2007年11月26日

ヨレヨレの「中国論」

 かんべえ先生(教壇に立たれているようなので)の「不規則発言」を11月19日から25日まで読み通すと、面白いのですが、いかんせん、ヨレヨレ。休日にパソコンの再セットアップなんてやるんじゃなかったと思います。完全に生活のリズムが狂ってしまって、今日は2時間しか寝ていない状態。オーストラリアに関しては、雪斎先生安達正興さんの記事を読んでおいて、疲れがとれて、なにか思いついたら、書きましょう。不思議なもので、これが仕事だったらうんざりですが、ついついなにかを書きたくなってしまう。休むほうが無難かなとは思うのですが。

 まず、感じるのは北京と上海でこうも雰囲気が異なるのかという点。政治というより、安全保障が前面に出ると、やはり対立の側面が強く出て日中の落としどころが見当たりづらい感じです。他方で経済がメインになってくると、コンセンサスが形成できないわけではないなあと。中国経済の「バブル」崩壊を中国の弱みと見るのはやや早計だと思います。日本は対中貿易では出超が続いていて、まったくの他人事ではなく、調整のスピードにもよりますが、日本経済にも安泰というわけではないでしょう。問題は、どの程度の影響があるのかという点ですが、業種によって濃淡もあって、率直に言えば、計算そのものは私の手に余ります。起きてみないとわからない(既にそうなっているのでしょうが)部分が大きく、ただ、過度に悲観的にも楽観的にもならないというありきたりな表現ではありますが、対中貿易では、あくまで総計にすぎませんが、買い手というよりも売り手としての立場にあることを忘れなければよいだろうと思います。重商主義的な発想には賛同しかねますが、企業内分業など特殊な要因を無視してざっと見てしまえば、中国経済が日本経済の内需に依存する以上に、日本経済は中国経済の内需に依存しているということを抑えておけばよいのだろうと。他方で、中国政府の経済政策に影響力はほとんどないでしょう。端的にいえば、日中は経済的に融合する部分が大きい一方で、政治的にはその利益を活用する(あるいは不利益を回避する)ことは困難であろうという見通しになります。

 こんなことを書いておいてまるっきり正反対のことを書いてしまうと(まさか上海からこちらを見てこんなに善人なんだぞと「不規則発言」を書かれたわけではないのでしょうが)、かんべえさんもずいぶん丸くなったなあと。「お馬鹿な質問」と一刀両断にされていますが、バブルの経験が初めてなら、頼りにされるのもやむなしというところでしょうか。陳先生はしっかりされているなあと感心してしまいます。ただ、このように自由な雰囲気は北京では例外のようで、首都と経済的に繁栄している都市との違いでしょうか。「対日デモ」の終着点が上海であり、その時点では反政府運動へと発展しかねないと勢いであったことを思い起こすと、中国が一つの国としてまとまってゆくのは容易ではないように思います。

 台湾海峡で強硬姿勢を崩すのはやはり難しいのでしょう。私は今でも、中国が台湾の併合を実現するならば、中国が音頭をとって台湾の国連加盟を支援して実現するという岡崎先生の「上策」がベストであろうと考えております。台湾の世論が親中に流れれば、日米が泡を食ったところで、打つ手なし。これがなぜできないのかをうんうんとない頭をひねって考えておりましたが、著者ご自身とお話した機会に不思議そうにされていました。「どうしてだろう」。PCの再セットアップで干からびた、なけなしの脳みそを酷使すると、まず、中国共産党指導部には民主主義というものが感覚的にわからない部分と国内的制約でしょうか。台湾の「独立」を認めた上で「併合」しようというのは、トリッキーなようにも思えますが、意外と民主主義国をなびかせるには脅迫よりも強力でしょう。台湾海峡の軍事バランスは、中国側の努力にもかかわらず、武力行使に及べば、日米の干渉がなくとも、台湾が独立を保つ可能性が高いのでしょう。他方で、「一つの中国」という虚構は、対米外交ではある程度まで成功を収めているようにも見えますが、いざとなればアメリカはどう出るかわからない部分があると思います(アメリカの行動を制約できる国など他にもないでしょう)。こうなると根競べみたいなもので、中国は言い続けるしかないのかもしれません。言わなくなれば、中国のナショナリズムの正統な代表者としての地位を中国共産党が失うのかもしれません。そんなことをしなくても、中国がアイデンティティを保つことに苦労しないのが望ましいわけですが、まだ時期尚早なのでしょう。

 日本人が中国の政治体制を論じるときに暗黙に民主化した中国が望ましいという価値判断が、濃淡の差はありますが、混ざっていることがあります。果たしてそうなのかは、私にはわかりません。中国人自身が決めるべきことと書くと、優等生的に響くのかもしれませんが、私自身は突き放した見方として、そのように見ております。大陸に深入りすると碌なことがないという感覚があることは否定しませんが、中国が民主化した後に台湾併合を断念するという保障はどこにもありません。露骨に言えば、中国共産党の独裁体制下であろうが、民主化された体制であろうが、中国との外交は必要なのであって、それをいちいち面倒がっていては筋違いであろうと。強いて両者を比較すれば、民主化された政権の方がより中国の発言力は国内のコンセンサスを透明に反映したものとして、より強くプリゼントされる可能性が高いでしょう。打算だけでゆけば、案外、一党独裁体制の方が付き合いやすかったということもありうるでしょう。

 現状では、経済では相互依存が優勢であり、安全保障では対立する側面が強く、「ねじれ」が生じています。ありきたりではありますが、国内の「ねじれ」とともに、対中関係における「ねじれ」と辛抱強くお付き合いしてゆく粘り強さが肝要だと考えます。まあ、いかれた「外道」の「常識」からすると、「ねじれ」の一つや二つで参っていては、私のひずみだらけの人生などどうなるのよというところでしょうか。
posted by Hache at 22:28| Comment(0) | TrackBack(0) | まじめな?寝言
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