2010年02月15日

ヨーロッパを変貌させた「ギリシアの悲劇」 "The Greek Tragedy That Changed Europe"

 女子モーグルのフリースタイルは、見てびっくりです。最初は、ロシアやカザフスタンの全身が躍動するような派手な動きに目を奪われました。上村愛子さんが滑ると目が点に。矢がとんでゆくように、ムダがなく、それでいて優雅に。残念ながらメダルはなりませんでしたが、金をとったハンナ・カーニー、銀のジェニファー・ハイルの滑りは上村さん同様、上半身が安定していて、さらに優雅でびっくりです。それにしても雪の上を滑るというのは怖いです。上位でさえ、転倒者が続出。けがをしていないのだろうかと見ている方が不安になりますが、最後まで滑るという強い意志を目の当たりにして、美しい滑りとは別の感動がありました。

 バンクーバーづくしで終わればよかったのですが、PCの電源を入れたのが失敗ですね。リーダーを見ていると、New York Timesがギリシャ関係の話を配信しているので、とりあえず読んだのですが、ちょっとすっきりしないです(例えば、"Wall St. Helped Greece to Mask Debt Fueling Europe’s Crisis"という記事や"Greek Statistician Is Caught in Limelight"という記事など)。BBCは"Greek PM Papandreou calls EU response 'timid' "という記事を配信していて、内容自体はEUの対応が遅くてギリシャが催促している構図そのものはわかりやすいのですが、段々とこの問題を簡単に考えすぎていたのではと不安になりました。

 で、私がうっかりしているだけかもしれませんが、Wall Street Journalの記事がないなあとふと思いました。HPに直接アクセスすると、なんでもない、2010年2月13日付でSimon Johnson and Peter Booneによる"The Greek Tragedy That Changed Europe"という記事を配信していました。リーダーには"Life and Style"を入れてなかったので、知らなかったわけです。全体を見通すにはかっこうの記事だと思いましたので、自分用のメモです。

  Modern-day Greece may be just and wise, but it certainly has not had an ordered life. As a result, the great opportunity and wealth bestowed by European integration has been largely squandered. And lower interest rates over the past decade―brought down to German levels through Greece being allowed, rather generously, into the euro zone―led to little more than further deficits and a dangerous buildup of government debt.
  Now Plutus wants his money back. Europe is entering unprepared into a serious economic crisis―and the nascent global recovery could easily collapse due to the unsustainable and Ponzi-like buildup of government debt in weaker countries.


 格調高い文章ですが、さっくり要約してしまうと、ユーロへ加入したおかげでユーロ諸国の資金が流れ込むだけでなく、ギリシャ政府はドイツ並みの低金利で債務を増やすことができた。債務への懸念が高まると、ヨーロッパは深刻な経済危機に用意がないまま直面し、世界的な回復基調が損なわれたというところでしょうか。サイモン・ジョンソン先生はヨーロッパがお嫌いなのか、率直すぎるのか、"Ponzi-like"という表現を使っていますが、まあ確かにどこかで限界がきて支払い余力が弱い国から崩壊が始まるという意味では、ネズミ講と似た側面があったのかもしれません。

(1)ギリシャはユーロ圏に加入することによって資金が流入するとともに低金利のおかげで政府債務を増やした。

 次は引用を省略して要点のみ。

(2)PIIGS(Portugal, Ireland, Italy, Greece and Spain)諸国は、海外や銀行からの借入が過去10年間、拡大したが、2008年にバブルが崩壊した。

 次に問題になるのがタイミングです。この記事では下記の通り。

  As custodian of their shared currency, the European Central Bank responded by quietly opening lifelines to all these countries, effectively buying government bonds through special credit windows. Europe's periphery was fragile but surviving on this intravenous line of credit from the ECB until a few weeks ago, when it suddenly became apparent that Jean-Claude Trichet, president of the ECB, and his German backers were finally lining up to cut Greece off from that implicit subsidy. The Germans have become tired of supporting countries that do not, to their minds, try hard enough. Investors naturally flew from Greek debt―Greece's debt yields rose, and its banking system verged near collapse as investors and savers ran from the country.

 共通通貨の番人として、ECBはPIIGS諸国にライフラインをそっと開いた。特別信用枠を通して公債を買いとった。ヨーロッパの周辺は脆弱であったが、数週間前はこの点滴のお陰で生き延びていた。トリシェECB総裁とそのドイツ人の後援者は、ギリシャに対する間接的な補助金を切ろうとしていることが突然、明らかになった。ドイツ人は、彼らの考えでは重荷を背負うとしないPIIGSへの支援に疲れてしまった。おのずと投資家はギリシャの負債から流れ出て、ギリシャの金利は上昇した。投資家と預金者が逃げ出したら、ギリシャの金融システムは破綻同然になった。


(3)ECBはPIIGS諸国から外部からわからないように公債を買いとっていた。ギリシャの危機が表面化したのは、ECBが支援をやめようとしたのがきっかけであった。

  But it's not just about Greece any more. Thursday's European Union summit ended with vague assurances of mutual support but did not fundamentally change the financial markets' assessment. Other countries can also be cut off from easy ECB funding, so worries have spread through the euro zone to Spain and Portugal. Ireland and Italy are also up for hostile reconsideration by the markets, and Austria and Belgium may not be far behind. If these problems are not addressed quickly and effectively, Europe's economy will be derailed―with serious, if hard to quantify, implications for the rest of the world.
  Germany and France are cooking up a belated support package for Greece, but they have made it abundantly clear that Greece must slash public sector wages and other spending; the Greek trade unions get this and are in the streets. If Greece (and the other troubled countries) still had their own currencies, it would all be a lot easier. Just as in the U.K. since 2008, their exchange rates would depreciate sharply. This would lower the cost of labor, making them competitive again (remember Asia after 1997-'98) while also inflating asset prices and helping to refloat borrowers who are underwater on their mortgages and other debts. It would undoubtedly hurt the Germans and the French, who would suffer from less competitiveness―but when you are in deep trouble, who cares?
  Since these struggling countries share the euro, run by the European Central Bank in Frankfurt, their currencies cannot fall in this fashion. So they are left with the need to massively curtail demand, lower wages and reduce the public sector workforce. The last time we saw this kind of precipitate fiscal austerity―when nations were tied to the gold standard―it contributed directly to the onset of the Great Depression in the 1930s.

 だが、上記のことはギリシャに関することに留まらない。木曜日のEU首脳会合は相互援助を曖昧に保障するだけで終わったが、 金融市場における評価は根本的には変化しなかった。ECBの基金から容易に他の国も断ち切ることができるのだから、懸念はユーロ圏を通してスペインとポルトガルに広がった。アイルランドとイタリアは市場による敵対的な再考の対象となった。オーストリアやベルギーはもはやPIIGSの陰に隠れることはできないのかもしれない。これらの問題へ迅速かつ効果的に解決する努力をしなければ、ヨーロッパ経済は軌道から外れるだろう。世界の他の地域への影響は、定量化できないとすると、深刻だ。
 ドイツとフランスは手遅れの包括的な支援策を急いで作っているが(あるいはでっちあげているが)、ドイツとフランスはギリシャに対して公的部門の賃金やその他の支出を削減するよう強いることは明らかだ。もし、ギリシャ(と他の問題が生じている国々)に独自の通貨があればことは簡単だっただろう。2008年以来、イギリスがまさにそうであるように、PIIGSの為替レートは急激に低下していただろう。これは賃金コストを引き下げ、より競争的にしただろう(1997年から98年の後のアジアを思い起こせばよい)一方で、資産価格を膨張させ、モーゲージや他の負債の水面下にいる借り手を浮かび上がらせたであろう。これは疑いようもなく、ドイツ人やフランス人にとっては害を及ぼすだろう。彼らは競争的ではないために苦しむであろうから。深刻な問題に直面しているときに、誰が助けてくれるというのか?
 このようにもがいている国が、フランクフルトにあるECBが流通させるユーロを共有しているために、PIIGSの通貨は上記のようには下落することはできない。よって、これらの国々は、需要を減らし、賃金を引下げ、公的部門の労働力を減らす必要が大量にある状態のままで放置されている。この種の緊縮財政を最後に経験したのは、1930年代の大不況だ。当時は各国が金本位制を採用しており、それが大不況の直接の始まりとなった。


(4)ユーロという通貨制度は為替レートによる調整を加盟国に許さないため、財政難に陥った国々に急激な景気悪化をもたらす。もはや、PIIGSだけの問題だけではなく、オーストリアやベルギーの問題も表面化しかねない。今回のユーロ圏(「ユーロ本位制」)の問題は金本位制の下で生じた1930年代の大不況と酷似する。

 ふう、ぐったりしたので、IMFとドイツ・フランスの関係とIMFの支援を受け入れるべしという提言の部分は気力が残っていたら、続きに記します。


 ギリシャ問題をIMFに委ねるべきか。私自身の手に余りますが、サイモン・ジョンソン先生は明確です。とりあえず、提言の部分をメモしておきます。

  The International Monetary Fund is supposed to lend to countries in trouble, to cushion the blow of crisis and to offer a form of international circuit breaker when everything looks fragile. The idea is not to prevent necessary adjustments―for example, in the form of budget deficit reduction―but to spread those out over time, to restore confidence, and to serve as an external seal of approval on a government's credibility.
Despite the fact that the IMF was created after World War II essentially as a U.S.-Western European partnership, and despite the fact that Europe has strong representation at the fund and has always chosen its top leader, in this instance the fund has been reduced to not-entirely-helpful kibitzing from the sidelines.
Dominique Strauss-Kahn, the fund's managing director, said recently on French radio that the fund stands ready to help Greece. But he knows this is wishful thinking.
"Going to the IMF" brings with it a great deal of stigma; just ask the Asian countries that had to borrow from the fund during their crises of the 1990s. And many in Europe view the fund as an American-influenced institution―located three blocks from the White House for a reason―that would be invading Europe's territory.

 国際通貨基金は危機に陥った国に貸出を行い、危機の衝撃をやわらげ、すべてが壊れやすく見えるときに国際的な一時的取引停止措置の手続きを提供することになっている。この考えは、例えば財政赤字削減の形をとる必要な調整を妨げるのではなく、長い年月をかけて財政赤字削減を拡大し、信頼を回復し、政府の信頼性に関する信認に外部から確証を与えるのだ。
 IMFは第二次世界大戦後にアメリカと西ヨーロッパの協調で設立されたという事実にもかかわらず、またヨーロッパは基金に強く主張して最高幹部の決定を常に行ってきたのにもかかわらず、今回の場合、基金は外側からまったく役に立たないおせっかいを焼くだけの立場に追いやられてきた。
 ドミニク・ストラス・カーンは、最近、フランスのラジオで基金はギリシャを助ける用意があると述べた。だが、彼はそれが希望的観測であることを知っている。
 「IMFに駆け込む」ということは、多くの汚点をもたらす。1990年代の危機に基金から資金を借りたアジア諸国に尋ねてみればよい。そしてヨーロッパでは多くの人が、基金はホワイトハウスから3ブロックしか離れておらずアメリカの影響下にあり、ヨーロッパの領域を侵すものだとみなしている。


 この後、ストラス・カーンがサルコジの大統領選のライバルとなる可能性があることから、IMFが政治的な役割を果たすことを好まないだろうと述べています。また、メルケル独首相もドイツ人をECB総裁とするために動いていると指摘しています。IMFが乗り込んでくると、強いユーロと低いインフレ率というフランクフルトの政策的指向とイデオロギー的に衝突してしまうと指摘しています。この期におよんでイデオロギーもへったくれもないのではと思うのですが、相手が相手だけにありえそうですな。

 それでもIMFの関与が不可欠だとこの記事は主張しています。第1に、ヨーロッパの指導者たちはIMFには欠点が多いものの、財政危機に陥った国々を救う類をみない専門的な能力を認めるべきだということです。乱暴にいえば、今のEU諸国の対応よりも、いわゆる「IMFコンディショナリティ」は政治的不安定を招くにしてもまだマシだと主張しています。第2に、ヨーロッパは多国間の財政支援制度をつくるべきだということです。条件づきのプログラムを受け入れた国が保証付きの資金を十分に調達できるようにEU諸国が出資し、IMFが補完すると述べています。ドイツとフランスが直接、融資するのは政治的な困難をともなうから賢明ではないというのはまともだと思います。第3に、ECBの金利を引下げ、インフレを容認すべしと主張しています。"If such looser money policies are not palatable to the Germanic core, then Berlin/Frankfurt should get on with the task of admitting that the euro zone itself is a failure."と記事は述べています。もし、このような金融緩和政策がドイツの中心にとって心地よいものでないのなら、ベルリンとフランクフルトはユーロ圏それ自体が失敗であったと認める仕事を続ければよいと突き放した感じです。最後に、財政危機に陥った国々がコンディショナリティを守れない場合、EUには優雅な出口が必要だと主張しています。"living will"(遺書)という厳しい表現を用いて、ユーロ圏から退出させるという手段が必要だと述べています。「遺書」がない場合、さらなる投機筋の攻撃を招くだろうと警告を発しています。ユーロ圏から退出を余儀なくされた国を再建するのは険しいということも指摘した上で、ドイツがユーロ圏から退出する場合の混乱を指摘して、厳しい善後策の必要性を説いています。

 以下、メモ程度ですが、Simon Johnson and Peter Booneの主張で印象に残ったところを抄訳します。

  Even following Thursday's EU summit, an orderly resolution of these problems seems unlikely. The Germans will push for draconian cuts to Greece's government spending and public sector wages but they won't budge on relatively tight monetary policy and the overly strong euro―and they definitely won't agree to loosen their own (German) fiscal policy.
  Ireland is already cutting hard. Such fiscal austerity leads to double-digit declines in GDP, and risks massive political revolts. Ireland's banks are today probably insolvent. Who can afford to repay their mortgages when wages are falling and unemployment rising? Irish house prices continue to speed downward. This is not an example of a "careful" solution―it is a nation in a financial death spiral.
 
 先週の木曜日のEU首脳会合でも整然とした解決策は出てきそうにない。ドイツ人はギリシャ政府の支出と公的部門の賃金の厳格な削減を課したが、状況から考えて引締め効果をもつ金融政策と過度に強いユーロを変えようとはしないし、ドイツ政府は財政政策を緩和しないだろう。
 アイルランドは既に厳しく削減を行っている。このような緊縮財政によって、アイルランドのGDPは二桁の減少を経験し、政治的反乱のリスクが大きくなっている。アイルランドの銀行は支払い能力がないだろう。賃金が低下し失業が増えているときにモーゲージの返済を誰ができるというのだ。アイルランドの住宅価格は転げ落ちている。アイルランドの事例は、「注意深い」解決とはいえない。それは財政的な「死の」スパイラルに陥った国の事例だ。


 アイルランドの惨状を見れば、国情の相違というより、当然のなりゆきとしてギリシャが抵抗するのでしょう。興味深いのは、この記事ではアイルランドの事例は財政破綻からの救済の失敗例として取り扱われていることです。

  Other EU countries will lobby for a continuation of the status quo. They would prefer the ECB keep lending to the periphery, and the problems be pushed off for another day. This too is no solution.
  For now Europe will try to muddle through. Greece will promise a pound of flesh, hoping not to pay, and other nations will be spared with promises of continued financing―but just for now.
  Financial markets know that this makes no sense, hence the "largest ever" short euro positions, betting on a further decline of the currency. If one country must make a substantial and painful fiscal adjustment, eventually the rest will follow. The implication for bondholders is obvious: Edge towards the door. Bond yields will stay high or creep up, until the next wave of financial crisis and contagion. The problems could easily jump beyond Europe; any sovereign with shaky finances can be hauled before the harsh court of international creditor opinion.

 他のEU諸国は現状維持を望んで政治的に働き掛けるだろう。ドイツ以外の国はECBが周辺国に貸出を続け解決を先送りすることを好むだろう。これも解にはならない。
 ヨーロッパはだましだましやりすごうそうとするだろう。ギリシャは、支払いを望まないまま、厳格な履行を約束するだろうし、他の諸国は財政支援の約束を継続するだろう。しかし、それは当座のことでしかない。
 金融市場は、このようなその場しのぎが無意味であることを知っている。なぜなら、ユーロの価値がさらに下がる方に賭けて、かつてない規模でユーロの空売り(ショートポジション)をしているからだ。ある国が根本的で痛みをともなう財政調整を実施しなければならないならば、結局は残りの国も追随するだろう。この意味は債券の保有者には明確だ。ドアに向かってゆっくり進め。次の財政危機が生じ伝播するまでは債券は高い利回りを保つか少しずつ上昇するだろう。問題はヨーロッパを簡単に飛び越えてゆくだろう。資金調達が不安定ないかなる通貨(引用者:原文では"sovereign"となっている。誤訳の可能性大であることをお含み頂きたい)も国際的な債権者の評価という無慈悲な法廷の前に連れ出されるだろう。


 現状では、最も蓋然性の高いシナリオですが、それは最悪だというところでしょうか。ギリシャ問題はギリシャに留まらず、ユーロが不安定になれば、あらゆる国が厳しい査定にさらされる。「時の最果て」としてましては、金融危機と実体経済の悪化の相乗作用はいよいよ第2段階に突入したという「寝言」が浮かびます。

 アメリカへの提言はあまり興味深いものがないので省略しますが、最後に、この記事は、"Financial markets are telling us the euro zone is under threat, but the real message is much broader: Unsustainable debt dynamics can undermine us all."と結んでいます。ありきたりですが、2007年夏以降の金融危機はリーマン・ブラザーズの破綻によってショックに変わりました。実体経済が悪化する中で、各国が公的債務を積み上げるなかで、後出しのようにも見えるかもしれませんが、公的債務の持続可能性が問題になるのは自明といってよいと思います。今朝の『日経』社説のように、ギリシャ問題に自国の債務問題を関連するのは少なくとも賢明ではあるでしょう。

 ただし、仮に直接、日本の公的債務に疑義が生じなくても、今日の経済の本質は地球的規模での相互依存であり、国際政治の枠組みがそれに対応していないことに、自国の問題以上の関心を払った方がよいのでしょう。公的債務の規模、対GDP比ともに日本はダントツですが、自国の債務問題をギリシャ問題にたとえる安直な謙虚さよりも、他の地域で起きることに備える、そしてその枠組みが欠けていることにどのような努力をはかるのかという思慮深さが必要だと思います。日本がこれまで不得手だった分野に素人政権がチャレンジしなければならないというリスクを常に忘れるべきではないでしょう。

 ふう。なんだか週明けからぐったりしてしまいましたが、微妙にギリシャ問題にIMFをかませろというオピニオン色が強い記事だという感じもします。「ユーロ本位制」がギリシャ問題の解決を困難にしており、1930年代の大不況における金本位制と同じ役割だというあたりが興味深かったです。このあたりを見極めるのが難しいのが、「なまもの」は苦手な理由の一つですが。
この記事へのコメント
ご無沙汰してます。体調はいかがですか?

>日本がこれまで不得手だった分野に素人政権がチャレンジしなければ
>ならないというリスクを常に忘れるべきではないでしょう。

正直手に余るのではとしか言えませんが、そうはいっても頑張って貰わないと困るので悩ましいところですね。そもそもマスコミの国内報道が少なすぎるのでこういうエントリが政治経済系ブログでそれなりに扱われているのは助かります。

金本位制の比較との視点は、言われればそうかと思いますがすぐに出てこないのが不覚です。共に繁栄を追求しているはずが気がつくと負担の配分になっており、いきなり政治的な動きが停滞するのは欧州のいつもの風景なのですけど、それでもあまり突飛な話にならないのはさすがに日本などとは違うという所でしょうか。

ユーロ圏の拡大が当面止まるのは当然として、一度くらい縮小の経験があることが長い目で見ていいのか悪いのかという事に思索が向かいます。簡単に判断できる事でもないのですが、やはりユーロがある種の経済的麻薬に陥る愚にはどこかで歯止めが必要なのかなと。IMF云々もそういう物の考え方が反映しているように思いますね。

この情勢をつらつら見るに、日本で似た情勢になると真顔でユーロと交換可能な政府紙幣を発行しろと言い出す連中が出てくるのかなと心配です:−)

あるいは暗い世相をジョークで和ませるため、ユーロ紙幣の裏面を硬貨みたいに国ごとに変更するってのはどうでしょう。さすがに皮肉が過ぎますか。
Posted by カワセミ at 2010年02月16日 00:04
>カワセミ様

カワセミさんからコメントを頂くと、ホッとします。健康への気遣い、痛み入ります。幸い、肥満をなんとかしなさいと笑いながら先生に言われる状態ですので、いたって健康です。カワセミさんの眼はご快癒されたと考えてよろしいでしょうか? 医師に尋ねたところ、以前よりも予後がよくなっているそうですが、私自身が、飛蚊症をときどき経験します。

ユーロ圏の問題は断片的に報道を追っていましたが、あまり好ましい表現ではないですが、「破滅に至るしくみ」がわからず、日曜日に五輪を見ながら、サイモン・ジョンソンの名前もあったので、読んでいたら、かなり整理された記事でした。日本では、報道でもネットでもギリシャの統治能力のなさに注目した記事やNYTのGSがらみの記事が好まれるようです。もっとも、向こうのブロガーも似たような傾向ではありますが。逆にいえば、それだけ全体を捉えるのが難しい問題なのかもしれません。

ご指摘の通り、ユーロがシステムとして金本位制と加盟国に同じ作用をもたらすというあたりが最も見通しがよくなった点です。ただ、金本位制との根本的な相違は、ユーロも基本は管理通貨制度ですから、ドイツやフランスを念頭に置いた金融政策は変更せざるをえないだろうと思います。ご指摘の通り、EUが土俵をなかなか割らないのはさすがだと思うのですが、傍目にはかなり怖いです。資産価格がファンダメンタルズから乖離して持続していくという意味でのバブルはヨーロッパが一番、危険だと指摘されていましたが、危機の後はショックを和らげるのに四苦八苦しているように見えます。

この記事を読むと秩序あるユーロ圏の縮小というのは現行制度では非常に困難だと実感します。金融の問題に疎いので私自身、判断がつきかねる部分が多いのですが、ユーロの導入準備の過程で独仏は国民に評判の悪い緊縮財政でカルテルを結び、新興国を取り込むことで通貨圏として競争力を高めることができたと理解しております。ただ、加盟国やユーロにペグしている諸国などの政治的な思惑と経済的な打算が入り混じるだけに、退出規定を現時点で盛り込むと、ユーロ圏の縮小ではなく解体につながるリスクが高いと思います。仮に、縮小が可能だとして、それが経済的に望ましいのか、その評価はかなり難しいと思います。歯切れが悪くて申し訳ありません。私自身が、ECBのインフレ目標政策に批判的だということもあって、中立的な意見ではないことをおそれます。素朴な実感ですが、あんなにルールでメカニカルに経済を運営しようという発想に違和感を覚えるのです。今回の問題は、ルールで縛ろうとするほどよけいな裁量の余地が増えることを示していると感じます。本題から外れるので控えます。

与党議員が「ジミンガー」を連発するのは止した方がよいと思いますが、ユーロ圏の問題だけではなく、ボルカー案も出てきて、国際協調が必要なのにもかかわらず、プレイヤーとしては地味な日本が大きな役割を果たすと期待するのはちょっと酷だろうと。ただ、民主党に自民党の実力者を閣内に取り込むぐらいの度量がないと受け身ですら乗り切れないでしょう。逆に自民党にも単なる反対勢力に留まらない、野党としての度量が要求されるでしょう。この話をしだすと絶望的な気分になりますのでやめます。

ユーロ紙幣の裏を国ごとに自由を認めるというのは偽造防止の観点からは難しいのでしょうが、各国が世界に誇れる遺産をもっているだけにおもしろいですね。確かに内実はバラバラだというブラック・ジョークになりかねないですが。

ユーロ問題から離れますが、中国は米欧共通の敵となりやすいでしょうね。米紙の報道はいったんは収まっていますが、傷口に塩を塗り込むような中国の外交は続くのでしょう。殺伐とした世の中になりそうですが、日本外交が上手に立ち回ってほしいと思います。

末尾で恐縮ですが、あらためてカワセミ様のご快癒を心より願っております。
Posted by Hache at 2010年02月16日 12:31
カワセミです。まずは小康状態のようで、何よりです。
久しぶりで勝手を忘れてしまい改行が乱れました。
必要に応じて修正いただけると幸いです。

私の方は、手術後の経過自体は順調なのですが、それでも
元通りとは行かず、視野の周辺は少々歪んでいるところがあり、また山のような飛蚊症はどうにもならないという具合です。
これで落ち着かれても困るのですが、いくつかの全国的に
著名な眼科の見解ではこれ以上やることもないというので
とりあえず眼鏡の新調だけして過ごしている始末です。
仕事や生活は元のように続けられますが、とにかく疲れるの
一言ですね。行動力が半減したという具合でしょうか。
自分のブログも時々は投稿しようと思うのですが、
特に生ものだといい記事が書かれてしまうので難しいですね。
今回のユーロとかの問題も取り扱いのですが勉強不足でして。

ユーロの問題ですけれども、さすがに政治的なバランスという意味では日本とは比較にならないくらい鍛えられている国々だけに、にもかかわらず足腰がついていかない場合におきる悲劇というのを見る思いがします。日本人は恐らく近道を探したがるのでしょう。それは良い結果を生まないのですけれども。

>退出規定を現時点で盛り込むと、ユーロ圏の縮小ではなく
>解体につながるリスクが高いと思います。

そうかもしれません。言い方を変えると、退出規定を作ることはそもそも不可能となるかもしれません。やるとしても恐らく緩い規定を作り実質的に該当国がないとなるでしょう。そのような結果になるように行動できるだけの政治的賢明さが加盟各国にあるという事ですが、相対的な強者の負荷は増大する未来しか無さそうなので、どこまでドイツなどが我慢できるかですね。

>この話をしだすと絶望的な気分になりますのでやめます。

私はむしろ逆の見解で、そもそもどうして皆期待値がそれほど
高かったのかなと非常に不思議に思っています。
多分、総理が替わっても駄目で、自民党に戻しても駄目、
その後また民主党がやっても駄目で、その付近まで経過して
やっとスタート、というくらいかなと。
国内政治談義も色々書きたいことがあるのですが、この付近は
何とか自分のブログで、といきたいところです。

>中国は米欧共通の敵となりやすいでしょうね。

中国は意外に日本を通して欧米を見ている節がありますので、その延長で国際政治の対処を行い、引きどころを間違う可能性があります。政治的には最初に欧州との関係が悪くなっていくでしょうね。
Posted by カワセミ at 2010年02月17日 01:50
 私が想像していたよりも厳しい状況だと理解いたしました。私の持病の場合、おこらせないように日常を送るしかなく、さほどの負担はありません。ただ、網膜剥離にはいたっていませんが、それでも飛蚊症がひどいときには休むしかありません。口はばったいのですが、無理をなさらず、くれぐれもご自愛ください。

ユーロが対ドルでずるずると下落していること、金価格が再び上昇していることを除けば、表面的には波風が立っていないのがかえって不気味です。滅多に読まない『日経』の相場解説ではギリシャの財政再建策がEUの理事会で承認されたおかげで、ギリシャの財政不安がいったん後退したそうで。購読していてなんですが、経済以外の記事の方が読むことが多いのが不思議な新聞です。

ユーロ圏の混乱はギリシア悲劇でも見ているようです。『オイディプス』でも見ている気分です。個々の出来事はきまぐれに生じますが、それが物語になると、あたかも必然であるかのような錯覚、あるいは印象を受けます。成功を収めたユーロが、ちょっとした野心から、ギリシャの出生の秘密が暴かれ、次に仏独の秘密まで暴露される。予想通りと申しますか、ドイツではギリシャへの支援ができるのかどうか、連立与党内部の意見の対立もあり、不透明な様子です。若年失業者がギリシャの次はポルトガルにカネを使うんだろうと指摘しているあたりに"muddle through"の困難さを感じます。

Opposition Grows in Germany to Bailout for Greece(New York Times, February 16, 2010)

http://www.nytimes.com/2010/02/16/world/europe/16germany.html?em

Josef Joffeが「オバマが銀行システムを破綻させないように、ヨーロッパはシステムを不安定にはしていません」と述べた後で、納税者を説得するのは難しいと語っているあたりが苦悩の深さをうかがわせます。

フェルドシュタインはギリシャの固有通貨ドラクマとユーロのレートの再調整を提言しています。

Let Greece take a eurozone ‘holiday'(Financial Times, February 16, 2010)

http://www.google.com/search?hl=en&source=hp&q=Let+Greece+take+a+eurozone+%E2%80%98holiday%E2%80%99&btnG=Google+Search&aq=f&aqi=&oq=

新味には乏しいですが、ほとんどアクロバットのような提言を載せるFTのセンスにはただただ脱帽です。もっとも、政治的コストが無視できるのなら、ギリシャのドラクマとユーロの再調整すれば、問題はかなり緩和するのでしょう。フェルドシュタインはギリシャをユーロから退出させるべきではないと主張しています。ただし、政治的コストが無視できる場合でも、措置が"temporary"で終わるかは疑問を感じますが。なんとなく実験室の中のような話です。

オイディプスは王の地位を失うという代償を払って真実が見える人になりました。ギリシア悲劇の現代版の結末は、率直なところ、想像がつかないです。うまく表現しませんが、なんとかユーロを守ろうとするほど、ことが悪くなるという感覚で見ております。

日本政治自体は予見をもたなければ簡単な話だと思います。リクルート事件に端を発した政治改革は20年をかけて失敗に終わったというだけでしょう。自民党の派閥政治は、一面で政治的リーダーを養成しましたが、腐敗していました。「政権交代可能な政治風土の定着」の名の下20年かけてやったことは新しい家をつくらずに、古い家を壊すことだけでした。この20年間で相対的に政権を安定して運営した橋本龍太郎氏、小渕恵三氏、小泉純一郎氏が、派閥の産物、あるいは副産物でした。新しい家をつくらずに古い家を壊してしまえば、帰るべき家がないままさまようだけでしょう。それだけのことです。小泉政権の最大の失敗は、脱派閥を掲げたものの、総理候補の養成に失敗したことに尽きると思います。

難しい時代ですが、お互いにのんびりとやっていきましょう。年のせいか、急くと碌な事がないと感じることが増えております。
Posted by Hache at 2010年02月17日 21:34
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