2006年09月28日

気分しだいの必殺技

 昔は、よく風邪をひいては発熱してたいてい39℃を越えていました。それでも、咳がでない限りは、6時間、しゃべってふらふらでもなんとかこなしておりましたが、年をとりました。ここ数日、37.5℃前後の微熱でまいってしまう。この程度の熱で頭が回らなくなるというのは、10年前にはなかったのですが、もうそういう歳というところでしょうか。平熱のときに頭が回っているのかという根本的な問題には沈黙するしかないのですが。

 仕事が溜まる一方で体と頭がついてこないと、鬱になるので、こういうときの特効薬、ベッドにぐったりしながら、高橋留美子『らんま1/2』を読んでいます。こんなことやってる場合ではないのですが、気分まで沈むと長引くので、アホなことをやっています。コアなファンには「貧力虚脱灸」編とか「新之助」編が受けるようです。これは文句のつけようがない。ただし、ちゃらんぽらんな読者は「獅子咆哮弾」編(20巻)が思い出深い一編です。

 思えば、20年以上昔は、『ジャンプ』派と『サンデー』派とで60年安保も文化大革命も吹き飛ぶような壮絶かつ空しい戦いが全国で繰り広げられていたのでありました。どちらも読むなどというのは、けしからんと両派から攻撃されてしまう始末。書く申す私めも『ジャンプ』派の一員として、「軟弱」だの、「○々しい」だの、汚らわしい言葉で相手陣営を非難しておりました。このような時期に、『スピリッツ』が仕掛けた『めぞん一刻』で『ジャンプ』派の多くが切り崩され、「裏切り者」という怒号も空しく、戦いはいつの間にか雲散霧消したのでありました。

 まあ、実際には両方読む人がほとんどでありまして、上記のことは悪い冗談ですが。

 時は流れ、20代の半ばあたりでしょうか、帰省してもやることがなく、母上と20分以上間が持たないので、まんが喫茶でぶらぶらしていると、『らんま1/2』が目に付いて読み出したら、ツボにはまってしまいました。どこでツボにはまったかというと、「ずれた人」らしく「獅子咆哮弾」編だったわけであります。

 お読みになったことのない方がほとんどかもしれませんので、一応、背景を整理しますと、主人公である早乙女乱馬は、天道あかね(三女)と両親(早乙女玄馬、天道早雲)によって幼少のみぎりに許婚となることを定められてしまいます(正確には、早雲には3人の娘(長女かすみ、次女なびき、三女あかね)がいて、そのうちの一人を許婚にするという、まあ、ちゃらんぽらんな約束な訳ですが)。玄馬は、ちゃらんぽらんを体現したような格闘家(無差別格闘早乙女流)でありまして、お好み焼き屋の主人と屋台と引き換えに乱馬を主人の娘、久遠寺右京と許婚の約束をするわ、中国での修行時代に女乱馬を抹殺すべく追ってきたシャンプーが男乱馬に敗れ「女傑族の掟」なるもので勝手に結婚したがっても、これを否定せず、それは、それはちゃらんぽらん道を極めた親父であります。中国の「呪泉郷」で乱馬は「修行」中に父に「溺女泉(ニャンニーチュアン)」に突き落とされてしまい、水をかぶると、女に変身してしまう体になってしまったという話が全篇を貫くキモではあるのですが、本題と関係ないので詳細は省きます。

 さて、「獅子咆哮弾」なる技。基本は土木工事のための技だそうですが(まじめに書くとバカみたいですな)、基本レベルでは重い気を放って相手を吹き飛ばすという技ですが、重い気を放つには不幸が不可欠。乱馬のライバル、響良牙は、あかねに心を寄せるも、一つ屋根の下で暮らすうちに乱馬とあかねは、次第にお互いを意識しあうようになり、良牙はあかねと友だち以上の関係にはなれない不幸な星の下にありました。そんな良牙には「獅子咆哮弾」がうってつけの技でした。乱馬は手も足もでず、ぶちのめされてしまいます。ひそかにリベンジを果たすべく、特訓に励む乱馬。不幸な気分になるための乱馬の秘策とは…?

かすみ「本当にお食事抜いてもいいのね?」
なびき「負けたらあたしの家来になるのね?」
あかね「あんたの不幸ってこの程度なの?」
らんま「やっぱりだめか…」

 …。この時点で、私には「萌え」です。これは私からすると、究極の不幸。もう、晩飯ぬきとなったら、この世の終わりのような気分です(今は、食欲がまるでないのですけれど)。さて本編「気分しだいの必殺技」。父、玄馬にまで「聞けば獅子咆哮弾とは、不幸で気が重くなればなるだけ?気?の重さが増し…。破壊力も増すのだそうではないか。チャランポランなおまえに使える技ではない」と言われてしまう始末。私だったら、わかっちゃいるけど「あんたにだけは言われたくねえよ」となるところです。それでも、「健気に」特訓に励む乱馬。「気が進むまねーんだ、ほっといてくれ」と叫んで放った乱馬の一撃は…。

 …。乱馬の手元でぴたりと止まったのでありました。

あかね「?気?が進まない…」
なびき「あーら、おもしろい」
らんま「今度こそ〜〜」

 気を放つ乱馬の横でなびきがあかねのスカートをめくると、思わず乱馬が目を奪われ、放った気は散ってしまいます。

あかね「なにすんのよ」。
なびき「?気?が散るかなーと思って…」
らんま「邪魔すんじゃねーっ」。

 自信をなくした乱馬は必死に気を放つも「本当に良牙に勝てるのか〜〜〜!?」とくよくよしてしまいます。放った気は迷走して乱馬に命中し、気を失わせます。

なびき「こっこれは!?」
玄馬「?気?の迷い!!」
あかね「乱馬!!」
 
 窮地に立たされた乱馬の秘策とは?獅子咆哮弾を完成させた良牙へのあかねの言葉。そして、良牙の完成した技に究極の破壊力をもたせたあかねのとどめの言葉。すんませんが、続きを知りたい方は、まんが喫茶でどうぞ。

 漸く本論なのですが、この「獅子咆哮弾」編ほど、私がちゃらんぽらんな性格であることを自覚させてくれた作品はありません(って、まじめに書くことか?)。乱馬から格闘に強くかっこよく、女性にもてることを除いたら、なんと性格の似ていることよ。生真面目で神経質という自己認識は、高橋留美子のすばらしい「気分」の描写によって無残にも打ち砕かれ、実は気分しだいのちゃらんぽらんな人間であるということを深く、深く自覚したのでした。そして、気分という私が最も軽視していたことが人間社会を洞察する上で深いヒントを与えてくれたのでした。

 え゛って、体調不良にかこつけて遊んでいるだけじゃないのって?いえいえ、そうではありませんよ。頭が働かないなりに、次回は誰も書かない「気分」の恐ろしさについて、真剣に「寝言」を綴ってまいります。

…かもしれない。

 それにしても、なんで微熱でこんなにしんどいのでしょう。体がだるいは、直ぐに眠くなるは、まいったなあ。仕事は溜まる一方だし。気が重い。気が重い。気が重い。気が重い。気が重い。重い気。

  獅子咆哮弾!!
posted by Hache at 00:06| Comment(0) | TrackBack(1) | 不幸せな寝言
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