2010年06月09日

菅直人内閣への不安

 日本政治に関心を持続することに困難を覚えます。Zakariaの"What does China want?"というWashington Postに2010年6月7日付で掲載された記事の方が、中国外交の傲慢さがピークに達するとともに、中国共産党の経済運営の行き詰まりを間接的に示していて、これまでの米紙の報道を後追いするとともに、かなり危険な時期に入っていることを示唆していると思います。そうはいっても、「寝言」よりもリアルの睡眠が最優先なので、折を見て。

 韓国人から菅首相になって普天間問題が解決するのかという質問を受けて閉口しました。こればかりは鳩山前首相がひどすぎたので参ったのですが、米紙の報道を見る限りは、菅首相への期待値が高い可能性が本線でしょうと。もはや出口が見えない状態ですが、アメリカがどの程度、我慢できるかによるだろうと。ただし、米紙の報道は菅首相への期待値が高すぎるぐらいであり、日本に関する報道は特定の記者に集中しているので信頼性が薄いけれども、オバマ政権がある程度の忍耐力があれば、事態の進展がないことに肝要だろうと。日米関係そのものが切れる確率は低いだろうと。

 日本のマスメディアに染まってしまうと、韓国人も日本人化してしまうのだなあと感心してしまったのは、小沢氏との距離。民主党自体に拒否感が強いのでバイアスが強烈にかかっているとはいえ、昨年の揮発油税の暫定税率一つをとっても、小沢氏がいなければ予算は上がらなかったであろうと。民主党には常に空中分解しかねない危うさがあって、小沢氏も報道にあるような批判を受けるべき点も多いが、自民党パージの次は小沢一派パージで、積極的な部分(汚れ役・嫌われ役を厭わない)は完全否定されてしまう雰囲気はちょっとついてゆけない部分もあります(「お縄一郎」にわくわくするのは否定できないのではありますが)。韓国の歴代大統領もカネ絡みのスキャンダルで追い込まれてしまい、そのことが必ずしも韓国政治に好ましい影響を与えたのかどうかと逆に質問を投げかけると、黙りこくってしまいました。平たく表現すれば、自民党は空気のような存在になり、小沢、鳩山と憎まれ役が表舞台から去った後、ダイレクトに民主党の政権担当能力が問われる段階に入ったというところでしょうか。

 ただ、閣僚名簿も出ない段階であれこれ憶測が多すぎてうんざりしていました。名簿を見て不安になったのは、やはり仙石由人官房長官でしょうか。イデオロギーがどうというよりも、ポスト小泉政権が機能不全に陥ったのは内閣官房が機能しない政権が連続したことが多いと感じております。やはり最強は福田康夫氏で、2004年に血栓性静脈炎を患ったその時期に退任されてしまいましたが、内閣官房は機能するのかと悲鳴を上げました。後任の細田博之氏が地味ながらまとめていたのは想定外のことでしたが。仙石由人氏に関してはイデオロギーの点で批判が多いのですが、そんなことよりも、やはり連立政権内の調整で重大案件が少なくなく、強制力をもった調整ができる能力があるのかは現時点ではまるでわかりません。どちらかというと、怒りっぽい仙石氏には不向きなポストではないかという不安をもちます。もっとも、北岡伸一東京大学大学院法学政治学研究科教授と御厨貴東京大学先端科学技術研究センター教授の昨年の対談によると、下記のような状態だそうですのできっと杞憂なのでしょう。

北岡 一方、党を立て直す気概や能力を備えた、四十代、五十代くらいの人材がいるかと見渡してみても、正直、あまりいないんですね。選挙で大敗したこともあるのですが、根本的は長老支配のつけがまわってきたとしか言いようがない。民主党であれば、五十歳前後で、野田佳彦・前原誠司・枝野幸男・玄葉光一郎など、立場はそれぞれですが、次を担いそうな名前がすぐに浮かぶのですが。いっそ小渕優子氏くらいまで世代交代したほうがいいのかもしれません。(笑)

御厨 善し悪しは別にして、かつて若手の教育機関の役割を果たしていた派閥が弱体化したことで、自民党には人材が育っていないんです。こういう危機的状況に立ち至ってみると、よく分かります。気がつけば人材の面でも民主党に逆転されていたんですね。
(『中央公論』2009年10月号 33頁)


 菅政権への期待値はマイナスですので、空気のように存在感がなければ害がなかったということで百点満点の評価になりますね。菅首相が次の言葉を吐いたら、よくおわかりでとなりますが。

"Ask not what your country can do for you; ask what country damage you."

 どうせダメージを喰らうのなら、せめて税金は安くしろとなりますので、現政権では財政再建は反対。どうせ、増税した分をすっからかんにするだろうと。よって、「私は政治の役割というのは、国民が不幸になる要素、あるいは世界の人々が不幸になる要素をいかに少なくしていくのか」という菅首相のメッセージに対する反応は、あんたたちが余計なことをしないことが第一、無理だと思うが安全保障や経済などの撹乱要因を制御する広義の「危機管理」が大二というところですね。国内政治は15分足らずで話が終わるので、「寝言」としては楽なのですが、興味がないので、体力が回復したら、海外情勢に戻ります。

 それにしても、欧州の金融不安に続いて、中国の経済成長率が鈍化するリスクが高まりますと、これは……。まあ、誰がやっても困難な時代という点では期待はしませんが、まあ、失敗しても想定内だよなという評価になりますね。
posted by Hache at 01:03| Comment(1) | TrackBack(1) | 気分しだいの寝言
この記事へのコメント
今、日本の政治に求められているものは、この国のビジョン、あるべき姿です。明治以来日本人は近代化と称して西洋に追いつけ追い越せをスローガンに国造りを進めてきました。厳しい坂を登り続けました。第二次世界大戦の敗北で一旦振り出しに戻りましたが、再び出直しを図り、ついに世界第二位の経済大国に成長しました。追いついた今、坂の上にあったものは雲でした。実体の無い、五里霧中の中に迷い込んでしまいました。次の目標が見えてきません。目標を失った日本は次の目指すべき国造りの基本方針を失ったからではないでしょうか。失われた10年は小泉政権で脱出出来たでしょうか。答えはNOでした。小泉政権は再び自由主義を標榜するアメリカのあとを追いかけました。その結果は終身雇用の崩壊と貧富の差の拡大をもたらしました。今まで保っていた終身雇用に裏打ちされた富の分配の公平さ、さえ失ってしまいました。それでは管首相の言う福祉国家の建設と言う第三の道は次の目標になりうるでしようか。答えはやはりNOです。余りにも目標としては小さすぎます。誇り高き日本人の目標には之だけでは不十分です。世界に貢献する視点がありません。自国の幸せだけで良いのでしょうか。私は次の3点を提案いたします。第一は最先端科学技術の振興です。この中には地球温暖化対策環境技術、先端医療技術、省エネ技術、ロボット技術等々。第二は西洋文化と東洋文化の融合と調和です。西洋の良さと東洋の良さを知る唯一の民族は日本人です。私達は西洋に追いつこうとする余り、東洋の良さを捨て去ってしまったのではないでしょうか。しかし、日本人の誰しも感じる、こころの奥底の叫びのような、涼秋のようなものが時々込み上げてきます。若くして田舎から都会に出てきた時、田舎に置いてきた日本人の魂かも知れません。日本文化の担い手は特色有る地方文化です。地方文化の見直し発掘、これこそ東京一極集中からの脱皮です。第3は管総理の言う福祉国家の建設です。以上3つの目標を持とうではありませんか。世界に貢献し、日本の良さを世界に示す。そして世界一幸せな国家の建設を目指す。西洋に追いついた今、日本が世界をリードしなくてはいけません。世界をリードできるビジョンと力を日本人は持っています。
 この事は、ちっぽけな利益誘導型政治、数集めだけがうまい政治、数は力と言う理不尽な政治からの脱却です。私達が決別した自民党政治は私達がその本質を見抜いたからでは無かったでしょうか。今その流れを汲む政治家を首相にして私達は再び失われた10年を向かえるのでしょうか。
Posted by 土居 健二 at 2010年09月08日 00:25
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菅体制発足
Excerpt: 民主党は7日、両院議員総会を開き、菅直人首相(民主党代表)のもとでの新執行部を正式に決定しました。続く8日には閣僚人事をまとめ、同日夜に首相親任式、閣僚認証式が皇居で行われ、民主・国民新党連立の菅内閣..
Weblog: 歌は世につれ世は歌につれ・・・みたいな。
Tracked: 2010-06-10 00:33