2009年07月07日

バブル 未来の果実を現在で消費した後

 ブログの管理画面を開くのが面倒で、グーグルのリーダーも斜め読みの日々でした。Calculated Riskの記事(参照)経由でBISの年次報告書(79th Annual Report(参照))を読むと、完全に鬱に。抑鬱状態でなにもやる気が起きず、まさに私自身が"depression"かなと思っていましたが、いくらモンスーン気候とはいえ、この蒸し暑さはたまらず、既に暑気と湿気にやられていると気がつきました。それにしても、来ていただいている方に大変失礼なのですが、よく訪問者がゼロにならないものだとたぶん生きてるかどうか確認されているだけかなと思いますが、ありがたいものだと感じます。ちなみに管理画面を見てみると、更新した直後よりもしない方が訪問者数が多いときもあるので、「なんだ、『寝言』のおっさん、生きていたのか、ちぃ」みたいな感じかなと人間不信全開だったりしますが。

 それにしても、"toxic assets"という表現を見ると、やはり抑鬱状態になるのは事実でありまして、BISの年次報告書も斜め読みどころか、飛ばし読みしておりますが、つらいですなあ。第2章では金融危機を5段階に分けて分析していますが、とてもあと数年で出口が見える感じがしませんです。

 第1段階は2007年夏頃から2008年3月のベアスターンズ救済にいたる期間。第2段階は金融機関の相互不信が水面下(業界外からは見えないという意味で)で進行した2008年3月から2008年9月のリーマン・ブラザーズの破綻までの期間。第3段階はリーマンブラザーズの破綻を契機に国際金融がシステミックリスクに直面した2008年9月から10月までの期間。今、思い起こしてもゾッとします。まあ、ほどよい冷房と除湿が欠かせないのですが、冷凍庫に閉じ込められて凍てついてしまうような気分だったことを思い出してしまいます。第4段階は、金融危機と実体経済の悪化の「負の連鎖」が誰の目にも明らかになった2008年10月から2009年3月半ば。BISの報告書では2009年3月半ば以降は今回の危機で初めて安定化への兆しが見えてきた("first signs of stabilization")という第5段階とされています。

 私自身は、BIS報告書の第5段階は小康期あるいは慢性期に入りつつあるという感じです。端的に言えば、FRBやBOEなどの中央銀行が民間のバランスシートから公債やリスク資産(本当に紙切れになりそうな危ない資産を買い入れているわけではありませんが)を自らのバランスシートに移転することによって、一時的かもしれませんが小康をえたという感覚です。BISの報告書も、金融市場の機能不全が続いており、かつ"Libor-OIS spreads"(OIS: overnight index swap)などの指標が金融危機以前よりも高い水準に留まっていることに警戒感を示しています。また、33頁のソブリンCDSスプレッドのグラフを見ると、とりわけヨーロッパの水準は第3段階で異常な水準ですが、既に第2段階でスプレッドが拡大しており、第5段階では水準そのものは落ち着きつつありますが、第2段階の終わりとほぼ同水準である状態です。ヨーロッパ、あるいはユーロ圏では確率自体は低下しているのでしょうが、小国において通貨危機が発生するリスクを無視できないのかもしれません。

 主要国では緊急避難的に中央銀行のバランスシートを拡張させたものの、公的セクターに大きな負担がかかっており、第3段階のような世界的なシステミックリスクが生じる可能性自体は低いと思いますが、先進国の中央銀行や財政への負荷は想像を絶するものがあります。急激な破滅への道をマラソンレースに変えて再起の機会を捨てないためにはやむをえない代償でしょう。財政面では金融危機への対処のみならず、経済の崩壊を防ぐために景気刺激を実施しているのが現状でしょう。いずれは民間部門への負担を求めざるをえないでしょうが、当面は、抜本的な景気の「底入れ」をもたらすほどの効果はなく、中央銀行が財政当局に寄り添う形で支えざるをえないのでしょう。

 金融危機と実体経済の悪化の「負の連鎖」を金融危機からの脱却という点から見ると、今回の危機は実体経済が回復しないと克服するのが難しいと思います。景気の「底入れ」が報道されている現在、的外れかもしれませんが、金融危機以前の「バブル」は、その時点での経済資源の限界を超える消費、そして投資を可能にしました。今回の金融危機が示しているのは、「バブル」というのは教科書的な資産価格がファンダメンタルズから乖離して上昇するという問題であるだけではなく、将来を先食いしてしまう事態を指すのではないか、そんな「寝言」がふと浮かびます。
posted by Hache at 07:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 気分しだいの寝言
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