2008年11月28日

究極の「睡眠導入剤」

 体も頭も鉛のように重く、動きが鈍いです。たいした作業をしているわけでもないのに、疲労だけがたまる。気がついたら、竜王戦第4局が終わっていました。てっきり木・金だと思い込んでいて、木曜の晩に帰ったら、羽生名人が投了していてとっくに終了。まさに、「あとの祭り」でした。羽生名人が53手目で▲7四角と打った時点で、7筋に7一の地点を除いて駒があって、すごい将棋だなあと。終盤は、渡辺竜王の方がよく見えていたようで、86手目の4三玉は強い手だなあと印象的でした。最後は一分将棋で第4局を渡辺竜王が制して、第5局を迎えます。とここまで眠い頭をひねりながら、書いたものの、ど素人には難しすぎる将棋の連続で、適当に見て楽しめばいいのかなと。

 計8,000億ドルの資金供給で少しは株価が戻したものの、CMBXが再び上昇に転じてスプレッドが再び600に迫る勢い。社債の方はまだ安定しているようですが、なかなか200bpsを切らない状態。不動産価格の下落を「自由落下」に任せるのは危険でしょうが、公的部門が打てる手はあまりないのでは。ひどいことを言ってしまえば、オバマには悪いことは全部ブッシュ政権のせいにすることができる権利があるので、無理な目標を立てなければよいのにと思ったりします。もし、オバマが7,000億ドルの雇用創出への支出を実施して、デフレの傾向が収まらないとすると、資産市場を抜きにした政策論は無意味なのでしょう。本気でどマクロで効果を予想しているのを見ると、なんとなく痛々しい。成熟した経済では理論も変わってゆかざるをえないのでしょう。

 眠い頭で読んだせいか、Michael O'Hanlon, "How to Win in Afghanistan"(Wall Street Jornal, November 14, 2008 こちらから)を読んでも、アフガニスタン増派の効果が実感できません。あまり適切な表現ではないかもしれませんが、アメリカによる個別的自衛権の発動という点で筋のよいアフガニスタン戦争がいまだに収束するどころか困難な状況であるのに対し、国際法上、戦争の違法化が徹底的に進んだ現代では批判がはるかに強いイラク戦争の方が、駐留協定を結んだ上で撤退が始まるという不思議な現象が生じています。「善」だの「悪」だの言っても、不完全な人間が断じることであって、「真相」は「藪の中」だと思いますが、イラクの占領統治が残した教訓は、多くの人が悪とみなす行為はさっさと大胆にやって終わらせることに限るということでしょう。Petraeusもイラクで終われば名将として名を残すかもしれませんが、アフガニスタンにまで手を伸ばすとどうなりますやら。O'Hanlonがアフガンへの増派を主張する際に、ボトルネックとして指摘しているアフガニスタンの地理や経済規模の違いはあまりに大きいでしょう。GDPが11億ドル、連邦予算が4億ドルの国でタリバンを掃討した上で暴れないように抑え込むだけの治安部隊を維持するのは無理がある。2006年の12月頃にはイラク情勢のあまりの悪さにほとんど絶望しかけておりましたが、現在に戻ると、あの状況からよく2年で駐留協定を結んで撤退まできたという感慨すら覚えます。ただ、「イラク戦争の『本当の理由』」という「寝言」を書いた時点ではイラク情勢というよりも、その他の条件が悪化することを考慮に入れておらず、読み返すと、ずいぶん楽観的な気分だったんだなあと思ったりします。

 『世界の論調批評』にある「オバマのアフガン政策」(参照 2008年11月17日(月))は簡潔すぎるぐらいですが、戦略論としてはこれで十分なのではと思うほどです。日本語で書かれている話を読んでいると、結局、軍事の世界も善悪の判断から自由ではないのでしょう。アフガニスタン増派に有利なデータばかりを並べて、実際の実現可能性は無視されている印象があります。確かにイラクの占領統治は筋が悪く、割ける資源という点でも、戦略的な位置づけという点でも、アフガニスタンが手抜きだった感はありますが、始まり自体は筋がよいはずだったアフガニスタンの現状を分析しているO'Haonlonのコラムを斜め読みした印象では、イラクよりも絶望的な感じ。さらにインドにおけるテロで印パ関係が再度、悪化すると、手に負えなくなるのかもしれません。イランの核開発は「最後の手段」を否定せずに、交渉のみで解決しようとすれば、危ういでしょう。イラクの占領統治を見すぎて疲れてしまったのかもしれませんが、無闇にいかがわしい、もつれた関係にアメリカが深入りすると、イラクとは別の意味で小国に振り回されるだけでしょう。冷たいことを言えば、アメリカの利益という点からアフガニスタンへの増派を説得する論理がでてこなければ、単にご無体なお話だとすら感じます。イラクでの「最後の逆転」をアフガンでも狙うというのは微妙でしょう。

 inawさんの「渡辺くん、あきらめたらそこで試合終了だよ」(参照)というのは将棋の世界ではぴったりでさすがに竜王の座を4期連続で保つ24歳の若者は嫁さん選びという男の蹉跌になりやすいところでミスをしないものだと感心します(負け犬の遠吠えですが、20代半ばで「なんで俺がいいんだろう」と妙に客観的になってバカになれなかったのは痛恨の極み)。他方、安全保障の場合には国がなくならない限り、「試合終了」ではないわけで、一つの戦役でどこまで粘るのかは悩ましい限りです。


 なんだか最悪の状況なのですが、ついつい「寝言」を書いてしまいました。というのも、夜の9時過ぎから「参議院インターネット中継」の「ビデオライブラリ」(参照)から「国家基本政策委員会合同審査会」を聴いていたら、ものの10分でぐっすりと30分ほど眠ってしまい、目が覚めたときにはビデオが停止していて、ありゃま疲れがとれちゃったという不謹慎な理由です。最近、年をとったせいか、講演会などで20分もたつとぐっすり。他人の話を聞けない体質になって、若いときに中年って他人の話を聞きやしねえと思っておりましたが、追体験してみると、しみじみしてしまいます。それにしても、現職総理とまかり間違うとひょっとすると次の総理になるかもしれないお方の討論が究極の「睡眠導入剤」というのは、「寝言」の域を超えてますかね。
posted by Hache at 23:37| Comment(0) | TrackBack(0) | ふまじめな寝言
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