2011年04月24日

ドルの没落?

 JALクラスの規模だと国際線と国内線の運航に関して範囲の経済性があるが、旧JASぐらいの規模だと規模の経済性がはたらくものの、範囲の経済性がはたらくという話を聞きながら、「ほほお、きれいな結果だなあ」と呟いておりました。「でも、アウトプットが単純な運航距離ですから」と返してくるので、「でも、例えが悪いかもしれないけれど、人キロをアウトプットにして東京メトロと名古屋市営地下鉄の生産性を比較したら、前者が高いのは当たり前。だから、"economies of density"と"economies of scale"を区別するんだし、費用関数の推計が需要条件で左右されたら本当はまずいでしょ」と話すと、その辺は当然私より詳しいので、推計結果についてさらに分析をしていて、すっと耳に入りますね。メディアじゃネットじゃなんだかリフレがどうたらこうたらが収まったと思ったら、電力自由化だそうで、最近は、東京方面では積極的に政策を主張する側が懐疑的な立場に反証を求めるのが当たり前らしいようで。もっとも、ノイズはノイズとして放っておけば、実に快適です。人様を耳が痛風呼ばわりしていたら、LPからDATに入れたのをさらにCDに焼いたブラームスの4番とか、2番とか、カルロス・クライバーばかりを聴いて土曜日を過ごしたら、極めて快適でしたが、録音でも十分、耳が痛風になると悲鳴をあげそうになります。モーツァルトの36番はクライバーとウィーンフィルで聴きましたが、極上ですなあ。なんせDVDで見ていると、クライバーの指揮は、実に優雅で官能的ですらあります。同じ方に、ジョージ・セルを聴いてごらんよと勧められていたので、アマゾンで注文したのが届いたのですが、音質があまりに悪くてちとつらいのですが、贅沢をした後は、痛風にならないためにはちょうどよいのかも。

 賃貸の契約更新で東北太平洋沖地震で胸が痛みますという話から始まったのですが、「いやあ、まさかと思いましたが、去年、おっしゃっていたように地震が起きましたね」と言われて、そんな「寝言」をリアルで言っていたかなと。名前を忘れましたが、予言の類はいっさいしないことにしておりますが、確か景気の見通しを尋ねられて、景気と天気は「気のせい」みたいなもので予測はできませんよと前置きをするのが常ですが、ユーロ圏が不気味だけれど、底割れする確率はかなり下がってよいだろうと2010年3月ぐらいには言っていたかなあと。ただ、病み上がりで地震とかの天災があるのが怖いですねぐらいは話しましたかもしれませんねと。なんでこんな話になるんだろうと思っていたら、阪神・淡路大震災をきっかけに地震保険を掛けておいたのですが、意外とあの地震があっても地震保険に入る人が少なくて、今回の震災をきっかけに地震保険が入るとのこと。10年以上も前から万が一を考えて入っていたので、いたく感心されて、こちらが気恥ずかしくなりました。単に、神経質なだけなのですが。

 今の総理はいかがでしょうと尋ねられると、「あかん、というところでしょうかね」と。代わりも碌なのがいないから、当座は首がつながっていればいいんじゃないですかとか、「外道」らしい話へ。冗談とはいえ、あなたが総理大臣だったら、復興はどうしますかと尋ねられて困りましたが、長期的な見通しがほしいなあと。何かと言えば、スマトラ島沖地震のように繰り返すようですと、復興の見通しすら、迂闊に立てると大変ですからとなります。高台に住居を移すのは、津波だけを考えればよいのですが、地形によっては土砂災害にあうリスクもあって、言うだけなら簡単ですが、問題も多いし。業者の方が東京23区内は幸せですなと。計画停電では極力、外される上に、この前、会った都内の人が仮設住宅はきれいですみやすそうねとのたもうていたそうで、さすがにドン引きでした。最近は多少はマシになりましたが、被災した人がいれば、テレビで内装を見れば薄型テレビに冷蔵庫、ガスコンロときれいにそろっているのですが、プレハブをちょっとマシにした程度のつくり。あれはあくまで「仮設」であって、早めにちゃんとした住居がないと大変だと思うのですが、無知な方が幸せなのでしょう。他方、東京本社の大手企業は、いろいろなところで聞いてはいますが、名古屋、大阪、福岡あたりの貸ビルからホテルまでリスク分散を図っていて、電力危機が予想されている中で本社機能を分散しないのは、民間企業の危機管理体制が問われる事態なのでしょう。

 そんな訳で、カルロス・クライバーに四方山話で気が紛れるのですが、重くのしかかるのは、ドルのひ弱さです。Wall Street Journalが2011年4月23日付で配信したTom Lauricellaの"Dollar's Decline Speeds Up, With Risks for U.S."という記事がよくまとまっているのですが、いかんせん、加入者限定もしくは有料記事ですので、メモを作るのもためらいますので、リンクは省かせて頂きます。2007年に12月21日に「グランドデザインのない国際経済」という散漫な「寝言」を書きましたが、その後も一貫してブレトンウッズ体制が維持可能かという点に関心があります。目先の問題としては、ポルトガルとギリシアを抱えるユーロ、震災で打ちのめされた日本円と比較しても、ドルのひ弱さは目立ちます。

 WSJの記事では、主要通貨のバスケットでドルの価値を表したグラフがあります。2008年9月以降の金融危機でむしろドルの価値は上昇に転じているという点で、エコノミスト連中は2008年9月15日で世界が変わったかのように今でも主張していますが(アメリカがダメージを受けたときに、日本が、それ以上のダメージを受けるかもしれないという簡単なことすらわからない人と口をきくのも苦痛なのであっさり縁を切りました)、悲劇の序幕というより、私自身も底割れの恐怖がありましたが、これが底だという見方は甘いのでしょう。このグラフは興味深くて、2008年末にかけてドルの価値が急激に上昇していますが、年明けに急落し、再度、3月末にかけて上昇しています。その後は、大幅にドル価値が減価した後、緩やかに下がり、ユーロ圏におけるPIIGS問題が意識されるようになった2009年末から2010年はじめにかけて2008年末を上回る水準まで上昇した後、ずるずるとドルの減価が進み、ドービル協定のあたりで再度、上昇していますが、その後、低下しています。水準そのものをみれば、2008年のベアスターンズ破綻以前となっており、グラフが2008年以降という中途半端な形ですので、ドルの減価傾向が一時的なものであるのか、より長期的な現象であるのかを判断するにはやや情報が不足していると思います。

 この時期の分析では、まず財政赤字の拡大を取り上げていますが、格付け機関の米国債の弱含み判断があっても、現状では不気味なほど低金利で推移しており、国内問題としてはむしろ州や地方自治体の財政破綻が進行していることが問題なのでしょう。低金利がドル安の原因であるという分析はもっともですが、金融緩和の副作用という側面もあり、評価が難しいところです。他方、低金利が財政規律を弱める側面もあり、実に悩ましい状態であると思います。また、ドル安はグローバルインバランスを解消する方向に左右するというのは理解できるのですが、記事も指摘しているように、国内物価を押し上げるように作用しますし、原油高はアメリカの家計消費を大きく圧迫する可能性が高く、不動産関連が弱い状態では、資産効果も見込めず、景気が急速に悪化する確率は低いのでしょうが、国内経済がはっきりと回復したといえるまではまだ遠いと思います。

 より長期的な問題として、記事では中国が通貨高を容認し、ドルを買うインセンティブが薄れていることが挙げられています。これ自体は、必ずしも懸念すべきこととして決めつけることはできません。米中の通貨問題をめぐるさや当ては見ている方がうんざりする状態でしたが、中国がこの問題に限定すれば、より賢明になったともいえるのでしょう。また、中国と輸出面で競合するアジア諸国がドルに対して自国通貨を強くするインセンティブを与えると指摘しています。他方、現状では、すぐには実現しないでしょうが、アジアにおいてドルに代わる決済通貨として元を位置づける戦略を中国がとった場合、ドル本位制を補完する勢力としてではなく、代替する勢力として長期的にはブレトンウッズ体制の挑戦者となる可能性があると思います。この場合、国際協調がより容易になるのか、困難を増すのかは明確な見通しを立てることが困難ですが、"G-2"が従来と異なった形で出現する可能性があることにも留意が必要でしょう。

 記事は、財政危機を抱えるユーロ圏、震災でうちのめされた日本に対してもドルの減価が進んでいることに懸念を示しています。アメリカ経済がこのまま衰退し、ドルが没落するというのは現状では考えづらいのですが、中国のプレゼンスの増大は、安全保障上の問題と相俟って、長期的には米中関係におけるアメリカの選択肢を狭めるように左右する可能性が高いことに留意が必要でしょう。


 
posted by Hache at 14:06| Comment(0) | TrackBack(0) | 気分しだいの寝言
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