカの一団は最近、2基目の施設をどこに配備するのかということを議論を重ねているという。高官は公式にはAN/TPY2として知られているレーダーを日本の南部に配備したいと述べた。だが、米軍の駐留が深刻な議論の的となっている沖縄以外の場所だとも述べた。


 沖縄の感情にも配慮しているようにもとれますが、ミサイル防衛の拠点として沖縄が除外されているのは、考えすぎかもしれませんが、微妙な感じです。日本の報道をざっと追うと、パネッタの発言のうち、尖閣諸島が日米安全保障条約の適用範囲であることに集中していますが、この時期にぼかすのは日本に対しても中国に対しも危険すぎるので、当たり前だろうと。それよりも、中国を中心とした現状に不満をもつ諸国の動きを抑えて太平洋の西側の秩序を保つためには、まず、アメリカが日本に対して核抑止を確実に提供することが、素人目にも根本でしょうと。それまでは核報復による、いわゆる「核の傘」が基本でしたが、ミサイル防衛が実用化されてくると、両者のミックスになるのでしょう。さらに、陸上配備型が整備されてくると、イージス艦に配備されているミサイル防衛の柔軟性が増すので、相乗効果が大きいと、これは完全に素人の発想ですが、思います。パネッタ国防長官の発言は巧妙ではないかもしれませんが、西太平洋の秩序はアメリカが担保し、日本が最も重要なパートナーだとは言っていませんが、そういっているのとほぼ同等の意味だと考えてよいと思います。沖縄が配備の対象から当初から外されているのは気になりますが。

 日中関係はと言えば、誰が見ても官製デモで、いくら憎っき日本相手とはいえ、領事館からスーパー、工場まで無茶苦茶するなあと中国人の文明の程度を世界にさらしているよとせせら笑いながら、笑いをこらえて見ております。他方で、力の使い方を知らない蛮族がカネをもち、腕力もつけてきているので、対抗措置は必要だろうと。その点でミサイル防衛でアメリカが「二の矢」を飛ばすのは歓迎なのですが、日本側の対応が尖閣諸島という局地的な問題で終始しては困ります。

 まあ、素人の杞憂だとは思うのですが、財務省のサイトの「平成25年度予算」(参考)から「平成25年度一般会計概算要求額等」をPDFファイルで見ると、概算要求の段階で605億円とはいえ、前年の当初予算から減少しています。もちろん、予算額を増やすことばかりが防衛の充実につながるとは限らないと思いますが、年金は3割カットして、長寿医療制度など生温いので、75歳以上も現役並み負担にした上で、本人負担は青天井にしますと。防衛費そのものは倍ぐらいに増やして、やっと最低ラインではとすら思います。きっと防衛予算の拡充を訴える方々の多くは、口を開けば「お国のために」と出てきますから、「お国のため」だったらこれぐらいが当然ではないかと。もちろん、自衛隊を安く運用できるのなら、それに越したことはありませんが、海軍の運用ができるかもしれない蛮族への備えを考えると、それなりにカネがかかるのは当然ではないかという「寝言」が浮かびます。


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