2009年03月12日

米国における地上デジタル完全移行延期の周辺

 なんだかんだで疲労がたまっているようで、「寝言」もあまり浮かばない状態なのですが、政府紙幣では使い物にならないでしょうから、政党紙幣を発行して、自民党ならば麻生太郎氏の肖像画入りの紙幣を発行して総裁の印を入れた上で「但し、私が総裁である限り有効」とか民主党ならば小沢氏の肖像画入りの紙幣を発行してやはり代表の印を入れた上で「私の秘書が起訴されるまで有効」と但書を加えて紙幣を発行して、どちらの信用が高いかを格付け、ないしレーティングして(単位:ジンバブエ・ドル)、両党から密約をとりつけて、わが「時の最果て」で独占的に情報を集約して公表すれば、一夜にして大金持ちかもなどとバカな与太話を各所で飛ばしたところ、バカにされながらも、どちらの政党も、過疎ブログも信用がおけないから、あっという間に消費が増えるかもなどと本当にバカにされて悔しい思いをいたしました。まさか、本物の官邸から政府紙幣などというものがまともに検討されるかもなどというシグナルがでるとは迂闊でした。これを検討するだけでも、まさに「とてつもない国」でありまして、もはやこの国の「脳死」ぶり、もといいかれっぷり、もとい素晴らしい頭脳にさすがに「寝言」ばかり書いている私めも目を向く有様であります。マジですか?

 それはともかく、まじめな方というのはどこにもいらっしゃるもので、オバマ政権は政権発足以前から地上デジタル放送への完全移行予定日を延期しているのは知っておりましたが、いよいよ政権発足後、大統領令に署名してこれはちと異様な印象があり、とある研究会に顔を出しました。テレビの視聴者を一括して消費者とみなすのは若干、抵抗があるものの、海の向こうではCATVの普及率が55%前後に上るわけでして、そのアメリカですら地上アナログ放送の低波が延期されるというのはちと意外ではあります。

 背景には地デジへの移行が進まない世帯が無視できないことがあるのは容易に推測できますが、他方で延期すれば放送局とてバカにならない費用が生じるわけでして、すっきりしない状態でした。「通信と放送の融合」などといっても、単に事業者サイドの話でありまして、利用者からすれば率直なところ、こんなもんかいなという程度の話。帯域の再配分が目玉とわかっていても、普通の人にはなんかテレビ映像がきれいだわねという程度の話でありまして、なかなか実感できないものであります。オバマ大統領の決断そのものの説明はあまりありませんでしたが、20枚を超えるスライドを1時間を超えて聞いていても眠くならない話というのは誠に珍しく、午前はまさに「脳死」状態の私も真剣にメモをとりながら聞いてしまいました。

 ブッシュ政権下で"Deficit Reduction Act of 2005"が議会でなんとか成立し、法の一部で"rural development"の一環として6億ドルが予算として計上され、9,000万ドルが地上デジタルへの完全移行の周知徹底に利用されることが可能になったことにことが始まるそうです。米国の場合、地上デジタルが視聴可能になるコンバータの購入に40ドルのクーポンが各世帯に2枚配布されることになりましたが、利用率は2008年末時点で52.5%に留まりました。ただし、クーポンの利用率が低いこと自体は、概ね各世帯に2台とみなされているテレビのうち、実際にコンバータをつけるのは1台のみに留まるなどのケースが多く、また有効期限が9ヶ月(以下、メモと記憶によりますので、オフレコ懇での某官房副長官の発言とは異なりますが、誤りを含んでいるかもしれません。どこぞの官房副長官ほど面の皮が厚くないので、すべての誤りは私の記憶とメモの誤りに起因することを明記いたします)に設定されているためにそのうち買おうとクーポンをもらったものの、有効期限をすぎてしまうケースも少なくないそうです。

 米国ではアナログ受信機に接続するコンバータの価格は50ドル前後であり、高くても80ドル程度であり、現在、1万2,000円する日本のコンバータと比較してはるかに低価格で供給されているそうです。なお、わが国でコンバータの価格が高いのは地デジ対応TVを盛んに製造している大手家電メーカーが製造を行っていないことが大きく、その理由は書くまでもないでしょう。いや、まったく非難の意図はありませんですよ。

 2008年末の時点で地上デジタルへの移行に対応できていない世帯は全米で約15%超に上るそうです。なお、わが国では対応している世帯に関して様々なデータがあるそうですが、50%をなんとか超えるという調査が最大とのことで2011年7月を目途に低波されることを考えると、まさにとてつもなく低い数字ですが、それはさておき、アメリカ。問題は、マイノリティ(黒人、ヒスパニッシュ、中国系移民など)や高齢者層であり、地上アナログ停波の周知を連邦および地方政府や業界団体だけではなく、LCCR(公民権運動)やAARP(高齢者団体)などの非営利団体が補完しているそうです。ただし、非営利団体は圧力団体としての性格も強く、AARPなどはとりわけ高齢化率が先進国の中でも低い米国では突出した力をもっているようですが。

 マイノリティ向けの啓蒙パンフレットの実物も回覧されましたが、よく見ると、ヒスパニッシュや中国系移民だけではなく、アラブ系移民向けのものがあり、米国のマイノリティ事情に詳しくない私には比率がわかりませんが、アラブ系移民の比率が今後、高まるという予測を裏付けるものでした。ちなみに、日系や韓国系はマイノリティとしては啓蒙対象にはなっていないようで、相対的に米国社会での地位が異なるようです。なお、所得水準との相関は希薄であり、むしろコミュニティとの親和度との関連が深いようです。

 非営利団体の活動は啓蒙に留まらず、技術的なサポートもカバーしているとのことで、中国系移民の家庭が地上デジタルへの対応を目的に新規に受信機を購入したところ、実は対応していなかったというケースも紹介されていました。これが言語の障壁によるコミュニケーションの問題なのか、知識不足の問題なのかは明示されていませんでしたが、無視できないケースとのことでした。ボランティアでコンバータの設置や機器の操作などを行っているようですが、まさに「ドブ板」の活動で、オバマ大統領によるアナログ放送の停波延期は時間稼ぎの側面が強いものの、各種非営利団体から好意的に受け入れられているようです。もちろん、停波延期による費用も相当な金額に上るそうですが、利用者を重視した姿勢を明確に打ち出したことはどこかの島国とはずいぶんな差だなというのが実感です。

 『選択』どこぞの月刊誌がオバマ大統領を叩けば叩くほど、どんどんオバマに好意的になってゆくので相当の偏見が入っているのかもしれませんが。もうね、ネットでも批判的なことを書いてあるところを読んだ後でオバマのスピーチをCNNなどで聴くと、「寝言」を書いている人間が書くのが憚れますが、どこぞの島国のように、与野党ともに説得力のあるリーダーが皆無の状態と比較すると、オバマの冷静なスピーチと聞き手の側にあるという適度のユーモア、そして具体的な内容と聞き入ってしまうのですよ。とことん、性根が曲がっているのを実感しますが、フィーバーを招いた大統領選以前のオバマのスピーチにはあまり感心しませんでしたが、着実にPresidentとしての風格を備えてゆくオバマにすっかり見とれております。


 質疑応答を終えて複数の放送関係者と昼食(Nさん御紹介の虎ノ門のとあるお店の牡蠣そばでお腹いっぱいになりました)を摂った後、ヒアリングを行いましたが、「2011年問題なんて生ぬるい。2011年革命ですよ」と残念ながら報告書には書けない話が満載でして、こちらは結局、事実上のオフレコになりました。まず、日本の場合、各世帯を回って周知徹底を行うことができる団体が存在しないとのことでした。なんといっても、不審者扱いされない権威が必要ですし。総務省は「終了のお知らせ」状態で、「みなさまのNHK」はバッシングのおかげでそのような体力がないご様子(人員削減がすさまじいそうで)。

 「2011年革命」の意味は、地上アナログ放送を無策のまま停止すれば、市民が怒り狂うところまでゆくだろうと。そういう事態に直面しない限り、政府は動きはしないというかなり悲観的な見方です。CATVを利用しているのでうっかりしていたのですが、一軒家の場合、地デジ対応の受信機を購入するだけではダメで、アンテナをVHF対応からUHF対応に変えなければならず、さらに機器の接続からチャンネルの設定まで個人での対応は非常に困難だそうです。山手線の内側でも大変なようで、一括して家電量販店に依頼しないと、中高年層でも対応は難しいそうです。アメリカのように非営利団体の活躍が期待できない状態では、地デジへの移行で最も潜在的な「戦力」となりそうなのが家電量販店のようで、これは大変だなあと。

 うちの場合には、電話、ネット、テレビをすべてCATV業者に依頼しているのですが、そういえば、作業が1時間ぐらいかかりました。CATVでも難視聴地域でサービスとしてというよりも、補助でCATVで配信している地域の対応はかなり困難な状態だそうで、「2011年革命」で役所が本気になるのを待つしかないでしょうという悲観的な見通しが多数でした。冷静に考えると、地上波などNHK以外、ほとんど見ない私としてはどうでもいいように思っておりましたが、普通の世帯ではある日、突然、どこのチャンネルも砂嵐状態になるのは確かにショックで、もう少し建設的な対応策はないものかとも思いますが、現実には地デジ移行をサポートする人材が決定的に欠けているという指摘はむべなるかなというところでしょうか。また、NHKへのバッシングが思わぬところで副作用を強烈に生んでいることも興味深く感じました。

 また、CSなどのアンテナを設置していても、地上デジタルへの対応ができないなど制度の不備なども事態を複雑にしているそうです。素人なのでナイーブな質問をぶつけると、Vの帯域を利用するなど効果が大きいものの、受信世帯への対応をコーディネーションする主体とそれを技術的なサポートを含めて補完する主体の欠如につきるとのことでした。でも、総務省があるじゃありませんかとこれまたナイーブな質問をぶつけると、あんたなにもわかっちゃいないようだねとばかりにわが国の放送・通信行政のお寒い実態を、とてもじゃないですが、「時の最果て」ですら書くのが憚られるぐらいまで説明していただいて、あまりの状態に、「ヘ(゚∀゚ヘ)アヒャ 」てな感じ。まあ、どうせ2年後もどうでもいい党争が続いているのでしょうから、案外、くだらない話から無縁になって精神衛生には良いのかも。

 それにしても、通信命の熱い男たちの話も楽しいのですが、男女比率が適正な状態でお話を伺うと、消費者、あるいは利用者の視点というのがこの国の行政には欠けていることを実感します。もちろん、技術進歩の話は胸が躍るのですが、やはり消費者も利益を享受してこその技術進歩でありまして、不出来な内閣が連続しているとはいえ、「生活者重視」という方向性を打ち出した福田政権というのはやはり視点としてはよかったのかもしれません。それが不幸にして具体的な施策として打ち出されたものが、あまりに共感を生まなかったですし、私自身も当時は批判的でした。いかにもお涙頂戴の臭い元工作員との再会を演出して政権浮揚(笑)を図りつつ、韓国への経済支援(こちらは堂々と必要性を説明すべきだと思いますが)への反発を抑えようとする小細工(もちろん私の憶測・偏見にすぎませんが)を見ていると吐き気がしますね。

 困難な状況下で実際的な問題に反発を最小限に食いとどめながら、共感を地道に固めてゆくオバマ大統領の姿を見ていると、アメリカのデモクラシー特有の復元力を感じます。もちろん、アメリカのデモクラシー、市場経済はしばしば「過剰適応」に陥り、行過ぎることがありますが、まさに、そのような「過剰適応」と復元力をもったアメリカのデモクラシーと市場経済は、以前ほどの輝きをもたないにしても、やはり世界の憧れであろうと。この国のデモクラシーに悲観しているわけではありませんが、明治憲法下ですら、立憲君主制が政党間の党争に歯止めをかけるところまで機能せず、今日でも根底でむしろ政争の具になっているかのような現状を考えると、複雑な心境になります。
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