2010年05月06日

党中央の統制がきかない中国地方政府の「投資」

 ふわあ。連休の間はかぜそのものというよりかぜ薬のおかげで平均睡眠時間が12時間を越えました。リーダーで読み込んでいると、なまものメインのところは普天間でどんちゃん騒ぎばかりのようで平和ですなあ。「苛政は虎よりも猛し」は既に宮崎県の方々が経験されていると思うのですが、報道はあまりないようですね(参考)。そういえば、お昼を食べに出かけたら、ステーキ屋のご主人が今回の政権交代のおかげでわかったのは、自民党政権がやってきたことがすべて悪ではなかったという素朴といえば素朴ですが、もっともまともな感想でしょうか。次からはマニフェストをしっかり目を通しますとのことでしたので、それがいいでしょうと。内心、次回があるのだろうかというのはあえて口にしませんでしたが。これは墓場に持ち込むべきことでしょうが、衆院選直後に2名の女性に今回の政権交代を簡潔に説明したところ、わかりやすいが人格を疑われるかもしれないから、他の人には言わない方がよいと言われたので、ちょっとマイルドにしておきましょう。

 60年を超えて嫁さん一筋でやってきた初老の男もこのまま人生が終わるのかと惑う。たいして美人でもないのだが、なんとなく男好きする顔だ。一晩ぐらいなら大丈夫だろう。一回ぐらいはやっても大丈夫だろう。ところが、2、3日すると、至るところが痛い。実は相手は淋病、クラミジア、梅毒、エイズとありとあらゆる病気だけを相手に残して去った。てなわけで一度、食らったら、後が大変よというわけです。世間じゃルーピーのプロトタイプよ辞めろという声が大きいようですが、零号機、初号機、弐号機と続かれたらどうするんでしょう(そのうち量産型が登場するのかしら)。ネットでもルーピー退陣すべしとか、相変わらず学習能力のない御仁ばかりのようで。近所で店でもやっている人と話す方が、よほど真実がありますなあ。

 カネのかからない連休でして、買い物程度の散歩以外は読書という平穏な日々でした。たまたま書棚の奥のほうに谷口智彦さんの『通貨燃ゆ 円・元・ドル・ユーロの同時代史』(日本経済新聞社 2005年)があったので、ネットでほとんど読んだ記憶がありましたが(参考)、もう一度、読み直しました。学生時代にスーザン・ストレンジを紹介していた講義の内容があまりにわからないので、谷口さんじゃなかったら、縁なき衆生は度し難しで理解できないままでしょうが、ちょっとはわかったような気になります。ただ、いわゆるブレトン・ウッズ体制が戦後の西側諸国復興に果たした役割の評価が弱くて、失礼ながら、これからの分野かなという印象をもちます。近代経済学対マルクス経済学という問題ではないような。うまく表現できませんが、政治的にはブレトン・ウッズ体制が大英帝国の通商網を破壊するものであったとしても、戦後の西側諸国にとってどのようにして互恵的なシステムであったのかはこのアプローチでは説明できないと思います。そんなわけでメインは『比較歴史制度分析』なのですが、刺激が多いので、書き出すとキリがないので、時間がとれる時期がきたらというところです。

 それはさておき、Wall Street Journalが2010年5月4日付けで配信したアジア版社説の"China's Systemic Risk"(参考)を読みましたが、大変ですなあという気が利かない感想ぐらいしか浮かばなかったです。頭が悪いので、中国経済はバブルだという話を聞いた瞬間に、相手にする気が起きなくなります。まず、資産価格が上昇したらバブルなのかという疑問が生じます。異常というからには正常があり、その価格が計算できているのだろうか。中国の土地所有制度は、先進諸国とは全く異なるわけですから、私みたいな臆病者には中国経済がバブルだと断定するのは無理ですな。

 はっきり書くけれど、「チャンネル桜」の番組を元にした感想をリンクされても迷惑なんだよね。パッと動画も最初だけ見たけれど、この御仁は確か日本の高度経済成長もバブルとか言っていてドン引きだよ。カネと安全保障の問題に「色」はいらないのさ。だいたい商売している人間が人様のブログで、「ここに書いていない真実が私のところに書いてあります」みたいな書き込みをする無神経さに呆れるだけさ。よく、それで商売ができるね。これで2回目だ。3回目はないと思ってね。

 要は、右も左も御免被りたく候。さて、WSJのアジア版社説は要注意のことが多いとはいえ、バブルという安直な用語を避けて、中国の地方政府の投資が中央の統制が利かない状態になっていることを描いています。例によって長くなりましたので、ご奇特な方は続きをどうぞ。


 この社説では、ノースウェスタン大学のVictor Shih教授の試算として2004年から2009年末の期間で中国地方政府の投資主体が11.4兆元(1.7兆ドル)もの借り入れを行ったと指摘しています。この試算は論争を呼びましたが、北京が銀行の帳簿("balance sheet"ではなく"book"となっているあたりでつい考え込んでしまうのですが)の見直しを求めきた過程でVictor Shih教授の試算に近づいていると指摘しています。アメリカではなにかと評判が悪いゴールドマン・サックスの最新のレポートは、暗黙にVictor Shihの試算を支持しているとのこと。

  Victor Shih, a professor at Northwestern University, wrote in these pages in February that his research put the level of borrowing by local government investment entities between 2004 and the end of 2009 at 11.4 trillion yuan ($1.7 trillion);or about one-third of annual GDP. That figure stirred up a lot of controversy, with regulators insisting that the loans stood at six trillion yuan.

  Beijing has since asked banks for an updated accounting of such debt on their books, however, and it's looking more and more like Mr. Shih was on the right track. The government has revised up its estimate to 7.8 trillion yuan, and more revisions may come as the banks continue to report. A new report from Goldman Sachs last week implicitly supports Mr. Shih's calculations.


 社説では続けて、総額が問題となるのは、新規融資の傾向とローンの質の文脈だと述べています。ほとんど引用ばかりになりますが、北京(あるいは中国共産党中央でしょうか)は、county-level(中国の地方政府の区分がわからないのですが、日本語の県級でしょうか(参考))の貸出を規制したものの、市レベルや省レベルでは信用が拡大し続けているようです。county-levelは、分母が地方政府全体の信用残高なのか、中国経済全体の信用残高なのかがこの文からは読み取れませんが、20%にすぎないと指摘しています。2010年の第1四半期は昨年の同時期と比較して顕著に銀行の新規貸出が減少しましましたが、2.6兆元(約3809億ドル)が投機的だと指摘しています。

  So far Beijing has clamped down on lending to county-level governments, but city and provincial entities continue to have no trouble getting credit. The counties were always a small part of the total, probably less than 20%. Total new bank lending in the first quarter of this year dropped off significantly compared to the same quarter last year, but at 2.6 trillion yuan it was still pretty spectacular. So it's safe to assume that the headline number continues to grow, albeit at a slower rate.


 続けて、地方政府の融資が腐敗しやすい理由を地方政府の役人、銀行経営者、規制当局の共謀("collusion"というのはかなり厳しい表現だなという印象をもちます)に求めています。国レベルでも、銀行システムの不良債権の真の水準に関心をもっていないと更に手厳しい指摘をしています。1990年代の日本の住専が先例として紹介されていますが、住専問題が住専だけであれば、あれほど深刻な問題にはならなかったのではと思いますが。

  Local government loans tend to be particularly corrupt because of the collusion among local officials, bank managers and regulators. Cases abound in which the three groups all took their cut out of new lending. And even at the national level, nobody is interested in revealing the true level of the banking system's nonperforming loans, which have been officially capped. This is a rerun of Japan in the 1990s and the crisis of the jusen housing loan companies; the government is complicit in allowing the banks to "evergreen" loans by continually rolling them over.


 Victor Shih教授は、地方政府の貸出の4分の1程度が不良債権になると考えているとのことです。外貨準備が豊富であり、救済が可能であろうという楽観が、記事の表現ではありませんが、「集団無責任体制」ともいうべき巨大なモラル・ハザードを生んでいるという指摘です。個々でやっていることは無茶苦茶でも、最後はなんとかなるさというところでしょうか。これがシステミック・リスクを生むというのは古今東西、同じでしょうか。

  Mr. Shih thinks about one-quarter of the local government loans could eventually go bad. China is in the process of creating a huge moral hazard problem, as all the players feel free to abuse the highly liquid banks safe in the knowledge that the central government with its massive foreign exchange reserves and capacity to borrow will bail everybody out when the bills come due. This attitude has real costs and eventually causes systemic risk.


 私自身、中国の経済事情に疎いので、WSJアジア版の社説の内容の吟味が十分にできません。ただ、ギリシャ問題がユーロ圏の持続可能性に投げかけているところに(ギリシャ関係の記事は多いが、この記事がまとまっているかな)、中国の不良債権問題が重なると、2008年とは異なった国際経済の混乱期を迎える可能性が高いのでしょう。かかる状況下、ルーピーのプロトタイプが続投しようが、量産型が後を継ごうが、「寝言」みたいなどうでもいい話ですな。外交も安全保障も経済もダメな政権の下で生活を守るほかなく、「神州不滅」の信念のない私には憂鬱さばかりが募ります。
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