2007年11月16日

金と恩は天下のまわりもの

 周囲を見ていると、疲れています。私も、とてつもなく疲れております。「最近、疲れるなあ」と口に出す方はまだ精神を正常に保つことが可能な状態。なんとなく「コンプライアンス不況」ならぬ「コンプライアンス地獄」。そのうち、自殺者が出るだろうなあと傍観者のように見てしまいます。なんとか、このスピードぐらい落とせないのか、せめて余計な仕事を増やさないようになんとかできないのかとない知恵を絞る日々です。

 かんべえさんが小川彰さんのことを書くと、しみじみしてしまいます。メールをやりとりさせていただきましたが、かんべえさんの書かれている文章を拝読すると、御面識をいただけなかったことが悔やまれます。なんと申しましょうか、不義理な私は、どんなにご恩を頂いても、ご恩返しをしようとか殊勝な気分にはならず、自分の好きなことをやってしまうのですが、まだ、このような方を残していたのだと日本の会社も捨てたものではないと思ったりします。悲しいのですが、このような方を残す余地がどんどんと減少している印象もあります。

 疲れているときには昔のことをついつい思い出してしまいます。現在の職と無縁ではないのですが、以前、勤めていたときに、研修中は厳しいことばかり言われて必死に自分なりに工夫をして鍛えられましたが、終わった後に、あるとき、「あなたは、いい○○者になりますよ」と誉めていただいて、びっくりした覚えがあります。自分には不向きな仕事ですし、いまでもそのような自覚があります。あとで考えると、よく我慢して使ってくれたなあと感謝の気持ちが沸いてきます。知り合いが、昔話である会社の「看板」の一角だったというのはすごいですなというので、そうではなく、失敗だらけの人間を一人前にする胆の座った方がいたからだよと話をしていて、合点はしていなかったようですが、私が使う立場だったら、投げていたかもしれないと思います。実際、他の人が切られるのを見ておりましたから、私をなぜいつまでも使ってくれていたのか、私自身、いまだにわからない部分があります。

 その方が胃癌で入院されていたときに、はっきりと干されているのを感じました。当時は事情がわからなかったのですが、言ってみれば「コンプライアンス派」が強くなり、私みたいに減点主義で採点されるとひどい点数になってしまう者には使い道がなくなります。そういうときは、あれこれ考えずに、「捨てる神あれば拾う神あり」と開き直るだけです。

 その後、回復されてから、「酷使」されましたが、「休養期間」をいただいたおかげで「全力投球」できました。20代の終わりから30代前半は、そんな時期でした。なにか仕事をしようとか、なにごとかをなそうという感覚がまるでなく、比喩を使えば、タクトを振るうと、一瞬、オケの団員が緊張したところで、すかさず緊張をほぐし、お互いにコミュニケーションをとりながら、楽しんでやっておりました。じわじわとテンションが上がり、最も難解で美しいところで、透明な音感が出るのが快感でした。バックも完全に私のペースに合わせてくれて、本当にわずかな時間ですが、こんなひとときを味わうために7、8年を費やしたのかなと思いました。本当に仕事らしい仕事(やり始めると、楽しんでいるだけですが)ができたのは最後の2年ぐらいでしたが、このあたりが潮と思い、一気に手を引きました。その頃に、胃癌を再発されたとのお話を伺い、ショックでした。あとは書くまでもないです。

 私自身は世渡りに興味が薄く(もちろん、生活がかかっている以上、最低限の部分はありますが)、「生」すなわち「死」すなわち「生」という異常な事態にいかに処するのかという「処生術」には大いに興味があります。死が一度きりしかない体験であることによって、生が一度きりしかない体験であることを担保される。輪廻転生を認めてもよいのでしょうけれど、私の想像力では、死が一度きりであることが生を生たらしめているという程度のことしか考えることができません。くだらない話ですが、このようなどうでもよいことに「神」を持ち出さずに(東洋風に「天」でもかまわないのですが)勝負しようというのが私の「生」であり、「死」でもあります。

 そんなちゃらんぽらんな私の、文字通りの「処世術」は、「金と恩は天下のまわりもの」ということぐらいでしょうか。さすがに金はちょっと違いますが、恩なんて借りるだけ借りたらよい。借りた人に返すとは限らず、あえて言えば、恩の貸し借りなど帳簿をつけず、帳尻を合わせようともしないのが私の流儀です。かくして、この国では「借金王」を増やすことが私の「仲間づくり」(こう見えても、義理人情に薄いことにちょっとだけうしろめたさはあるのですよ)というのは、「寝言」というより、「言い訳」ですかね。
posted by Hache at 02:45| Comment(0) | TrackBack(0) | 気分しだいの寝言
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