2008年10月31日

百鬼夜行の「自由な社会」

 それにしても、病気をしていると、お医者さんとお話しする機会が増えて、喜ぶべきか悲しむべきか。冷静に考えると、とっても不幸せな状態なんですが、他方でこの程度の負担で済むというのもありがたいことでしょうか。患者というのはたちの悪いものでして、採血も慣れてきて、「痛くないので不思議です」と軽口を叩いたら、向こうが慌てて「たまたまでしょう」とあまり話したがらないので、なにかまずいことを言ったのかなと。あとで別の先生が「そういうことを言う患者がモンスター・ペイシャントになることが多いんで警戒されたんじゃないの?」と教えてくれて、なるほど。「モンスター・ペアレント」に「モンスター・ペイシャント」。世の中が百鬼夜行では軽口も叩けない、窮屈な時代です。しかし、思っていたより医療は大変だなあと。以下は、複数の医師から聞いた話ですが、面倒なので「時の最果て」流に会話調にしてあります。内容の真偽は私の記憶頼みですので、あまり信用なさらないように。

医師:最近は診断書も迂闊にかけなくてねえ。
:そ、そうですか?
医師:新入社員のために診断書を書くんだけれど、うっかり断言すると、入社後、使えないのが混ざっていたりすると、会社の弁護士がでてきて、この診断書はどういう所見なのだなんていいだす始末。
:ご、ご無体な話ですね。
医師:まあ、こちらも訴えられたらかなわないから、「就労できる可能性がある」なんて書くんだけれど、これじゃあ診断じゃないよ。
:まあ、どこの会社も社員教育が難しい時代ですからね。人事が責任逃れのために方便でやってるんでしょうかね。
医師:こちとらはたまらないよ。しかし、最近の若いのは本当にダメだなあ。この前なんて病気だという診断書を書いてくれって懇願されてね。どこも悪くないのに、そんなことは書けない。
:悪いのは頭かも……。
医師:おお、言いにくいことを言ってくれるなあ。その後、休暇をとったら、すぐに「回復」しやがった。会社に行くのが苦痛な病気って診断書でも書いてやればよかった。
:しゃれになってないですね。
医師:まあ、それにしても、産科は終わったなあ。
:例の東京の話ですか?
医師:あれは気の毒としか言いようがない。あれは笑えないが、笑って流すしかない話が多い。
:ほお。
医師:そういえば、まだ子持ちじゃなかったな。この手の話はピンとこないかもしれないな。
:それどころか相手もおりませんからね。
医師:それはともかく、陣痛で嫁が苦しんでいるのを見て、お産を止めろと怒った夫がいるんでね。近くじゃ評判だ。モンスター・ハズバンド。
:産みの苦しみという言葉は死語ですかね。世の中、右を向いても左を向いても正面を見ても碌なことがありませんな。
医師:なあにまだまだ甘い。なにがあっても動じないつもりだったが、さすがに、これにはびっくりした。産まれてきた子供が両親のどちらにも似ていない。目つきも悪い。こんなはずではない。出産以前の状態に戻せと産科医をどなりつけた夫がいたそうだ。
:……。ええと、ゲームだったらセーブしておいて思い通りにいかなかったら、リセットボタンを押せば済みますが、そんな感覚ですかね。
医師:ゲームは自分でやらないからわからないけれど、そう、そんな感じ。
:しかし、出産以前の状態に戻せちゃったら、医者じゃなくて救世主では?
医師:まあ、医師に100%を求められるだけでもおかしなことになるのに、奇跡を起こしてくれって言われちゃう時代だからね。教育の問題だな。
:でも、会社勤めがつらいとか、お産がつらいとか学校で教えることですかね?
医師:そういえば、バカ息子が医者になりたいなんて言っていて頭が痛いのよ。「先生」なんて呼ばれる職業に就いたら、碌なことがないって言ってるんだけどなあ。
:でも、国会議員なんていいじゃないですか。2、3年に1回就職活動さえ耐えれば、「九秒で入院」の世界ですから。
医師:うまいこというなあ。あと公務員もいいねえ。公立病院なんて議員様と職員様最優先だからねえ。
:そ、そうなんですか。知らなかった……。

 与太話を続けると、いくらでもできますが、まあすごい社会です。「自由」、「人権」、「法の支配」は万能ではないことを感じますね。もうちょっと、逝っちゃっていることを感じるのですが、さすがに私の頭では言語化することが不可能。現代文明への懐疑的な態度は、それだけではたいていは役には立ちませんが、思い上がりを抑える程度の効能はあるのでしょう。日曜日に、こんな論説を読みましたが、もはや、この国ではすぐれた俗人の頭脳は生まれてこないのかもしれません。 
posted by Hache at 23:34| Comment(0) | TrackBack(0) | ふまじめな寝言
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