2011年03月19日

リビアに関するオバマ大統領の演説 「思い上がり」の克服への第一歩

 下記は、前の「寝言」の「続き」として書きました。さすがに、いくら「時の最果て」とはいえ、内容に連続性がないので、別途、新しい「寝言」として呟きます。

 リビアに関する「寝言」を用意しようとしていましたが、日米間の微妙なズレが気になっていたので、こちらを優先しました。ホワイトハウスのサイトにオバマの演説がアップされました。19日の未明にはCNBCがツイッターで部分的に流れていましたが、全文を見たのは、午後でした。リビアに関する演説で最も重要なポイントは下記の部分だと思います。

This is just one more chapter in the change that is unfolding across the Middle East and North Africa. From the beginning of these protests, we have made it clear that we are opposed to violence. We have made clear our support for a set of universal values, and our support for the political and economic change that the people of the region deserve. But I want to be clear: the change in the region will not and cannot be imposed by the United States or any foreign power; ultimately, it will be driven by the people of the Arab World. It is their right and their responsibility to determine their own destiny.


 これは中東と北アフリカにまたがって広がっている変化のもう一つの章にすぎない。抗議の始まりから、われわれは暴力に反対することを明確にしてきた。われわれは、普遍的価値や地域の人々が享受するに値する政治的経済的変化を支援することを明確にしてきた。だが、私は次のことを曇りなく示したい。地域における変化はアメリカや外国の力によって押し付けられるものではありえない。究極的には、アラブ世界の人々によって達成されることである。それは、自らの運命を決定する彼らの権利と責任である。



 冷戦後の思い上がりの産物であった、いわゆる「ネオコン」の思想の全否定といってよいのでしょう。彼らは、力の論理に鋭敏であり、勢力均衡も正確に理解する側面があったと思います。他方で、世界を民主的に変革するためには武力の行使をも正当化しました。過去ログをお読み頂ければ幸いですが、私自身はイラク戦争そのものには賛成でした。中東の心臓部を抑えて、イスラエルをも睨みつけながら中東和平を図るという点で犠牲は多いものの、武力を用いることに見合うだろうと。ただし、民主化については明確に反対でした。それぞれの政体には歴史や地理その他の背景があり、外部から押し付けることはできるものではないと考えるからです。「ネオコン」がイラク戦争を引き起こしたというのは誤りだと思いますが、政策の理念として影響力をもったことは否定できないでしょう。私には、この理念が冷戦に勝利した旧西側陣営の思い上がりとしか映りませんでした。

 「時の最果て」の「寝言」ですので、クソ真面目なことを書くのも憚られるのですが、一方でアメリカに武力行使を迫り、他方で財政再建を求めるというのは、頭の中がどうかしているのではと思います。「羹に懲りて膾を吹く」と小バカにされて上等。イラク戦争で懲りたのではなく、冷戦後の思い上がりに、いい加減、気が付いてほしいものだと思います。オバマの演説が理念として燃え上がるような情熱には欠けていることに、むしろ共感を覚えます。相手は狂信の徒であっても、自分はそうではあってはならない。突き放して言えば、アラブ世界の今後など、数年で定まるものではないでしょう。オバマの最初の任期1年はヒヤヒヤの連続でしたが、ここにきて謙抑であることを示したと思います。だからといって、世の中が安定するほど甘くはない。ただ、思い上がりで没落するぐらいなら、謙抑で世界が混乱する方がマシだとすら思います。見通しが立つ状態ではありませんが、少なくとも、現時点でアメリカの最高指導者が謙虚であり、冷徹でもあることは、歓迎です。
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