2012年07月02日

ユーロ危機が続くメカニズム

 ユーロ圏関係の記事が土曜日で出尽くした感じで、見ているのは、WaPoとWSJ、NYTの3紙ぐらいですが、あっという間にオバマケアの方に関心が移っているご様子です。Caluculated Riskが2012年6月30日付で掲載した"On Europe"という記事がよくまとまっていて、いつも感心します。クルーグマンの見方でも私から見れば十分、楽観的です。ヨーロッパ版のTARPとQE(Qualitative Ease 質的緩和と訳すぐらいですが、(原文で"a very small version of quantitative easing"とあるので、どこをどう読んでも普通の意味のQE(quantitative easing)です。ここは単なる読み間違い(なにか妙な深読みをしていた気がします)ですが、完全に誤りなので訂正しておきます)この文脈では要するにECBに各国の債券を買い取れとクルーグマン先生はおっしゃっておりますな)で成長を回復するには力不足だが、危機を防ぐことができるというのは、感覚的ですが、アメリカではそうだったかもしれないですが、ヨーロッパではどうなんでしょうねというところです。この記事で一番感心したのは、最後のところですが、話を急がずに、少し適当に散歩でもしてみましょう。

A comment a few weeks ago from Mark Dow keeps ringing in my ear: "Germany is now pot committed."


 まずは、New York Timesが2012年6月26日付で配信したEduardo Porterの"Why Germany Will Pay Up to Save the Euro"というコラムが当初はユーロ危機に関する楽観的な見方としてだけ読んでおりましたが、上で紹介されている見方を読むと、異なる視点から立場が見えてくる感じがあります。タイトルの通り、ドイツがユーロ圏の救済資金を担保せよという主張ですが、理由や論旨は明快です。

  But Ms. Merkel knows that Germany must ultimately underwrite the euro’s rescue, pretty much regardless of whether its conditions are satisfied. There are three good reasons. First, the euro has been very good to Germany. Second, the bailout costs are likely to be much lower than most Germans believe. Third, and perhaps most important, the cost to Germany of euro dismemberment would be incalculably high − far more than that of keeping the currency together.

 メルケル首相は条件が満たされているかどうかにほとんど関係なく、ドイツが究極的にユーロの救済を裏書きしなければならないことを知っている。3つのもっともな理由がある。第1に、ユーロはドイツにとって有利な存在であり続けていることだ。第2に、救済の費用はドイツ人が考えているよりもはるかに小さいことだ。第3に、これが最も重要な点かもしれないが、ドイツがユーロから離脱する費用は、ユーロを続ける費用よりも計算不能なほど高くなるだろう。


 日本語ですと、ユーロ債だのそういう話がすぐにくるのですが、ドイツ政府とドイツ政府にドイツ国民を説得する道具を整理すために、単刀直入に利害得失を論じているのが好感をもてます。このコラムで興味深いのは、やはり第3の指摘です。

If the package for Spanish banks was agreed to, Germany would be left directly responsible for more than $100 billion committed since 2010 to the rescues of Greece, Ireland, Portugal and Spain. The Bundesbank is owed nearly $900 billion by other central banks in the euro area. And its banks still have hundreds of billions in loans to banks in peripheral countries. It’s hard to say what would happen to this debt if the euro were to break apart and weak countries to default. But chances are much of it wouldn’t be honored.

And that’s just the direct financial hit. The German government has reportedly estimated that the German economy would shrink 10 percent if the euro were to break up, twice as much as it did in 2009, during the global financial crisis.

 もしスペインの銀行が包括案に合意するなら、ドイツはギリシャやアイルランド、ポルトガル、スペインの救済に2010年以来コミットしてきた1000億ドル以上への直接的な責任を負ったままだろう。ユーロ圏の他の中央銀行はブンデスバンクから9000億ドル程度借りている。加えて各国の銀行はまだ周辺諸国へ数百億ドルの貸出を行っている。ユーロが放火し、弱い国が債務不履行になった場合、なにが生じうるのかを述べるのは困難だ。だが、機会は首尾よくいかない場合と同じぐらいである。

 また、それは単に直接的な金融の打撃である。ドイツ政府は、伝聞によれば、ユーロが崩壊すれば、ドイツ経済は10%ほど収縮すると推定した。これは、世界的な金融危機の最中で2009年に生じた縮みの2倍に相当する。


 ここに書いてあることが事実であり、ドイツ政府がそれを正確に認識しているとすれば、ユーロ圏の崩壊を防ぐ強いインセンティブが生じるでしょう。もはや、ドイツのユーロ離脱はないということになります。逆に言えば、ドイツのコミットを強めよと言うまでもないとも思いますが。他方、ユーロ崩壊でドイツ経済が10%程度落ち込むということは、ざっくりとした数字ですが、3000億ドルから3500億ドル程度、付加価値が減少することを意味するのでしょう。ドイツがユーロ救済のために3000億ドルの資金を焦げ付かせた場合、国内総生産の減少よりも、犠牲が大きいとドイツの有権者が判断する可能性は十分にあるのでしょう。極論すれば、3000億ドルの救済資金にドイツ政府が保証を与え、一部が焦げ付いて返済不能になれば、ドイツ人の間に残りの3000億ドルに関しても疑念が広がる余地があります。

 これはWashington Postが2012年6月27日付で配信したAnthony Faiola and Michael Birnbaumの"Germany offers vision of federalism for the European Union"という記事ではヨーロッパの政治統合を進めて、アメリカの州のように各国の主権を制限することや汎ヨーロッパ軍の創設など意味不明の主張をメルケルがしているとあったので、思わずのけ反りました。他方、ドイツとしては、他の国々がとても飲めない話を持ち出してコミットの度合いを弱めようとしているのだろうかと。

 回り道が長くなりましたが、いろいろすっきりしないことがある中で、最初で取り上げたCaluculated Riskの記事で取り上げられている、Behavioral Macroというブログの2012年6月11日の"The takeaway: Germany is pot committed"という記事を読んでなるほどと。ポーカーのルールを忘れてしまいましたが、ドイツの掛け金が実質的にポットの中にある状態では、ドイツを困らせる目的ではなく、少しでも救われる可能性にかけてどの国も降りない、すなわち危機が続いてしまい、体力の弱い国から債務不履行になるという事態が続くわけです。つまり、日本のメディアが大好きな「ユーロ共同債」などなくても、溶けるまでドイツの資金をあてにして危機が続いてしまうわけで、楽観論の本質はまだドイツがユーロ圏の救済に十分にコミットしていないという現状認識にあることになります。Eduardo Porterのコラムが典型ですが、ドイツからユーロ離脱という選択肢が事実上ない状態で、なぜコミットをさらに要求するのかといえば、ドイツのコミットが足りないことが危機を深刻化させているという現状認識が根本にあるからでしょう。これは、私のような「弱気派」のドイツが掛け金の大半をポットに収めている状態だという現状認識の差なのでしょう。WaPoの記事は飛ばしの可能性もありますが、ドイツ政府の無力感とせめて取引をしたいというドイツの苦しい立場を示した政治統合の提案なのかもしれません。

 ただし、危機の持続が安定的な解ではないのは自明ですし、Eduardo Porterが示しているドイツ経済の10%減を超える苦痛をドイツ人が救済から感じるようになれば、このポーカーは終わりを迎えます。時間稼ぎにも限界があり、現実には"muddle through"が続く一方で、事態が悪化する確率が高まったと思います。


 驚異の中毒性ですね。『絶対運命黙示録』をとうとう噛まずに「もくし くしも・・・」まで歌えるようになるとは。音痴なので、自分で聴いていても、「音程が来い!」状態ではありますが。TSUTAYADISCASでも、順番通りにはまず来そうになく、劇場版と26話から30話までのDVDを2回ほど通してみて、ニコ動のコメントにあったゴンドラってこれかあと感心するしだいです。映像特典が『わたし万物百不思議』でこちらは合唱をおとなしく聞いていた方がいいなあと。これは息継ぎが無理です。おかげで日本語で書いてある記事とかニュースは適当に読み流し、聞き流して、全部、忘れてしまいました。

 しかし、第29話の「空より淡き瑠璃色の」は何とも言えない悲しさに満ちていました。ディオスの力が宿った剣で天上ウテナに薔薇ではなく、ペンダントを散らされた有栖川樹璃が自ら薔薇を投げ捨て、敗北を選んだ後、雨が降るのは何とも言えない感じでした。土谷瑠果の願う奇跡は、彼が想定した形ではなくて起きたのかもしれません。全体の筋というより、現在は個々の話が面白いので、それにどっぷり浸かっている感じでしょうか。「変な歌」は、原作ではやはり効果的ですね。

 しかし、コメントはしないのですが、「変な歌キター」というコメントを見て喜んでいた私がたった2週間で「ぷよ廃人」ではなく、「ウテナ廃人」になるとはね。これは、私個人の問題としてはユーロ危機よりもはるかに重大な危機に直面しています。まあ、いくところまでいっちゃうんだろうなという無力感にさいなまれているという点ではメルケルさんと同じなのかな。

・・・・・・不謹慎にもほどがありますね。二次創作から「世界の果て(the end of the world)に来るとは・・・・・・。「時の最果て」では本来、絶句するしかないので、そこでの言葉はすべて「寝言」でしかないのですが、日本のオタク文化の本気の片鱗を見ている気分です。
この記事へのコメント
巷のニュースは終わった政治家とその取り巻き達の騒動にフォーカスが合わされっぱなしでEU騒動どこいった的な感じですが、ウテナはやばそうですね近づかないでおきます。

ぷよ初代はやはり迷いますが、現在モバマスにはまってて、それと読書などで時間手一杯なので手が出せないので見送ってます。雪歩春香の対決は、やはりこのPのアイマスへのキャラ愛の深さと演出の上手さに毎度ながら震えます。将棋の棋譜や麻雀の牌譜を考えるのと同類の思考センスにも恐れ入るばかりです。(でもやはり千早に勝って欲しいなぁとかその阻止の為の雪歩進化と美希欠席なのかなぁとか)
Posted by 名無之直人 at 2012年07月03日 00:07
>名無之直人様

モバマスの方が財布の中身的な意味でも危険な香りがしますが・・・。ウテナは好きな人と嫌いな人にわかれる気がしますね。ぷよ初代は、ちょっとやっただけですが、やはり奥が深いです。

『ぷよm@s』の演出とキャラ造形はいいですよね。あちらの雪歩がウテナのDVDが見られなかったり、決闘曲が聞けないときの私みたいな状態でしょうか。安易に「閣下化」しないので、春香に勝ってほしいなあと思っていましたが、雪歩が致死連鎖の大切さを知るきっかけの役割になってしまいましたが、千早の「ぷよ廃人センサー」が反応するレベルに来ているようですので、パラマストーナメント後は期待できるのではと。ちーちゃんは真に勝てば、雪歩対亜美の勝者とあたることになるので、雪歩が敗れる可能性もありますから、意外とチャンスじゃないですかね。問題は、対真戦でともに実質5連鎖勝負ですが、ペチペチ耐性の弱さを考えると、かなり厳しいかもですね。個人的にはやよいおりの浴衣姿でありがとうございましたみたいな感じです。

なんかテレビじゃ、関取みたいな顔と出目金が壁にぶつかったへしゃげたような顔の人とが映る機会が多くて、生理的に嫌だなと。大英博物館関係のNHKスペシャルは最後まで見ましたが、西洋文明の凋落がパワーシフトと直接関係がないにしても、安定的な国際関係の基礎が変わる可能性があるので、やりすぎかなと思うぐらい、ユーロ圏の問題を取り上げました。その意味では日本のメディアの反応の方が日本人としては普通なのかもしれません。
Posted by Hache at 2012年07月03日 00:54
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