2009年01月09日

Stimulations, stimulations more!

 自分で昨日の「寝言」を読んでいて赤面してしまいました。朝からよくもまあ恥ずかしいことを書いているものだなあと。病院で想定している刺激よりもはるかに強い刺激を受けてしまい、困惑してしまいました。それにしても、院長先生の正確な年齢は存じませんが、70歳近い方であるのは間違いなく、触診のときの力強さに驚きます。あの指圧のおかげで肩こりなど一撃で吹き飛ぶのではと思うぐらい、刺激があります。心臓内科ですので、ほぼ完全予約制ですが、評判がよいのでしょうか、年始早々から混んでおりました。

 強引な展開ですが、邦字紙は元旦のテレビ欄ぐらいしか見ておらず(たぶん、その程度しか見ない人が大多数では)、RSSリーダーやメールなどで届く記事のタイトルを見ると、イスラエルのガザ攻撃と並んで"stimulus"を含まない記事が届かない日がないという状態です。Wall Street Journalが2008年12月16日に配信した社説、"Barack Obama-san"(参照)を読んで感想を書こうかと思いましたが、さすがに日本人としてはあまりに自虐的すぎるので断念。既に、昨年の段階からオバマブームの割りに懐疑的な記事がパラパラとですが見受けられたのが、議会との話し合いが始まるとともに、表面的には厳しい批判は避けているものの、懐疑的なムードが伝わってくる記事が増えています。

 どこかの島国では野党様がこども手当てでしたか、名称は忘れましたが、お金を給付する案を出されていたそうで、支給対象となるであろうこどもがいる家庭では「くれるというならもらうけれど、そんなばら撒く金がどこにあるの?」という素朴な疑問で頭がいっぱいだったご様子。で、与党様までなんとか給付金をばら撒くそうで、そんなに財政に余裕があるのなら、「恒久減税」を反故にしたのを元に戻していただければ十分なのですが。さすがにオバマ次期大統領も、"stimulus package"(あるいは"stimulus plan")の実施にあたって議会側からの財政規律の弛緩という批判を避けなければならず、米紙の報道では説得に必死のようです。


 New York Timesが2009年1月7日付で配信した記事(Jeff Zeleny and Edmund L. Andrews, "Obama Warns of Prospect for Trillion-Dollar Deficits"(参照))では、景気後退自体が数千億ドルの財政赤字の拡大を招いていることを指摘した上で、次のようなコメントを引用しています。景気対策の個々の項目に関する言及には乏しいのですが、懐疑的な態度を明確に示しているという点では興味深いです。明確というより、辛らつな気さえしますが。

“One thing investors have to be thinking is, what’s the exit strategy? How do we unwind this stuff?” said Robert Bixby, director of the Concord Coalition. “I would analogize it to what the government is doing with the auto companies. Congress said, we’ll give you the money but you have to show us a plan for sustainability.”

 穏やかなところでは、Wall Street Journalが1月6日付で配信した記事(Jonathan Weisman and Greg Hitt, "Stimulus Plan Would Expand Tax Credit for Poor"(参照))では、オバマの景気対策の内訳が大雑把ですが、示されています。インフラ投資に7,750億ドル、減税に3,000億ドルという実に粗い数字しか見ていないのでなんとも言えないのですが、ここには、金融市場対策や住宅価格の下落への対策などは含まれていないと指摘しています。金融市場や住宅市場の問題に関しては昨年のTARPの残りの3,500億ドルから支出されるであろうと予測しています。"wall street"の対策から"main street"の対策へ目を移そうというスローガンの下で、政治的には評判を落とすであろう、金融市場の安定化を図るのなら、オバマも政治的な巧者という印象に変わりますが、どうもFDRになりたいご様子。Martin Feldsteinは、住宅価格の下落による影響が個人消費4,000億ドルの減少に相当する(米国のGDPの3%程度に匹敵するので信用してよいのかは微妙ですが)と述べた上で、次のように指摘しています。

Mr. Feldstein said the tax proposals -- including a $500-per-worker break on payroll taxes, generous tax breaks for businesses suffering losses in 2008 and 2009, and incentives for business investment -- are smart and well-balanced. But he said he is concerned about spending proposals that would be difficult to reverse once the economy recovers. Those include an expansion of unemployment insurance to cover part-time workers and federal health insurance subsidies for laid-off workers.

 両者とも、「出口戦略」を現時点から考えるというのは用心深いようでもあり、そう遠くない将来に景気回復期にいたることができると考えているという点では楽観的なようにも見えます。他にも、雇用維持のための法人所得控除が効果的かどうかを問題にしていたりとキリがないのですが、だんだん面倒になってきたのでやめます。オバマはブッシュとは異なってはっきりと勝利だと敗者も認めざるをえない大差で選ばれました。また、議会でも安定的な多数をえて、立法府と行政府の関係が円滑になるだろうと見ておりました。他方で、景気対策の内容に関しては、主として財政規律という点で共和党だけでなく、民主党からも懐疑的な見方が広がっているという現状があります。ただちに、議会と政権のハネムーンが終わるとは思えないですが、予算という議会の権限が最も強い分野でオバマ次期政権は最初の試練を受ける可能性が高いのでしょう。

 財政政策の是非についてはあえて述べませんが、1990年代の日本と現時点でのアメリカの最大の相違は、現在のアメリカが政治的に安定しているということでしょう。今回の事態にどの程度、公的部門が貢献できるのかという点に関しては懐疑的ではありますが、最後に引用したWall Street Journalの記事が指摘するように、金融市場と住宅市場が不安定な状態では、景気刺激策の効果はさらに減殺される可能性が高いと思います。この記事が指摘するように、TARPの残り3,500億ドルで対応するしかないのでしょうが、財政政策は痛み止め程度の効果しかないと考えた方がよいと思います。金融市場に関しては、やはりブッシュ政権で鎮火に失敗したと思わざるをませんが、オバマ政権に移行しても、不安定な状態が続く可能性が高いのでしょう。景気刺激策の詳細を見ていないので的外れだとは思うのですが、景気刺激と社会保障が混在した財政政策というのは景気後退期にはある程度までやむをないとは思うのですが、ブッシュ政権の失敗にさらに失敗が重なると失政となるリスクが高いと覚悟した方がよいと思います。
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