2010年06月28日

オバマ大統領とマクリスタル解任メモ

 実質的には土日返上なので、自分用のメモです。まずは、RSSリーダーで読み込んだ、Washington Postが2010年6月25日付で配信した無署名の"Rolling Stone fact checker sent McChrystal aide 30 questions"という記事です。記事というよりも、Rolling Stone誌が更迭されたマクリスタル司令官(当時)の補佐役に送った30もの質問と回答ですが、マクリスタルが解任されるに至る発言を行った背景のにおいすらしません。

Washington Postの論調に乗せられている気もしますが、2010年6月26日に配信されたKaren DeYoung and Rajiv Chandrasekaranの"Gen. McChrystal allies, Rolling Stone disagree over article's ground rules"では、マクリスタルに近い高官がRolling Stone誌の編集主幹が記事の内容をマクリスタルや補佐官と精査したとの声明に対して疑問を投げかけていると指摘しています。全体としてマクリスタルを擁護し、Rolling Stone誌の記事の内容に、オフレコの話をそのまま載せたことなど基本原則をRolling Stone誌が破ったことなどを理由に、疑問を投げかけています。この問題が真偽はわからずじまいで終わるかもしれませんし、マクリスタルが解任され、ペトレイアスが後任の地位に就いたこと自体は覆らないでしょう。

 ペトレイアスも気の毒なものでして、やはりWashington Postですが、2010年6月27日付で配信されたChris Cillizzaの"Who had the worst week in Washington? Gen. David Petraeus."というタイトルですべてが語られている記事を書かれる始末。表面的に見れば、Rolling Stone誌が不注意でマクリスタル解任のきっかけをつくり、既にババ抜きポストでしかない司令官の地位にペトレイアスが回されたというところでしょうか。現実問題として、バイデン副大統領は元々、マクリスタルの作戦に反対していましたし、ちょっとしたきっかけでペトレイアスも潰せるといった具合。もっとも、アフガニスタンでの戦闘は、"a war of choice"ではなく、"a war of necessity"だと断言し、のっぴきならない話にした張本人はオバマ大統領ではありますが(参考)。

 DeYoung and Chandrasekaranの記事でも指摘されているように、Rolling Stone誌からの「あなたは大統領選でオバマに投票したのか?」という質問にマクリスタルの側近は軍人としての節度をもって回答しています。アフガニスタンにおける軍事行動が失敗に終わると決まったわけではありませんが、マクリスタルにペトレイアスと司令官レベルで人材を次々と喪失しかねないオバマの外政能力の欠如にため息が出ます。


 土曜の晩にメモを書き始めたのですが、とても書ききれそうになかったので、とりあえず、月曜の朝に予約投稿をしようと思っていたら、設定にミスがあって、そのまま投稿されてしまいました。オバマ大統領の統治に関する様々な疑義も取り上げたかったのですが、日曜日もPCを使う作業にかなりの部分をとられたので、以下では財政に関する素朴な「寝言」です。

 オバマは繰り返し財政赤字の拡大に警告を発してきました。それと同時にヘルスケア改革に象徴される恒常的な財政支出の拡大をともなう施策を導入してきました。誤解を招きやすい表現ではありますが、アメリカの内政は日本をはじめ他国にも影響をおよぼします。端的に言えば、アメリカで財政支出が拡大していることが、財政規律に関する感覚を麻痺させるといったあたりでしょうか。現状では、消費税率の引上げは、財政再建の手段ではなく、表現が悪いかもしれませんが、ゴムが伸びきったパンツがずり落ちないようにするためのその場しのぎの対策に映ります(メタボの割には10年以上使っているパンツのゴムがちゃんと伸び縮みするのが自分でも不思議なのですが。夏場はスポーツ用のボクサーが快適ですねえ)。これも、アメリカの間接的な影響とともに、2008年9月以降の「財政カルテル」の影響が無視できないように思います。

 オバマ大統領の統治は、個々の施策は練られているように感じることも多いのですが、全体として構築されると、『フルメタルジャケット』でHartmanがPyleに向かって浴びせた次の一句が思い浮かびます。

You're so ugly you could be a modern art masterpiece!


個々のパーツは入念に細工されているのにもかかわらず、全体として感動を与えるようなセンスが欠けている感じでしょうか。知的なんですが、なにか全体を見渡す重要なセンスがオバマには欠けているように感じます。

 塩野七生さんの著作でマキアヴェッリか誰の言葉だったかは忘れてしまったのですが、人類はいろいろな政体を考案してきたが、指導者のない政体だけは考えることができなかったという趣旨の一節があったと記憶しております。曖昧な記憶で不確かですが、これがなにか印象に残りました。20年近く前には民主主義が勝利し、歴史が終わったという思い上がりとしか思えない議論までありました。民主制というのは、極論すれば、指導者を選ぶ手続きの一つにすぎません。民主制そのものが、他の政体と同じく、優れた政治的リーダーを育成するシステムとは限らないのかもしれません。漠然とした印象ですが、中国のような専制国家も政治的リーダーを育てるシステムという点では、民主主義諸国と比較して優れているようにも見えません。簡単に言えば、民主制と専制のどちらが優れているのかという古代からの問いには答えがないように思います。オバマ氏を断片的とはいえ、観察しておりますと、民主制が優れたリーダーを生み出すのは、かなりの部分、偶然に委ねられており、確率を高める研究教育機関やシンクタンクが意識的に整備されているアメリカでさえ、容易ではないと感じます。

 あるべきリーダーシップに関しては政治だけではなく、企業経営やスポーツのマネージメントでも議論がありますが、どのようにリーダーを育てるのかという問題はこの国では「べき論」の域を出ることは稀です。私などは、基本的に偶然に任されている以上、「たまたま」の余地をわざわざ減らしてしまう余計なことをしないことぐらいしか思い浮かばない愚か者です。私のような適当に日々を暮らしてきて、そのうち適当にくたばるであろう者にとっては、毎日が気分しだいで、立方体なのかすら確定していないサイコロを振っているようなものです。「たまたま」の余地を減らさないようにするためには、人類はあまりに知的になりすぎたと感じる日々です。
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