2010年09月21日

中国様からの菅政権へのエール?

 月曜日に『日経』の「核心」を読んで、とても不快でした。「時の最果て」など「寝言」ばかりですから論理性もへったくれもないのですが、これを英訳してベンサムに読ませたら泣くだろうなと(法人税率の引下げなんて功利主義的な発想そのものですから、そういう発想そのものがけしからんというなら、引下げ自体無理筋ですな)。陸奥宗光に読ませたら、「新・日本人」でも書いてくれそうですな。「ネット世論」(笑)の逆の意味での正確さにはびっくりでしたが、紙媒体を読んでも、中国様がキャンキャン騒いでいる理由がわからず、日曜日に、よほど国内世論が荒れているのか、中共の正統性が揺らいでいるのか、なんなんでしょと親中派の人たちと話をしていたら、国内は対外強硬一本やりで中共もグリップを握っているとは言えない状態の上に、次世代の予定だったはずの習近平は軍への影響力が胡錦濤よりもはるかに弱く、大変じゃないですかとのことでした。「親中というと売国奴と思っているんでしょ?」と尋ねられて、相当、フラストレーションがたまっているんだなあと。こちらの見解を出さずに今回の件に関して尋ねると、日本の領海で起きた事件は日本国内の法にもとづいて処理するのが当然でしょうねと突き放した感じでしたね。

 それはともかく、現在の中国の反応があまりに異様なのですが、わざわざ英語で読まないと確認したいことがわからないというのはどうなんでしょうね。結局、アメリカのYahoo!経由でAP電の"Japan urges calm after China severs contacts"という記事を読んで、なるほどと。尖閣諸島の帰属など背景は完全に省略されていますが、"Kan's spokesman, Noriyuki Shikata, told The Associated Press that China had not yet given formal notice of the suspension of contacts and exchanges."という一文が知りたかったあたりでしょうか。菅氏のスポークスマンとされている"Noriyuki Shikata"という方が漢字変換できないので留保付きですが、日本政府に対して公式には接触や外交を絶つ通告をしていないわけでして、やっていたらばかげていると思いますが、よほどのことがない限り、菅政権へのエールに終わるのでしょう。

 要は、中国側が「声と形の戦争」をしかけてきているので、柳に風とばかりに欧米に広報をした上で淡々と処理する問題だということになりますでしょうか。「声」にしても「形」にしても、本気ではないでしょうから、「気抜け」じゃありませんが、日本の領海で起きた公務執行妨害なのでそれで処理させてもらいますと淡々とこなすと中国があげた拳の降ろしどころに困るのでしょう。部屋を掃除機で片付けるような話なので、これもできないようですと、普通の会社だったら正規雇用も無理じゃないかなあ。あと先ほどのAP電には"the economies of the China and Japan, the world's second- and third-biggest economies"とあって中国にGDPで抜かれたということにショックを受けるナイーブな人には精神衛生上よろしくない記事かも。そんなに世界第2位の「経済大国」に執着するなら、円高誘導でもしましょうか。


 民主党政権で一番、恐れたのは日米安全保障条約の破棄でしたが、実質的に日米同盟が機能不全という程度で収まって済んだなあという感慨がありますね。表現が悪いのかもしれませんが、クリントンのCFRでの演説でよく同盟国として日本を挙げたものだとホッとした覚えがあります。この1年で失ったものよりも、民主党中心の連立政権ですら破壊できなかったものを確認した方がはるかに生産的ではないかと。これと矛盾するように響くかもしれませんが、日米同盟がアメリカの対アジア政策の"corner stone"という表現が姿を消したり、同盟国としての位置づけが韓国に次に来ているじゃないかと騒いでいる人の方が私には楽観的に物事を見ているように感じます。あまり素直には歓迎できない事態ですが、戦後、日本の繁栄の基礎であった日米同盟がどんなに漂流しても、アメリカ側から切るという選択肢がないという環境が、冷戦時代とは異なるとはいえ、続いているという幸運がまだ日本を見放したわけではないのだなあと。

 話がとびますが、中国の民主化というのは、その実現可能性もさることながら、果たして日本にとって利益なのか、さらにパートナーであるアメリカにとっても利益なのかという点にも懐疑的でした。『日経』様の「核心」によれば、まさに功利主義的な発想なのでしょうが、世間の話なんて損得勘定で考えれば、だいたい酷い目にはあわないものだろうと。たぶんですが、ある程度の民主化でさえ、中国の経済成長はそれに見合う軍事力を要求し、中共よりもはるかに露骨にナショナリスティックな行動をとるインセンティブを政府に与えるでしょう。おそらく、チベットや新疆ウィグル地区の問題もさらに悪化する可能性すらあると思います。先進国というのは得手勝手で、現在の自国の民主主義的な規範が後発国でも成り立つという独善に陥る傾向がありますから、ひどい言い方になりますが、中共が支配している中国の方が御しやすいと思っていた方が無難なのではと思います。

 時事通信だったかな、漸くホストネーションサポートを「政策コンテスト」にかけるというバカげたことにアメリカ側が不信感をもっているという報道をしていました。普天間が"deadlock"になっているところで、これはないだろうというのが第一感でしたが。中国がキャンキャン騒いでいるおかげで痛みを忘れがちですが、民主党中心の政権が日米安全保障条約の廃棄につながりかねない種を蒔いているという事態には変わらず、なぜ同盟国の順位にこだわるのか、理解しかねます。普天間問題で進展が見込めない以上、せめてホストネーションサポートは最低でも現状維持、可能な限り増額という手当てが必要でしょう。また、予算の関係上、こちらも非常に厳しいとはいえ、防衛関係費の増額を図ることが不可欠でしょう。少なくとも、現状では日本の防衛力の弱体化はアメリカにとって負担の増加につながりかねませんし、クリントンのCFR演説でも同盟国へ応分の負担を求める傾向が鮮明だと思います。財源の問題は子ども手当てをなくすだけでも十分でしょう。次の世代に安全が確保できない将来をもたらすよりは、安全が確保できる将来を残すことの方がはるかに急務でしょう。カネの問題で日米同盟の最低限の双務性である基地の提供を代替できるわけではありませんが、単に価値観などの言質だけでは弱く、明確に同盟にコミットしていることを示すためには、現状で動かせるのはまずカネでしょう。

 日米安保体制そのものが崩れてしまうと、元には戻らないでしょう。現状は、中国が暴れているという「セーフティネット」があるとはいえ、綱渡り状態であることを認識すれば、日本も堕ちたものだという愚痴を言っている余裕はないでしょう。日本がコントロールできる変数をとにかく動かしていくことが肝要だと思います。
posted by Hache at 07:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 気分しだいの寝言
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