2007年04月30日

同盟の双務性 『第一次世界大戦と日本海軍』再び

 先週は、日米首脳会談が行われました。マスメディアだけでなく、ネットでの記事も斜め読みしておりますが、エネルギー安全保障や環境問題、拉致問題などに関する報道が多く、中には、「ジョージ、シンゾウ」というパフォーマンスも話題になっているようです。また、慰安婦問題もとりあげられています。これらの「論点」は、私も大切だと思います。しかし、いかれた「外道」には、儀礼やパフォーマンスなどが揶揄をこめて語られる中で、安倍総理が小泉後の日米関係をひとまず継承することに成果を収めたという点を評価しております。こちらで(コメント欄の11番目あたりです)、「小泉首相が退陣することで小泉−ブッシュ関係は終焉します。現在、日米関係は良好です。しかし、首脳間の個人的な関係があまりに大きい印象があります」とあまりに当たり前のことを書きました。これを書いた当時は、当たり前すぎて恥ずかしかったのですが、今回は当たり前のことをすぐに忘れてしまう方がほとんどだと気がついてびっくりしました。今回の訪米は、正直の申しますと、慰安婦問題ではひやりといたしました。小泉−ブッシュ関係を「相続」するに至ったのかは、ど素人の手に余りますが、概ね、日米関係の根幹に変化がないことを演出したという点で、歓迎しております。ただ、細かい準備のために事務方は疲労困憊のご様子。早く、回復されることを願っております。

 誰がやっても、この程度の「成果」なら収めるだろうという批判はあるでしょう。他方で、『日経』(2007年4月26日 第14版)は、「集団的自衛権 新たな憲法解釈検討」という見出しで、集団的自衛権に関する有識者懇談会を設置し、5月18日に初会合を開き、秋を目途に4類型を中心とした報告書をまとめる見通しであると報じております。このあたりは、報道だけでなく、ネットでも議論されています。「結論ありき」ということは、これに好意的な方も、批判的な方も指摘されていて、特に異論はありません。私が注目しているのは、同記事の「首相は有識者懇談会が行使の一部容認を打ち出した場合に、憲法解釈の変更で迅速に対応できるよう内閣法制局に指示したものとみられる」という記述です。例によって、曖昧な表現ですが、有識者懇談会の設置自体も大切ですが、有識者懇談会での議論が内閣法制局の解釈に反映されなければ、意味がありません。この記事の内容を信用するならば、安倍総理は、掛け声だけでなく、実際に集団的自衛権の政府解釈をまともなものにする決意だけでなく、実際の手はずまで進めていると思います。

 もちろん、有識者懇談会の議論が、解釈変更や日米同盟の基本政策にストレートに反映される保障はどこにもありません。私は、集団的自衛権の問題をクリアーし、そこからさらに日米同盟の双務性を高めることが、オブラートに包めば極東の平和、露骨にいえば、日本の利益になると考えております。当然ではありますが、同盟の双務性を高めれば、同盟関係から生じる様々な費用、リスクをシェアする必要があるでしょう。それが、日本の安全にとってみあうものなのかについては、より説得的な議論が必要だと思います。しかるに、このブログは『寝言@時の最果て』であります。この問題を「寝言」アプローチで考えてみましょうというわけです。

 2006年の5月23日から「『第一次世界大戦と日本海軍』メモ」という「シリーズ」を散発的にではありますが、連載したことがあります。その準備として「日英同盟の形成にみる偶然と必然」という、本体以上に長い準備作業用のメモを書いたこともあります。平間洋一先生の『第一次世界大戦と日本海軍』メモは、7回で中断してしまいました。第一次世界大戦前後の国際情勢や当時の戦争にあまりに無知なことに気がついたからです。中断して以降も、ぽつぽつと資料を集めておりますが、どうも作業が進みません。第一次世界大戦前には、日英同盟は攻守同盟へ発展していました。日英同盟が、極めて限定的とはいえ、攻守同盟としての役割を果たしたのにもかかわらず、1921年の四ヶ国条約によって廃棄されてしまいました。他方で、英国が欧州大戦での日本への軍事的「貢献」を求めたことに対する当時の世論の反応は興味深く感じます。勉強不足の点が多いのですが、再び、このメモを週に1回程度でしょうが、更新して、同盟の本質とまではゆかなくても、双務性の高い同盟特有の困難さについて考えてまいりたいと思います。

 以下は、過去に掲載した「寝言」一覧です。ここで、まとめておくのが、記事を書く上で便利なので、整理しておきます。それにしても、「テロ」や「台湾海峡」と「妨害」をうけて、首領様が「ミサイル発射」で「とどめ」をさしてくださったのだと実感いたします。

【『第一次世界大戦と日本海軍』】

(1) 『第一次世界大戦と日本海軍』メモ1
(2) 『第一次世界大戦と日本海軍』メモ2
(3) 『第一次世界大戦と日本海軍』メモ3
(4) 『第一次世界大戦と日本海軍』メモ4 ナイーブなアメリカ
(5) 伊吹の武士道と矢矧砲撃事件 『第一次世界大戦と日本海軍』メモ5
(6) 南洋群島の占領 『第一次世界大戦と日本海軍』メモ6
(7) イギリスの錯誤 オーストラリアの強欲 『第一次世界大戦と日本海軍』メモ7

【日英同盟の形成にみる偶然と必然】

(1) 日英同盟の形成にみる偶然と必然
(2) 日英同盟の形成にみる偶然と必然(2)
(3) 日英同盟の形成にみる偶然と必然(3)
(4) 日英同盟の形成にみる偶然と必然(4)
(5) 日英同盟の形成にみる偶然と必然(5)
(6) 日英同盟の形成にみる偶然と必然(6)
(7) 自国を信じるということ 日英同盟の形成にみる偶然と必然(7)
(8) 日英同盟の形成にみる偶然と必然 まとめ
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