2012年05月01日

チェンバロとピアノの歴史(1)

 慶事の前は緊張します。率直なところ、時間通りに到着した段階で9割方、終わったような気分です。あとは流れに身を任せて余計なことを口にしないことさえ気を付ければという感じでしょうか。自分自身が披露宴をしたいと思ったことがないので、ピンとこない部分が多いのですが、やはりめでたいことはめでたく、気分も軽くなります。まあ、お調子者の同窓生がいろいろやってくれるので、後半はそちらをどうしようか、無視しようかと困っておりましたが。一番、困るのは、お前はまだかという話でして、候補すらいないのに無理ですよでは逃げ切れなくて、本気で紹介してくれそうな雰囲気だったので、防戦一方でした。しかも、極度の寝不足で体力的には限界に近く、終わってホッとした感じでした。まさか、『ぷよm@s』を土曜の夕方から見始めたら、止まらなくなったなんて本当のことを言うのはさすがに気が引けますし。ああ、厨二病なんだなあと、題材になっているゲームを2つともやっていないのにもかかわらず、ここまでのめりこんでしまう自分を見ながら、既に廃人なのかもと遅れて自覚がやってくる始末です(メジャーな動画のようなのでリンクは省略です。私のマイリストにポイントとなるパートが入っていますが、非公開なのであしからず)。

 あとはのどと引越しですが、かなり良い方向で変化しました。のどは比較的に湿度が低い浜松でも、マスクなしで痛むことはなかったです。弱い炎症は残っていそうですが、抗生剤のおかげで炎症はかなり鎮火したのではと思います。逆に言えば、3月から2か月近く抗生剤を飲み続けているので、そろそろ治まってくれないと、腸内のバランスがおかしくなっているのではと。お食事中の方には申し訳ないのですが、珍しくお腹を下した状態が続いています。引越しも移転先が空いて、間取りを確認しました。連休明けには不動産屋さんから階層のスケジュールが提示される段取りです。早ければ、5月13日の週、遅くても27日の週には引越し作業ができそうですので、しばらくは落ち着かない部分もありますが、懸案が一歩進むのは精神的に良いです。4階に移る程度の話ですが、見晴らしが思ったよりも良くて、しかもDK中心とはいえ、6畳強ほど広くなるので、本棚を置くスペースが一気に拡大します。冷静に考えると、引越しの時期が1か月ほどずれたおかげで、慶事にも支障なく参加できました。今年は思い通りいかなくても、積極的に物事を捉えた方がよいのかなと。

 それはさておき、浜松市立楽器博物館に行ってきました(参考)。ここを訪ねるのは2度目ですが、満足感をえるには3時間は必要だろうと、11時前に入館しました。昼食休憩を入れてだいたい午後2時過ぎに出ましたので、予定通りでした。ちなみに、私自身は音痴の上に、ピアノを始め、まともに弾ける楽器は皆無です。ただ、さすがに聴くだけとはいえ、楽器の知識がなくては鑑賞すらできないので、こちらの博物館のお世話になりました。地上1階と地下1階の建物ですが、中はかなり濃度が来いと思います。浜松だけにピアノ関係の集積が半端ではなく、もっと客をよぶコンテンツに育ったらよいのになあと思うのですが。60代以降も生きる羽目になったら、住んだ中で一番、過ごしやすかったのは静岡県内でしたので、津波が来るぞといくら地震学者が脅しても、静岡で老後を過ごしたいというのがささやかな夢です。この手の話題はかなり危険でして、浜松市と静岡市の両方で暮らしたことがあるので、どちらがいいかという話は避けたいところです。政治的配慮抜きでいけば、どちらでもいいというところでしょうか。付き合いからいけば、やはり住んだ期間が長かったことも大きくて浜松ですが、どちらも捨てがたいです。

 楽器の話に戻ります。1度目に来たときには、情報量が多すぎて、ただ写真をとるばかりでした。今回は、チェンバロとピアノの区別とどこまでが類似しているのかを把握したいと目的が絞れていたので、他のパートを流す予定でしたが、いきなり筝を見たら、はまってしまいます。自分で演奏することはもちろんないのですが、筝の演奏を聞いてから、日本の楽器というのもいいものだなあと。結局、前と同じく、千鳥足状態で、あっちふらふら、こっちふらふらと目的が曖昧になりかけたのですが、さすがに、下のパイプオルガンを見たら、目的を思い出しました。ちなみに、鍵盤楽器は文句なく日本一だろうと思うのですが、1階に電子楽器の陳列があり、これはこれで圧巻です。地下1階はアコースティック鍵盤楽器がほぼ揃っていて、これだけの収集をしているところは他にはないのではと思います。

organ

 オルガンの解説も簡潔ですが、わかりやすいです。以下、著作権で余計な争いを起こすつもりはないので、写真と浜松市立楽器博物館の解説であることをすべてに関してお断りを入れておきます。ご覧のように、解説を撮影しようとすると自分の影が映ってしまっていて恥ずかしいのですが、撮影に関してもずぶの素人ですので、お見苦しい点はご容赦を。

organ2

オルガン
 本来はパイプ・オルガンのみをさし、次の3つの装置を持つことが条件。
 1. 演奏のための鍵盤装置 2. 風によってなるパイプ 3. パイプに風を送る機械装置
 構造やサイズは多様。ポジティブ・オフガン、ポルタティーフ・オルガンなどの種類がある。発音構造上はバンパイプが起源。上記の3つの装置を持つ最初のものは、BC250年頃アレキサンドリアで発明されたヒュドラリウス(水オルガン)。以後古代ギリシアとローマで発達した。中世以降キリスト教会で使用され、普及改良が進む。鍵盤やパイプの増加にともない巨大化した。
 名称はギリシア語Organo、ラテン語organum(道具、器官)に由来。今日では発音原理が異なるリード・オルガンや電子オルガンも意味する。(浜松市立楽器博物館)


 幅はそれほどでもないのですが、高さは2mを超しているというところでしょうか。ちなみに、陳列物を見終えたところで、オルガンの解説をしますとのアナウンスがありましたので、そそくさと見に行きました。若い女性が解説をした後、グレゴリオ聖歌をまず演奏。続いて、ちょっと聴いたことがない聖歌でしたが、最後がやはり「アーメン」と聴こえてくるので、解説が終わってから、おずおずと聖歌でしょうかと尋ねるとそうですとのことでした。解説中に驚きましたが、3択クイズで形式でこのオルガン内部におおむね何本のパイプが入っているでしょうという出題があって、正解は150本。鍵盤一つに3本のパイプが対応しているとのことです。オルガンの左下に3本のカギがあって、鍵盤一つに対応するパイプを1本、2本、3本と選択できるそうです。実は、一番最後に聴いた解説でしたが、鍵盤楽器は、鍵盤そのものがなるのではなく、鍵盤を叩く動作によって別のものが鳴る構造になっているという、音楽の専門家が聞いたら噴き出すであろう基本をようやく理解した次第です。

 たまたま、入った入口からオルガンを見て、次にチェンバロ、ピアノの成立と歴史を追う形になりました。下が、チェンバロの一つです。代表的な陳列はCD録音のため陳列から離れておりました。

harpsichord

 上の写真は、1640年頃にフィレンツェで製作されたチェンバロです。こんな古い楽器が新鮮な音色を奏でるのには驚きでした。

harpsichord2

 実は、オルガンの解説が1時から、チェンバロの解説が12時からとこちらが先でしたが、オルガンから入った方がよいでしょうと。チェンバロの響きは実に快く、やはり好きな楽器です。実は解説前に写真を撮っていたのですが、解説を聞き終えてから、あまりわかっていないことに気がつきました。

harpsichord3

チェンバロ

 鍵盤を押すとジャック(木片)が上がり、その先に取り付けられたプレクトラム(鳥の羽軸や皮製の爪)で弦をはじく。大型のものではひとつのジャックが複数の弦を同時にはじき音量を上げたり、音色を変化させたりすることができる。
 ヴァージナルやスピネットをチェンバロの一種とすることもある。
 期限は不詳だが、弦をはじく楽器(プサルテリウムなど)に鍵盤をつけたものは15cにすでに存在したと考えられている。
 イタリア、オランダ、イギリス、フランスを中心に作製。16c−18cが全盛期。
 名称のチェンバロはラテン語のツィンバロム(打楽器や弦楽器を指す言葉)に由来。英語のハープシコードはハープharp(ハープ)+コードchord(弦)。(浜松市立楽器博物館)


 解説のおかげで、チェンバロは弦を弾く、ピアノは弦を叩くという基本が理解できました(実際には中間的な楽器があるのでかなり単純化されていますが)。『ナンネル・モーツァルト』を観たときに、クラヴサンをクラヴィーアと訳していて違和感があったのですが、このあたりは後で見ますが、微妙なところで、バッハの『平均律クラヴィーア曲集』もあるので、クラヴィーアからチェンバロを外すのは、あまりにも現代的なようです。他方、解説ではピアノとの違いが強調されていました。チェンバロの動作原理を図式化した模型が下の写真です。

 action_of_harpsichord

 さらに、上記の動作を図で単純化したのが次の写真です。これを見ると、後のピアノと比較して、単純である一方、鍵盤を叩くという動作がてこの原理を使っている点は基本的には同じであることがわかりやすいと思います。

action_of_harpsichord2

 下の写真はオルガンの解説を聴き終えてから慌ててとりました。順路としては歴史をたどるように心がけたつもりでしたが、見逃しているものが多いことに整理していると気がつきます。クリストフォリの名前を恥ずかしながら、この展示で初めて知りました。

history_of_piano

ピアノの誕生

 ピアノは1700年頃にイタリア、フィレンツェのメディチ家に仕えていた楽器製作者、バルトロメオ・クリストフォリ(1655-1731)によってチェンバロを改造し考案されました。当時の花形鍵盤楽器のチェンバロとクリストフォリが発明したピアノは、外見はよく似ていますが、発音原理に大きな違いがあります。チェンバロは鳥の羽軸(うじく)などで作られた小さなツメで弦をはじきますが、ピアノは弦をハンマーで叩きます。この違いによって、ピアノは音の強弱を手元(鍵盤を押す強さ)で変えられるようになりました。ピアノが発明当時に呼ばれていた「グラーヴェチェンバロ・コル・ピアノ・エ・フォルテ」(弱音と強音が出る大きなチェンバロ)という名からも、音量に注目されていたことが分かります。(浜松市立楽器博物館)


 「ヘタリア」という俗称が象徴するように、戦争ではからっきしのイタリアですが、ルネサンスも過去になりつつあった18世紀初頭に、こんな発明があるのですから、やはりすごい国です。クリストフォリの死後、18世紀半ばからピアノが広く知れ渡るようになり、100年近い歳月を重ねて、現代的なピアノができあがったそうです。

history_of_piano3

クリストフォリ没後のピアノ製造

 クリストフォリの発明したピアノは、1711年に文筆家スキピオーネ・マッフェイが賞賛し、文芸誌で紹介したことで広く知れ渡りました。クリストフォリの没後、18世紀中頃から新しい技術が導入され、ピアノは急激に変化していきます。そして、19世紀後半には現在とほぼ同じ構造になりました。およそ100年に渡るピアノの変化では、主にアクションの改造、音域・音量の拡大などが行われました。この変化の一部は、展示と共に「ワンポイント・ガイド」として紹介していますのでそちらをご覧ください。

フォルテピアノ
 クリストフォリの没後、約100年かけてピアノは現在の形になりました。その過渡期(18世紀中頃から19世紀中頃)に作られたピアノは、現代のピアノと区別するために「フォルテピアノ」と呼ばれています。現代のピアノと比較すると、大きく力強い音は出ませんが、柔らかく繊細な音がでます。また、過渡期ということもあり、各製作者、時代、地域によってそれぞれ個性のある響きを奏でます。昨今の古楽ブームにも乗り、各作曲家が生きていた頃の響きを現代に伝えるフォルテピアノの価値が再評価されています。(浜松市立楽器博物館)


 写真の枚数、文字数も思ったより長くなったので、いったんここで「寝言」もお休みにしましょう。クリストフォリの没後、フランスで現代のピアノの基礎が確立した時期までの写真を次に見ていく予定です。


 話が前後しますが、クレンペラーのブラームスの交響曲第4番を聴きましたが、なるほど、目利きの旦那が勧めるわけだと感心しました。この旦那は私の母上とほぼ同世代、すなわち団塊の世代の方ですが、クラシック音楽全般に強い上に、モーツァルトの書簡全集を読んでいるという化け物クラスの方ですので、普通は反抗する私ですが、従順になっております。ただ、クライバーよりも、ロマン派的な解釈が抑制されていて、なおかつ和音の美しさがよくでているのに、第4楽章を聴いていると、なんともいえない諦念に襲われます。19世紀の音楽はもはや18世紀には戻れないのだと。



 上の動画はぷよm@sを見終えてからじっくり見ましたが、すごいですね。コメントにあるようにジョージ・セルの指揮かどうかまではちょっとわかりませんでした。こちらは、丹念に楽譜を解説して頂いて、なるほどと思うことばかりでした。これだけの細工をして対位法を当時の現代に生かそうというのはすごい才能です。他方、動画の投稿主さんはブラームスのノスタルジーを感じるそうですが、この発想はロマン派から離れていたせいか、発想自体が19世紀の音楽は異なるなあと。モーツァルトの場合、そのときの気分を想像したくなることはありますが、モーツァルトの心情というのは楽曲を聴いているときにあまり考えないです。私自身は、そういう習慣が身についてしまったので、やはりこの演奏を聴きながら、ブラームスの才能をもってしても、19世紀から18世紀に時計の針を戻すことができないのだなあという意味でのノスタルジーと諦念を感じました。構成が少しはわかったのですが、今でも難しい曲です。


 旧友の友人など慶事にも恵まれましたので、連休の狭間に、あるいは連休中にお越し頂いた方々にお約束を捧げます。かなり間が空いておりますね。

ここは「時の最果て」。 すべては「寝言」。

大型連休が皆様にとってよい休暇となりますように!
posted by Hache at 23:59| Comment(0) | TrackBack(0) | まじめな?寝言
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