2008年01月19日

民主政と政治的リーダー

 ようやく冬本番という感じで最初は寒さが身に沁みましたが、慣れてくると、本当に楽です。「燃焼」させなくてはならない、余分な「成分」を体中に身に着けているおかげで、歩くとまるで寒くなく、汗もほどほどでして(汗かきなので夏場は本当につらいです)、ようやく自分の季節がきたという感じでしょうか。ただ、なぜか冬は眠くなりやすいです。暖房を抑えても、なぜか眠い。まるで冬眠するような状態になるのがちょっとだけもったいない感じです。

 しかし、同世代はつくづく贅沢だなあと。わさび談義で盛り上がっている人たちの話題についてゆけず、生わさびは鮫皮でおろすとか、醤油には溶かさないとか、練りわさびでもさっさと食べてしまうとか実に細かい。まるでおじさんのようにわさびは辛くなきゃといっているので、思わず、そういうのが好みじゃない人もいるでしょとツッコミを入れたいところを何事もなく、生ビールをのんびりのんでいました。ただ、なぜか辛味ばかりの話なので、高校時代を過ごした静岡市で生のわさびを食べておいしいと思った私にはわからずじまい。確かに鼻にツンとくるのですが、なんともいえない甘みがあるはずなんだけどなと思いながら、あまり自分の舌に自信がないので、まあ、どうでもいいかという感じ(まあ、刺身を食べるときの話でしょうから、わさびそれ自体の旨みがスルーされてしまうのはしょうがないかなと)。グルメではないので、基本的に薄味だったらたいていは大丈夫という「縁なき衆生は度し難し」というところでしょう。どうも食い物の味にこだわる人との相性はあまりよくないようです。能書きが細かいわりに、お茶漬けでもどうかと思いますが、雑炊にわさびをいれるというのは私には難しすぎるように感じました。

 本題はリーダーシップ論なんですが、さらによけいな「寝言」を重ねると、再生紙の「偽装」というのはもはや私にはついてゆけないです。各紙に目を通してみましたが、私の疑問にはなにも答えてくれないので、どうもなあと。まず、そもそも再生紙の環境負荷は本当に(バージンパルプを加工した)通常の紙よりも小さいのかどうか。次に品質の問題で政府調達では古紙配合率100%を要求していたようですが、そんなことは技術的に可能なのかなあと(いっそ、新聞のチラシの裏(けっこう上等な紙を使っていることもありますし)でも使えばよいのにと「寝言」よりもひどいことが頭をよぎりましたが)。「偽装」が明るみにでたおかげで、政府は紙の調達に困るかもとくると、ほとんどバカげているなあと。もちろん、法令遵守は当然ですが、なんとなくマヌケな感覚が抜けず、こういうバカげたルールをまともにしてゆくのが、リーダーシップの一つ(もちろん、細かいことを総理にやってくださいねという意味ではなく、余計なルールを減らしてゆくインセンティブを与えることがトップのリーダーシップですが。困ったことに「消費者庁」が「日本版NSC」に重なって見えてしまいます)ではないかと、こちらは「寝言」というより愚痴ですな。

 リーダーシップ論の多くは、その担い手をいかに育てるのかということに多くが割かれている印象があります。代表的なアプローチの一つはエリート教育の必要性を説く立場であり、それを批判するならば、あえて「特権階級」をつくらなくても、競争があれば十分だという主張も成り立つのでしょう。もっとも、エリート教育の必要性を説く方も競争を否定しているわけではなく、競争の場をつくることが必要だという立場であって、エリートに要請される資質は、通常の教育における競争では育成できないという価値観が根底にあるのでしょう。誰が見てもエリートではない私がエリート教育の必要性を説くというのは含羞がありますが、エリートたるもの学校の勉強などできて当たり前、教養もあって当たり前、なによりも公への献身が大切だというのはなんとなくはわかります。

 教育制度を整備することで、ある程度はエリート層と呼べる人材を輩出する確率を高めることはできるでしょうが、「戦後」民主主義批判という文脈で語るのは別にした方が良いのかもしれないと感じます。分権的社会は、徐々にですが確実に「特権」を排除する作用をもっていると思います。トクヴィルの『旧体制と大革命』は、以下は私の印象の一つにすぎませんが、大革命のもたらした封建特権の廃止と普遍的な権利への希求がそれを進めた当事者の意識とは異なった結果をもたらしたというすぐれた洞察を含んでいたと思います。極論ですが、分権的社会ですら、あるいはとくにその民主的な側面があるがゆえに、富の再分配という点である種の「特権階級」を生むことすらありえるのでしょう。他方で、結果として万人が平等とは決してならないのでしょうが、分権的社会は確実に「特権」を排除してしまうのかもしれません。あえて否定的なニュアンスを含ませているのは、エリートを意識的に育成するためには、民主的な側面を制限しなければならず、そのような社会的合意が可能かどうかについてはこの国の「戦後民主主義」だけの問題なのかどうか疑問だということです。もちろん、異常な側面があること自体は否定できないのですが。

 司馬遼太郎の『翔ぶが如く』のどこかで(うろ覚えですので誤りがあるかもしれません)、文化庁かどこかの役所の人に現在の政府は明治の太政官政府のままだと言われて、司馬氏が強い印象を受けたという記述があったと記憶しております。現在でもこのような評価が正しいのかは疑問がありますが、ある一面を衝いているのでしょう。明治維新がある一面においては江戸幕府よりも集権的な体制をつくりだしたのでしょう。他方で、西南戦争を頂点とする内乱を経て在野の国会開設運動がより分権的な体制への移行を求める運動に変化し、政府もそれを紆余曲折がありながらも立憲体制と議会開設によって自ら体制を変革しました。明治国家が現代と比較すればはるかに集権的であったというのは、当時の国際情勢を考慮すれば、必然だったようにも思えます。他方で、「官」が政治的リーダーの有力な養成機関であったことも、近代的な意味での分権的社会が未成熟な段階では他に供給源がなかったという消極的な理由でやはりある程度の必然性があったのでしょう。司馬氏の意図から離れますが、この国も分権的社会としての積み重ねが堆積してくると、「官」が政治的リーダーを排出する機関としての役割は低下してくると思います。

 おそらくは、宮澤喜一政権を最後に官僚出身と呼べる宰相がいないことは、「官」の役割が政党によって担われる時代に入っていることを象徴していると思います。霞ヶ関でも若手が他分野に飛び出してしまう時代です。動機は人それぞれなのでしょうが、やはり成績が良いというだけではない、なにか自分の手で確実なものをつかみたいという欲求の発露であることが少なくないのでしょう。もちろん、霞ヶ関に残る方たちの「士気」が高いことを望みますが。話がそれましたが、戦前と戦後で最も異なる点の一つは、軍事的エリートが事実上、政治的エリートになる機会が非常に少ないということだと考えております。政党が政治的リーダーを生み出す機能を果たせなくなったときに代わりになるのが軍事的エリートしかなかったというのが戦前の実情ではないのかと感じております。「妄言」の域に入りますが、もし、戦前の陸・海の二軍が軍事だけでなく政治的リーダーを輩出するように、軍略は政略にしたがうという点を外さずに意識的に教育がなされていれば、あのような失敗は避けられたのかもしれないと感じます。これはないものねだりにすぎませんが。

 昨日は、戦前も戦後も政治的リーダーを継続的に生み出すメカニズムが存在しないのではないかという「寝言」を書きましたが、潜在的な可能性なら無視できない程度に人材の供給源は多様化しているように思います。「官」は以前ほどではなくてもやはりそのような場でしょうし、分権的な社会の成熟と生活水準の向上によって「民」も今後、有力な供給源(少なくとも潜在的には)となると思います。「学」は竹中平蔵氏の登場で期待する向きも多いようですが、どうかなという感じ。いずれにせよ、政治的リーダーの資質をもった方たちを発掘し、育てるのは政党の要の役割だということです。古典的な意味での「エリート」は死滅する傾向にあるのでしょう。他方で、希望的観測を多々、含みますが、現代の日本では政治的リーダーの供給源は分散化しているように思います。問題は、その人材を組織し、競争させ、育てる政党の機能であろうと。

 現在の日本政治はまるでウォッチする気力が起きないのですが、政治的リーダーを育てるのは学校ではなく、政党だというのが今日の「寝言」です。あまりに長くなったので割愛しましたが、地方自治が果たす役割も見逃せない点だと思います。今回に限らず、アメリカ大統領選挙を見ていると、上院議員と並んで州知事の経験者が多く、対照的にこの国では利巧な人が国会議員から地方へ転進するようです。このあたりはわからないことが多いので割愛しますが、韓国、台湾、アメリカと他の民主主義国の選挙を横目で眺めながら、「なにを」してくれるか以上に、「誰が」ということをまず選ぶのが民主政の特質ではないかと感じたことがきっかけです。乱暴に言えば、衆人環視の下で権力闘争(永田町のゴタゴタではなく)を行うのが民主政の特質の一つであろうと。さらに、それは気分しだいの有権者の「審判」をへる。素人の浅知恵ですが、そのことを劇的に示しているのが、アメリカ大統領選挙だと感じます。
posted by Hache at 23:53| Comment(0) | TrackBack(0) | 気分しだいの寝言
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。
この記事へのトラックバックURL
http://blog.sakura.ne.jp/tb/9764133

この記事へのトラックバック