2008年07月17日

迷走するアメリカ

 想定どおりと申しますか、単なる怠惰さと申しますか、更新が滞っております。一日のうち、3分の1を睡眠に費やさないと、たちまち仕事の質が低下するという加齢とはこういうことかと実感する日々です。いきなり脱線ですが、自分のことぐらい「老化」という言葉を使ってもいいのかなと思いますが。昔は意外と生真面目でして、やるべきことが増えてくると睡眠時間を減らしていましたが、最近は逆に増やすようにしています。今日も、ある会合で昼食をいただきながら、食べ終わるのが一番、遅くて隣の方々にからかわれてしまいました。なかなか豪華なお料理でゆっくり味わってしまい、「おいしそうだね」と。図星でありまして、「家でもスローペース?」とからかわれて、素直に「はい」と答えました。「いやいや、マイペースが一番だよ。それが長生きの秘訣だから」と言われて、図々しくなったとはいえ、赤面してしまいました。

 そんな話はともかく、「拉致問題に話が集中していますが、核開発で再び北朝鮮が裏切れば、アメリカの日本国内における威信が大きく損なわれることを危惧しております」という私のリプライにカワセミさんのコメントが「それは現時点で底値ですのでさしたることもないかと思います」とあって考え込んでしまいました。私のリプライが北朝鮮の問題に偏りすぎていて、あまり自分でも考え、もとい「寝言」が整理できていないなと。簡単に書いてしまえば、アメリカの国際的なプレゼンスが向こう10年間ぐらいは低下し続けるという危惧があって、日本人が最も身近に感じるのは北朝鮮の核開発を抑止できるのか、拉致問題を解決できるのかというところだろうというアバウトな感覚です。もっと抽象的に表現すれば、これから10年程度は外交・安全保障・経済などの点においてアメリカの影響力が低下し続けるのではないかという感覚です。あまり根拠がないのですが、ペシミスティックな感覚で国際情勢を見ているなあという自分に気がついたというところです。

 曖昧な話が続きますが、以前、この「寝言」で「危機が収まったときに起こりうるであろうことよりも、危機の『マグニチュード』(最近ではガルですか)がまるでわからなくなります」と書きました。機械的に表現すれば、「マグニチュード」がわかるというのは、(1)金融危機によって生じる各国の金融機関の損失額や自己資本の毀損の程度が確定すること、(2)それに対応する政策手段と裏づけとなる資金が国際金融市場に参加しているプレーヤーに危機の終わりを実感させる程度に十分であること、(3)一国の枠組みでは対応できない場合、国際協調体制が機能する、あるいは協調を強制するだけの実力のある大国が存在することを国際金融市場に参加しているプレーヤーが革新できること、などです。素人目には、以上の点で「マグニチュード」がわかりません。

 また、今回の国際的な金融システム不安は国際通貨体制の変容をもたらす可能性とも書きました。これはあまり根拠がありませんが、1929年の世界恐慌からそれに続く国際的な決済システムの混乱や1971年のニクソンショック(金・ドル交換停止であいた)後の国際経済の混乱によって、代替する国際的な信用秩序が構築されるまでに10年単位での時間が必要でした。今回の金融危機は、前述のケースと大きく異なる部分も大きいと思いますが、ニクソンショックとの関係で行けば、ドルの信認の低下とその後のインフレーションという現象面に着目すれば、現代とも共通する点が少なくありません。今回の場合、米国債の信用が損なわれれば、国際通貨体制は根本から変化してゆかざるをえないと思います。

 『世界の論調批評』のこちらの記事で紹介されているBergsten[2008]を読むと、ちょっと驚くのは、EUというパートナーから中国をパートナーとすべしという認識です。まだ消化不良の部分が大きいのですが、アメリカが「パートナー」を選ぶだけの経済的なパワーであるというのは、ペシミスティックな私にはあまりに楽観的な現状認識のように感じます。経済レベルでも、アメリカの影響力は、それが一時的なものであるのか、不可逆的であるのかはわかりませんが、低下し、「パートナー」の選択肢ははるかに狭いように思います。また、既存の国際経済体制への中国の「挑戦」を警戒すること自体は理解できますが、他方で、アメリカ自身が国際的な金融システム不安の源になっているもとでは、アメリカの動かすことができる変数ははるかに狭いように思います。今回は経済的な側面に限定しましたが、ドルにとってかわる通貨はないとはいえ、現在の金融システム不安にアメリカ単独では対応できないという現実を考えると、外交や安全保障におけるアメリカの影響力の低下と切り離しても、アメリカの選択肢は狭いと感じます。
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