2010年06月25日

マクリスタル解任後のアフガニスタン戦略

 木曜日に帰宅して『日経』の夕刊を手にしたら、参議院議員選挙が公示されたそうです。ざっと主要政党の公約を見ましたが、民主・自民は財務省の「死○死○詐欺」に乗っかっているので、選択肢から既に消えております。それでも、投票には行く予定でして、今回はなにも書かずに済みそうで楽だなあと。棄権する方が地球には優しいのかもしれませんが、投票所には用紙が準備されているので、白票でも大差がないのでしょう。それにしても、鬱陶しい先生方の就活につきあわされるのは勘弁ですね。公務員の人員整理や総人件費の4割カット(税収不足を考えれば6割が妥当だと思いますが)、公務員共済の公的資金の投入廃止と受給者からの回収はギリシャ危機を受けての財政再建ですから、これでも最低ラインだと思いますが、どこの政党も掲げないので、入れるところは一つもありません。

 本題のマクリスタル解任ですが、あれこれ斜め読みをしましたが、事実関係は、Bloombergが2010年6月24日付でオンラインで配信したJulianna Goldman and Viola Giengerの"Obama May Gain `Breathing Room' on Afghan Strategy"という記事が事実関係を淡々と整理していてわかりやすかったです。解任直前にはマクリスタルはアメリカと45の同盟国から編成した14万2千人の兵士を指揮していました。タリバンの強固な基盤であるカンダハールへ攻勢を強めようとしていました。アメリカの計画では12月に戦略の再評価を行い、アフガニスタン現地の兵士を訓練して2011年7月から撤退を開始する予定でした。この予定に関しては共和党は撤退に批判的であり、民主党は間に合わないのではないかと懸念していました。マクリスタルを解任してペトレイアスを指名したおかげでオバマは一息つけたと記事は評価しています。

 解任のきっかけとなったのはRolling Stone誌でマクリスタルがオバマ大統領をはじめ、高官を批判したことでした。オバマは激怒し、ホワイトハウスからペンタゴンまでマクリスタル解任の機運が高まりました。カルザイ大統領(アフガニスタン)は当初、マクリスタルの続投を望みましたが、結局、オバマの決断を讃え、ペトレイアスの指名を歓迎しました。アメリカ議会もペトレイアスの指名を超党派で受諾する可能性が高いようです。6月29日にはペトレイアスがマクリスタルの後任として上院で承認される見通しです。

 オバマは、今回の解任は正しかったと強調する一方、司令官の交代であって戦略の変更ではないと述べました。マクリスタルはオバマのアフガン戦略を強く支持し、連合軍と提携国、そしてアフガニスタンの人々に専心してきたと述べ、辞表を提出しました。なお、上院のメンバーはアフガニスタンにおける非軍事活動がより効果駅であるという認識を共有しているようです。スタンド使い、もといスパイを上手に使うペトレイアスが今後アフガニスタンの作戦に全責任を負うことになります。ペトレイアスのスパイ活用に関してはCIAとの確執などが米紙で報道されていますが、仮に捕虜になってもジュネーブ条約が適用されないなど、非常に高いリスクを負った任務を担っているようです。

 マクリスタルの解任とペトレイアスの指名で米紙のコラムでは主としてペトレイアスなら大丈夫という論調が強くなっています(例えば、Washington Postが2010年6月24日に配信したDavid Ignatiusの"Gen. David Petraeus: The right commander for Afghanistan"(参考)など)。皮肉ではなく、そうだといいですねというところでしょうか。


 H. A. Kissingerは2010年6月24日付でWashington Post紙に掲載された"America needs an Afghan strategy, not an alibi"というコラムで、タイトルの通り、アフガニスタンでは誤った現状認識にもとづいて作戦が進められており、アフガニスタン戦略の構築が必要だと主張しています。キッシンジャーによれば、これまでのアフガニスタンにおける戦略は誤った二つの前提に依拠してきました。第1に、アメリカはアフガニスタン政府の安全に責任をもつことができるということであり、第2に、アフガニスタン政府がアフガン全土を統治しているということです。キッシンジャーはどちらもアフガニスタンの現状にはそぐわないと評価しています。

 キッシンジャーは、カルザイの腐敗などには触れずに、現在のアフガン政府がカブール周辺の統治に留まっている現状を指摘しています。また、アフガニスタンは民族(nation)であっても、国家(state)ではないとも指摘しています。また、イラクとアフガニスタンから手を引くことはイランの核開発を阻止する外交努力を妨げるとも指摘しています。その上で、次の4点の戦略の変更を主張しています。

(1)西洋流の中央集権国家の存在を前提としない地方を単位とする軍事的努力を行う。

(2)政治的努力のタイムスケールは、軍事作戦に必要なそれをはるかに大きくとる。

(3)軍事的成果がいかなるものであれ、地域的な外交上の枠組みが必要である。

(4)人為的なデッドラインは放棄するほうがよい。

 アフガニスタンにおける米軍のプレゼンスが長期的に不可欠であるのかは疑問ですが、概ね現実的な観察が多いと思います。マクリスタルの解任を契機に、アフガニスタンの現状を無視した現在のオバマ政権のアフガニスタン戦略を見直すことになれば、今回のバカ騒ぎも、結果的に生きる可能性があるのかもしれません。

(追記) イタリア対スロバキア戦を見て、身体能力が高いチームの試合は楽しいなあと。結果は、スロバキアの勝ちでしたが、楽しかったです。ついでといってはなんですが、日本−デンマーク戦も観ましたが、前2試合にくらべて日本代表に積極性があって最後まで観てしまいました。私がうっかり見てしまうと、負けることが多いので嫌な悪寒はありましたが。後半の25分過ぎぐらいから両チームともバテ気味かなという感じはしましたが、おもしろかったです。試合時間が短いというのがサッカーのありがたさでしょうか。

 そのまま、「寝言」をざっくりまとめて載せましたが、反映していなかったので、再度、投稿しました。ちなみに、キッシンジャーはアフガン戦略の「修正」と述べていますが、オバマの基本方針の全否定に近いですね。アフガニスタンでどこまで粘るのが望ましいのかは率直なところ、私の理解の範囲を超えます。ただ、オバマの外政能力は大いに疑問というところでしょうか。まだ任期が2年を越えて残っているのかというため息とともに、もっとマシな人材が育っているのだろうかというため息が出ます。日本? サッカー日本代表の「国際競争力」と比較すると、ほぼ絶望的ではないでしょうか。

 日本語のものはあまり読んでいないので、私の目が行き届いていないのかもしれませんが、民主党のマニフェストにある「2011年度の国債発行額は、2010年度発行額を上回らないよう、全力をあげます」(民主党マニフェストPDF版の8頁。総人件費の2割削減ってリアル寝言ですか)という一文に寒気を覚えます。要は、2011年度は40兆円ぴったりの国債発行額でも(補正予算を組む可能性がありとも読めますね)、容認されるということです。事業仕分けの効果など絆創膏どころか傷に唾をつける程度だということは実証済みですから、現在の歳出水準を維持したまま、増税ということになりかねないでしょう。新規国債発行額が最大で40兆円を増税でそのまま埋めるとしますと、消費税率16%程度の引上げが必要となります。現在は10%という数字が独り歩きしていますが、このまま増税による財政再建を容認した場合、消費税率20%が目標なることがありうるのは簡単な計算で自明であり、現状の歳出を実質的に是認することになります。足りないから増税ねというのなら、国会議員、公務員の総人件費を、つべこべ言わずに、まず4割カットせよという話になります。議員、役人、どれをとっても、財政赤字を増やすプロフェッショナル、あるいはエキスパートばっかりでうんざりです。
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