2012年06月26日

ドイツ国債への疑念

 スペインでもよかったのですが、2012年6月25日深夜の段階でスペインが救済を申請したという記事が『日経』のオンラインのトップページにあったので、ああスペインさんは終わりましたねという感じでしょうか。スペインが救済を申請したことではなく、『日経』がトップに持ってくる頃には話が終わっていることが多いので、済んだ話になったのかなと。ギリシャはガン無視していましたが、日本のマスコミが取り上げているというだけでどうでもよいという感じです。後出しじゃんけんではありますが、米紙の世論調査結果を見ていると、ユーロ離脱も辞さずに緊縮を撤回しろという政党ユーロに残りたいが緊縮をまけてねという政党が勝つのはかなり確率が高い上に、緊縮は勘弁してくださいというのもほとんど当たり前ではないかと。国内の報道を、「凝視」(正確には周辺視野で相手のフィールドを把握するので「チラ見」)していると、とりあえずギリシャが大変ですと騒ぎたかったのと、騒ぎが終わって一安心ですと火消しに入るといった具合で、あの業界は「学習」とか「進歩」という言葉とは無縁なんだなあと。もう少し芸があれば、エンターテイメントとなりそうですが、ニコ動だけでもとても全部見るのは無理な勢いでコンテンツが作成されている時期に、あの程度の芸風では無理でしょうなと。

 ユーロ圏の債務問題を話すときには、自分ではまったく自覚がないのですが、とっても嬉しそうなようで、「そんなおっかない話をよく楽しそうにできますね」と呆れられます。「で、どうするんですか?」と尋ねられるのですが、「打つ手はありません」と無責任極まりない一言でさらに呆れられてしまいます。経済学者とかエコノミストとか、現状も碌に認識しないまま、処方箋を切る方々がそうであるのはその方々の生き様でしょうが、私はそうではありたくないというところでしょうか。ユーロ圏の債務問題の場合、先進国が多く経済規模が大きい上に、財政そのものが経済全体の悪化の要因になっているので、打つ手が見当たらないというのが率直なところです。

 経済畑以外の人と話すと、「今でもそんなにアメリカ中心で経済が回っているのですか?」と驚き半分、疑い半分の反応が返ってきます。まあ、ざっくり言って、私が学生時代の時には日本のGNPはアメリカの2分の1だったのが、今では3分の1ぐらいですよというとほへえとなるので、こちらは意外だったりします。まあ、2008年の経済危機を目の前に控えて、「デカップリング」とのたもうていた方は、経済のことを知らない人なのでしょう。馬鹿のひとつの覚えのように、ミクロレベルでの交換の利益と需要と供給、相互依存、マクロレベルでは統計がわかれば十分ですよという話なのですが。

 それはさておき、段々、WSJの記事で市況欄が増えているのは、ちょっと嫌だなと。第1に、事態が切迫しているときに市況欄を読む機会が増えるのは2008年の経済危機で経験したからです。第2に、『日経』で一番読んで間違えそうなのが市況面で、WSJだからといって信用するのはちと危険かなと。露骨なポジショントークですら、見抜くほどの眼力はないので。しかし、ユーロという統一通貨とそれを用いる経済圏の「詰み」を考える上で、ドイツ国債の問題は避けて通れないので、スペインの問題以上にユーロの「終わり」を机上の空論として議論するにはよいだろうと。取り上げるのは、Wall Street Journalが2012年6月24日付で配信したMatt Phillipsの"Bunds Lose Some Standing as Haven "という記事です。

 タイトルがひねりがないのはWSJの実際的な雰囲気を感じるのですが、かなりストレートですね。「ドイツ国債は避難所としての地位を失った」といったところでしょうか。まず、お断りしておかなくてはならないのは、6月22日にドイツ国債(10年物)の金利が1.578%を記録したことがオンラインの記事のグラフや本文でも強調されているのですが、6月25日には1.47%に下落して、価格は1%ほど上昇していることです。これまでも何度も繰り返して恐縮ですが、私自身は経済に関してわかっていると思ったことはないですし、まして金融はずぶの素人です。ただ、長期金利がこれほど大きく上下すること自体、市場の方向性としてタイトルが示すほどドイツ国債への疑念が現状で高まっているのかは疑問もあります。他方、ユーロの「詰み筋」としてはドイツ政府の資金調達コストまでが上昇して実質的に救済が不可能になるというのが最もわかりやすいので、この線も読んでおいた方がよいだろうと。

 見出しの下の「ビッグネームの投資家が売り手にまわるとき、ごくわずかな避難所の一つでイールドが上昇する」というあたりが全体を要約しているのでしょう。売り手に回る理由として、(1)ドイツがギリシャだけでなくスペインを救済し、イタリアまでとなると財政的に耐えられるのかというユーロ圏の債務危機の核心部分と、(2)リスク回避の手段として、既にドイツ国債の価格は高く、金利は低いため、現時点ではより安全と見なされている米国債に見劣りがするという市場の論理が全体を通して浮かび上がってきます。後者は、JGBの行く末を考える際に重要な点ですが、本題からそれるので、クルーグマンが定式化した「流動性のわな」はやはり日本のような特殊な事情によるのではという点と、財政再建の姿勢が云々よりも既に債券価格が値下がりするリスクを意識する方が経済の発想として自然だという点に留めます。外資勢の日本国債の保有比率が20%前後とも言われておりますので、財政再建よりもマーケット指向の国債管理政策がはるかに重要でしょう。

 それはさておき、問題はドイツ国債です。まずは、コンセンサスの相違を確認しておきましょう。

To some, the parallel moves suggest a growing consensus among investors that Germany will ultimately be on the hook to lend more support to Spain, and potentially even Italy.

 ある運用会社の話では、(債務問題が生じているスペインやイタリアと同じように)並行してドイツ国債の金利が上昇していることは、ドイツが最後はスペイン、潜在的にはイタリアまでも、資金を供給して支援するだろうというコンセンサスが投資家の間で力をもってきていることを示している。


 最後にいつ読んだのかは忘れましたが、『日経』やその他の新聞で「ユーロ共通債がユーロ復活の切り札!」みたいな話を読んで、寝言は寝てから言えと思いました(最後の部分は「時の最果て」においては私のみに使うことが許されている表現です。悪しからず。間違っても、「寝言」は寝てから言えなどとコメントされないように。言われなくても厨二病だという自覚がある程度には不健全です。でも、他人に言われると、怒りが有頂天ry)。財政統合しようがしまいが、ドイツが救済を止めない限り、実質的にはユーロ圏共通の債券の代表としてドイツ国債が見なされる上に、債務危機の最中にある、あるいはそうなると予想されている国と連動して金利が上昇するというわけです。

 話が前後しますが、記事によると、売り手側には、BlackRock IncやPacific Investment Management Co(Pimco)、ING Investment Managementで、これらの運用会社は3兆ドル以上の債券を運用しています。まあ、どこぞの島国のように、借金が10兆ドルを超えるのにメタボの予算を提出しておいて、将来のために増税とか意味不明すぎるという国(ギャンブルで負けが込んでいる親父が今度は勝つから小遣い増やしてくれと言われたら、私が嫁だったら小遣いを昼飯代+αの必要最低限に絞ってやりますよ(減税)と言ったら、こんなわかりやすいたとえはないと変に感心されてしまいました。半分冗談、すなわち「寝言」なんですけれども)に住んでいると、なんだたった3兆ドル程度かとなりますが、錚々たる会社ですね。

 話が逸れましたが、ドイツ国債の売り手に回る別の立場の説明が続きます。

The drivers of the decisions to sell differ. Some investors are concerned that Germany's reputation as a borrower could be damaged by a costly rescue plan devised to end the debt crisis. Some just think that German yields have gone too low, and others simply prefer swapping German bonds for some that offer a higher yield, such as U.S. Treasurys.

 売りの決定をした運用者は異なる。債務危機を終わらせるよう考案される犠牲の多い救済計画によってドイツの借り手としての評判を懸念をもつ投資家もいる。単にドイツ国債のイールドが低すぎる水準になっており、米国債のようにより高いイールドを提示している国債へドイツ国債から乗り換えることを好む投資家もいる。


 最初の立場は、ドイツ国債の金利は、ドイツ国債そのものの懸念はないものの、債務危機にある諸国の金利と連動して動くだろうと見ているわけです。これに対し、上の引用の最初の立場は、債務危機へのドイツの負担により、ドイツ国債に対する信認が、債務危機に陥っている諸国までは想定していないでしょうが、低下してしまうことを懸念しています。この点に関しては、ドイツ財政の負担能力よりも、対内的に債務危機に陥った国を救済するために資金を拠出することが可能なのかどうかという問題が大きいと思いますが、政治的リスクを無視できるのなら、前者も後者も程度問題の差だと思います。意外と厄介なのは、最後の金利水準と価格下落リスクを意識する、普通の発想かなと思います。これはテキトーな勘、すなわち「寝言」なのですが、ドイツがスペインやイタリアと連動しているという立場や事実上の「最後の貸し手」という立場がドイツを傷つけるという立場は理屈としてはよくわかるのですが、利で動く市場ではやや理屈っぽいなと。現状では、大半の投資家は、ドル・ユーロ相場も見ながら、米国債とドイツ国債に神経質にリスク分散を図っているのではと想像します。

 なお、ドイツ国債の値動きに関する立場のうち、最初の二つについては、2010年半ばにギリシャへの懸念が噴出した際に、ドイツが資金の避難所となった役割から離れることを意味すると記事はまとめています。リスク回避的な投資家たちが、問題を起こしているユーロ圏の諸国の資金調達を支え続けられるのか、疑念が生じてきているというのは、現在のドイツ国債の値動き、あるいは利回りの変化を説明する方法として適切なのかは疑問もありますが、ドイツ国債に対する疑念は長期的にさらに強化される可能性があるのかもしれません。

 他方、やはり危機の時代にはドイツ国債が安全ですよというこれまでどおりの見方をする投資家の意見の紹介がこの後に続いています。テクニカルな話としては、スウェーデンやデンマークの年金基金の規制当局がドイツ国債への需要を減らす規則を定めたこともあるようです。

 そして記事の締めくくりは、INGのRob Robisの見方を紹介しています。彼は、ドイツ国債の利回りがすぐに急激に上昇する事態を想定していないと述べた上で、彼はドイツ国債を保有し続けるが、ドイツはユーロ圏が健全である状態を保つために最終的には払わなければならない代償に気がついていると記事には記されています。

"Germany is perceived to be the only country that can afford to bail out the poorer countries of Europe," Mr. Robis says, and the question becomes: When will Germany have to take on the "inevitable role as the financier of all of Europe?"

 ドイツはより貧しいヨーロッパ諸国を救済することができる唯一の国であることを認識されているとロビス氏は述べた。そこで疑問が生じる。ドイツは、「ヨーロッパすべての資金調達を行う避けられない役割」を引き受けるのは、いつのことになるのだろうか?


 記事はここで終わっています。ドイツ国債の格下げがどうたらこうたらと得意げに雄弁に知識を疲労されるどこぞの島国の経済紙とはまったく雰囲気が異なることに、ホッとするとともに愕然とします。


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2012年06月24日

格付け会社が巻き起こす「突風」

 自分の記憶が頼りというのが一番、信用できないのですが、金曜日の朝で大丈夫だと思うのですが、あれれ、ニューヨーク商品取引所の原油の先物価格が78ドル台ってなにがあったんだろうと。どうも、回らない頭で記事を読んでおりますと、ムーディーズが15の巨大金融機関の格付けを引き下げたことをきっかけに、株式相場からボロボロになったようで、金曜日に盛大に回復した後では、記事を詳細に検討するのもどうかなという気もしますが、目を通した記事で素人にはやさしかったのが、New York Timesが2012年6月24日に配信したPeter Eavis and Susanne Craigの"Moody’s Cuts Credit Ratings of 15 Big Banks"という記事でした。格下げされたのが15というのもこんな微妙な時期によくやるよと思う面もありますが、とっくに格下げしていて当然のことで、下げるタイミングが悪いという気もします。自分用にメモをしておくと、格下げされたのは次の金融機関です。

【持株会社の格付け】
BofA(Bank of America Corporation)     Baa1→Baa2(ネガティブ)
バークレイズ(Barclays plc)        A1→A3(ネガティブ)
シティ(Citigroup Inc. )          A3→Baa2(ネガティブ)
クレディ・スイス(Credit Suisse Group AG) Aa2→A2(安定的)
GS(The Goldman Sachs Group, Inc. )  A3→A1(ネガティブ)
HSBC(HSBC Holdings plc)  Aa2→Aa3(ネガティブ)
JPモルガン・チェース(JPMorgan Chase)  Aa3→A2(ネガティブ)
モルガン・スタンレー(Morgan Stanley)  A2→Baa1(ネガティブ)
RBS(Royal Bank of Scotland) A3→Baa1(ネガティブ)

【運営会社の格付け】
Bank of America, N.A. A2→A3(安定的)
Barclays Bank plc Aa3→A2(ネガティブ)
BNPパリバ(BNP Paribas) Aa3→A2(安定的)
Citibank, N.A. A1→A3(安定的)
クレディ・アグリコル(Crédit Agricole S.A.) Aa3→A2(安定的)
Credit Suisse AG Aa1→A1(安定的)
ドイツ銀行(Deutsche Bank AG) Aa3→A2(安定的)
Goldman Sachs Bank USA Aa3→A2(安定的)
HSBC Bank plc Aa2→Aa3(ネガティブ)
JPMorgan Chase Bank, N.A. Aa1→Aa3(安定的)
Morgan Stanley Bank, N.A. A1→A3(安定的)
カナダロイヤル銀行(Royal Bank of Canada) Aa1→Aa3(安定的)
Royal Bank of Scotland plc A2→A3(ネガティブ)
ソシエテ・ジェネラル(Société Générale) A1→A2(安定的)
UBS Aa3→A2(安定的)


(カッコ内は見通し)

 記事では、格下げが実態を反映していないという反対論と反映しているという賛成論、金融機関の格差を広げるなど色々な指摘がされていますが、個人的には、タイミングが微妙な時期であるとはいえ、まあ、アメリカが景気減速を迎える前ですから、市場に与える影響は、相対的に限定的でよかったなあと。あるいは、格下げ程度で荒れる程度には欧米の市場は弱気になっているというところでしょうか。

 ヨーロッパはもちろん、いざというときには、先進国の金融機関も政府に慈悲を求める状態が続いているのが現状でしょう。金融市場の現状を、格付け会社の行動が「突風」で収まっている程度に強いとみるべきか、「突風」を起こすほど強いとみるべきか。私自身は、明確には評価できないのですが、短期的な影響で留まれば、格付け会社そのものの存在意義が薄れてきているのではと思います。他方、長期的にも金融機関の資金調達に影響が出るのであれば、格下げそのものよりも、元々、金融市場の修復が進んでいない現状を格下げが追認したという程度の話なのかもしれません。

(追記)Moody's社のサイトから格付けの変更を補足しました。格付けを見ても、1ノッチ下がったとか2ノッチ下がったとか言われてピンとこないので、チラシの裏のメモみたいなものですね。格付けが金融機関の資金調達コストにどの程度、影響するのか評価できないので、上昇するんだろうなあと。問題はどれぐらいなのかという点ですが、残念ながら役立たずなので、無視できる程度なのかさえわからないというのが率直なところです。


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2012年06月19日

スペイン(3) 悪化する銀行資産

 土日は、仕事をして酒を飲んでと理想的な状態でした。いろいろなところでお世話になったので、お礼を申し上げると、あまりに多いので割愛いたします。個人的には、日曜日の夕方に散策をしたのが一番、楽しかったですね。日差しは雲で穏やかでして、内容は不穏(?)なものも少なくなかったのですが、腹筋の「トレーニング」になるような会話の連続で悶絶しました。嵐の前に楽しいことをしておいてよかったと思います。といっても、外は普通に梅雨でしょという感じですが。

 参ったことに、金曜日の夜からエアコンの調子がおかしくて、出張の予定があったのですが、独り身ですので、放っておくのも難しく、やむなく、富士通ゼネラルのサポートに電話しました。普段なら、目安程度ですが電気代が表示される画面に「55」の数字が表示されていて、湿度の表示でもしているのかなあと。サポートの人が数字を聞いて、困ったような様子で「コンプレッサーが故障している可能性があります」とのことでした。それはまずいなあというわけで、保証期間内でしょうかと尋ねられたので、メーカー保証は切れているだろうと。2010年6月後半ごろに購入した商品ですから。ただ、販売店の長期保証(5年)には入った覚えがあるので、確認しますと話したら、是非、販売店に電話をしてくださいとのことでした。この時点で午前10時でしたので、遅刻は確定したものの、まだなんとかなる状態でした。

 しかるに、長期保証の書類を探し始めると、なかなか出てきません。室内は温度計機能が付いた時計を2か所に置いているのですが、どちらも32度を示していて、扇風機の風に当たっていないと、あっという間に汗だくになります。分類が難しい書類や書籍、資料、物品などが段ボールに詰まっている状態でしたので、気が付いたら、午後になっていました。目的の書類は出てきたのですが、名刺入れが見つからずのままで参りました。過去に頂いた名刺はすべて揃っているのですが。とりあえず、保証書が出てきたので、量販店にでかけて手続きをすると、無料で見積もりしますねということでしたので、ありがた迷惑でしたが、見てもらうと、どうもコンプレッサーが故障しているわけではないようで、修理もできずに帰るだけでした。最近は、重役が早朝から出勤するようですので、地位も考えれば夜勤出勤になりました。

 で、無理やり月曜日の午前に富士通ゼネラルの修理担当の人に見てもらったのですが、思ったよりも早く来てくれたので助かりました。半休でしたので、9時半スタートであれば、11時ぐらいまでには終わるだろうと。最近の機種には多いようですが、室外機に室内機からの信号を受け取ってコンプレッサーを動作させたり、種々の調整を行う基盤がやられていたとのことでした。室外機ですので、少々の雨風では故障しない程度の耐久性はあるそうですが、落雷によるショックや水の浸透などは完璧にはシャットアウトできないようです。転居してから、雨除けが弱い印象があったので大丈夫かなと思いましたが、エアコンがないとくたばりそうな時期ではなくてよかったなあと。おまじないみたいなものでしょうが、室外機用にカバーを取り付けることにしました。

 そんなわけで土日がバタバタしすぎていたので、米紙もギリシャなんて終わった話でまだ騒ぐんだあとリーダーや各紙のトップページを見ながらびっくりしました。意地の悪い目線でしかたまにしか見ていないNHKの9時のニュースを見ていたら、ギリシャの選挙結果とあわせてスペイン国債の利回りがやばいですという話を流していて、国内の報道としてはまだマシなんだなあと。たぶんですが、エコノミストとかストラテジストの話ではなく、トレーディング部門の人にしゃべらせているので、ギリシャでホッと一息みたいなバカな話にならないのだろうと。ただ、ユーロ圏内の問題としては、スペインが発火している現状では、あとはイタリアがどうなるかぐらいではないかと。どうもEUの方向性は正しいと思うのですが、パッと見、遅いし量が足りない印象です。現状ではとっととスペインに「消防車」を何台も出動させて水をぶっかけないと、ギリシャの比ではない破綻国家になりそうな勢いなのですが。

 例によって、国内では間違っても報道されないスペインの銀行問題に関して、Wall Street Journalが2012年6月18日付でJonathan Houseの"Spanish Banks' Bad Loans Rise Sharply"という記事を配信しました。残念ながら会員限定記事のようですので、簡単にキモのデータだけを記しておきますと、スペイン中央銀行が公表したデータによると、スペインの銀行貸出に不良資産が占める割合が3月の8.37%から4月には8.72%に上昇し、額では1,527億4千万ユーロに上るそうです。1994年2月に9.15%いう数値が最高ですので、まだまだかもしれないのですが、スペイン編で最初にもってきた実物経済の悪化が緊縮財政で救いようがない状態になっている状態では、利息が払えません、元本も無理ですという債務者が増えるのはほとんど必然なわけでして、スペインの不良資産が今後も増える確率は十分に高いと思います。

 お寒いことに、日本国内でスペインの金融システム問題を明確に言及しているのが白川方明日銀総裁の2012年6月15日の記者会見ぐらいなので、大丈夫かいなと(参考資料に関しましてはPDFファイルを直接リンクするしかないようなので、アドレスをはっておきます。http://www.boj.or.jp/announcements/press/kaiken_2012/kk1206a.pdf)。3頁の「かねて申し上げているように、欧州債務問題のリスクの本質は、財政、金融システム、実体経済、この三者間の負の相乗作用です」というのは、米紙しか読まない人間には自明だと思いますが、国内ではそうではないので、繰り返すしかないのでしょう。余計なお世話ですが、これだけの問題を海外で抱えているのに、金融決定会合後の記者会見で経済の見通しが強気に見えるのは変な感じがします。変態的な金融政策を限界までやっているので、もうそんなに打つ手がないですよとはいえないので、見通しの方を現状維持という結論に合わせるべく、かなり苦しい論理構成になっている印象です。

 話がそれましたが、ギリシャでどんちゃん騒ぎをしている暇があったら、白川総裁に欧州債務問題を語ってもらった方が良いのではと思います。日銀の現状認識ではアメリカがもっているから"quadruple"ではないということになっていて、この点は現時点ではその通りだと思います。ただし、"quadruple"となったときの破壊力はデスタワーの動画よりも恐ろしいので要注意ではないかと。


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2012年06月14日

スペイン(2) 動揺する金融システム

 率直なところ、スペインのことは考えたくないことの代表です。スペイン人には申し訳ないのですが、経済関係のデータや分析を読んでいると、憂鬱になります。実を言えば、こんなことを書きながら、スペインだけでなく、ユーロ圏に関する米紙の記事をプリントアウトしては読んでいたりします。ただ、先週ぐらいから読んでいてスペインの金融システムはどうなっているのか、全体像がつかめていないことに気がつきました。頭を空っぽにしたいというのは、世の中のことをあれこれ心配したってなにかが変わるわけでもないということもあるのですが、米紙とはいえ、新聞記事を追うのでは無理があるなと。

 まったく話が変わるのですが、『ぷよm@s』にどっぷり漬かっていて、今週はぷよぷよ自体はしていないのですが、作業用BGMにとうとうニコ動にある『少女革命ウテナ』を聞くまでになってしまいました。『ぷよm@s』part3で小鳥さんが「とりあえず、私に通り名をつけるのなら『ダブル』っていう言葉にしてほしいわね。そう、それも『究極ぷよ奥義』にダブルっていうルビを振るような感じで!」というセリフをしゃべるのですが、これへのコメントが秀逸ですね。(年齢的な意味で)『中二病×2(ダブル)』というあたりで、何度見ても噴きそうになります。小鳥さんというのは音無小鳥という765プロの事務員さんで年齢は2XX(にじゅうちょめちょめ)歳という設定の人ですが、公式でも中二病設定ですし、いろんな意味で笑えます(たとえば、『The IDOLM@Ster ANIM@TION MATER 06』所収の「音無小鳥の765プロ秘密レポート 中2病全開編など。千板とか公式が壊れ過ぎている気もしますが。え、お前が言うなって?)。などと笑っている本人が(年齢的な意味で)『中二病×3(トリプル)』ですので、ふと現実に帰ると、乾いた笑いを押し殺すしかないのですが。

 自分でも年齢だけではなく、中二病ではないかと心配になります。金融のド素人であるのにもかかわらず、無謀にも、今週の初めに、米紙では埒が明かないので、IMFのサイトで"Spain: Financial System Stability Assessment" という報告書を見つけて、読み始めて、これがほしかったという反面、前回のスペインシリーズ(?)で見た、実体経済とは異なる、深刻さがデータと分析で伝わってきました(参考)。まだ、ストレステストなどの技術的な部分はまるで消化できていないのですが、メモしておきます。

 米紙が報道したスペインの銀行の救済には少なくとも3700億ユーロが必要だというシミュレーションの結果は19頁にあるのですが、そこにたどりつくまでの現状認識が重要なので、迂遠ですが、報告書の内容をメモしていきます。報告書の順序に従った方がよいとは思いますが、11頁のスペインの金融危機が進化していく段階の記述は簡潔でわかりやすいので、こちらを先にみておきます。

14. The Spanish economy and financial system have been hit by a succession of shocks, starting with the global financial crisis, which led to the domestic real estate crisis, subsequently intensified by the European sovereign debt crisis:

・The initial impact of the global financial crisis was relatively mild. The banking sector weathered the first wave due to robust capital and provisioning buffers. However, banks, like many of their international peers, lost access to holesale funding markets. During this initial phase of the crisis, the authorities took measures to assist bank funding rather than to inject capital, in line with EU policies.

・The second-round effects were severe. The domestic economy entered into a sharp recession, with construction activity collapsing, unemployment soaring, and with the contribution of foreign demand insufficiently strong to clear imbalances. This particularly affected the former savings banks, also reflecting weak lending practices during the economic upswing. In response, the authorities launched a restructuring and recapitalization scheme and tighter minimum capital requirements, thereby encouraging the transformation of these institutions into commercial banks.

・The third phase of the global crisis is still underway, reflecting concerns about sovereign debt markets. The defining challenge of this phase is the strong interconnection between the sovereign and its banking system (Figure 6)−with the former affecting the financial health of the latter, and vice versa.

 さすがに訳をつけるのには長いので、簡単に要約します。第1段階では、世界金融危機の当初の影響は、後と比べれば相対的に穏やかであった。ただし、この段階でスペインの銀行は"wholesale funding markets"(個人や企業からの預金ではなく、他の金融機関から資金を調達する市場。定訳がわからないので以下、卸売市場と訳す)へのアクセスの機会を喪失したことや、スペインの金融当局がこの段階では資本注入ではなく、銀行の資金調達を支援することを主たる手段として採用していたことなどが指摘されている。

 第2の段階では、スペインの国内経済は、建設業の急落や失業率の上昇と外需の弱さによって急激な景気後退に陥った。貯蓄銀行への影響が顕著だったため、スペインの当局は構造改革(restructuring)と資本注入スキームに着手し、商業銀行への転換を促進した。

 第3段階は、現在も続いている公的債務への懸念を反映した世界的な危機である。この段階の難題は、公的債務と銀行システムの連動である。スペインの公的債務はもはや海外の比率は低く、国内銀行の保有が大半を占めるため、公的債務の悪化は銀行システムを不安定化し、逆も生じる。


 思ったより長くなってしまったので、10ページの導入部分を断片的に記しておきます。読んでいて、実体経済の悪化とは異なる圧迫感があります。訳は全訳ではなく、抄訳というのもおこがましいメモです。

9. Spain is experiencing the bursting of a real estate bubble after a decade of excessive leveraging. Construction and real estate loans grew from 10 percent of GDP in 1992 to 43 percent in 2009, and amounted to about 37 percent of GDP at end-2011. Spanish banks funded their increasing exposures largely from external sources during the period of high global liquidity and low interest rates, rather than through the mobilization of savings.The freezing of wholesale markets and the onset of the Euro-area debt crisis exposed Spain's vulnerabilities from accumulated domestic and external imbalances (Figure 2) and pushed the economy into a sharp recession in 2009–10. The economy is expected to contract by 1.8 percent in 2012 and unemployment is at 24 percent and rising, especially among the young (Table 2).

10. Banks dominate the Spanish financial system and are large relative to the economy. The total assets of the Spanish banks (excluding foreign branches) amount to about 320 percent of GDP taking into account international activities of the banks, with the largest five banks accounting for more than 70 percent of total assets. Loans extended to the private sector in Spain account for 166 percent of GDP (Figure 3). In contrast, the growth of nonbank financial entities has not kept pace with the domestic banking industry and with EU peers, and this segment represents a relatively small share of the financial sector (Figure 4).

9. 建設と不動産関連のローンは、1992年にはGDPの10%であったが、2009年には43%に達し、2011年で約37%である。スペインの銀行は、エクスポージャーを貯蓄を原資とするのではなく、国際的な流動性と低金利を背景に外部から資金を調達していた。卸売市場が滞り、ユーロ圏の債務危機によってスペインの国内および外部のインバランスが表面化した。

10. 銀行はスペインの金融システムを支配し、経済に比して巨大である。スペインの銀行の総資産(外国の支店を除く)は、国際業務を考慮すると、国内総生産の320%に上る。上位5行は総資産の70%以上を占める。民間部門への貸出は国内総生産の166%にまで拡大した。


 各論からはいってしまいましたが、ソブリン危機の下での金融システム不安と実体経済の負の相乗作用がスペインの金融システムを融解させても不思議ではない状態であることを実感させる描写です。また、スペインの公的債務のほとんどを国内の金融機関が保有している状態では、金融システム不安とソブリン危機が表裏一体であることもデータから自明であるといってよいでしょう。金融システムを安定化させることに失敗すれば、対外的には"contagion"が生じ、スペインのソブリン債は"haircut"では済まず、デフォルトに追い込まれる可能性すらあります。失業率が24%、若年層に限ればその倍ともいわれる状態ですから、経済的には破滅的な状態になるのでしょう。スペインが廃墟になる前に、イタリアが無慈悲な市場で裁かれることにもなれば、ユーロ自体の存廃にかかわる事態も想定しておいた方がよいのでしょう。ギリシャの退出リスクとは異なった、ユーロ圏にとって致命的な問題であり、「続き」に書きましたが、単に救済資金を積み上げればよいというのは愚かな発想だと思います。

 他方、最初に引用したスペインの信用不安に関する描写は、2008年以前の建設・不動産ブームが、現在の日本では想像ができないほどすさまじいものであったことを示しているのでしょう。1990年代の日本はバブル崩壊にお世辞にも上手に対応したとはいえないのでしょうが、ソブリン危機がなかったことおかげで、1990年代の日本の危機ですら、なんだか幸福な衰退だったのではないかという「寝言」が浮かびます。


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2012年05月31日

スペイン(1) 緊縮財政の「破壊力」

 当然といえば、当然ではありますが、グーグルのリーダーが読み込む記事の中でも、スペイン関連の記事が急激に増加しました。これを書いているのは、5月30日の深夜ですが、ECBがBankia救済に異議を唱えたり、EUが財政赤字の一層の削減を求めるなど、混乱している状態のようです。帰宅すれば、荷物の整理が待っているわけでして、記事を消化するのも困った状態ですが、日本語での報道があまりに少ないので、自分用にメモをつくっておきます。今回は、スペイン経済の概況をWall Street Journalが2012年5月29日付で配信したDavid Roman and Christopher Bjorkの"Spain's Economy Shows Fresh Strain"という記事から、ごく簡単にスペイン経済の現状をごく粗くメモしておきます。それにしても、緊縮財政が、すべての原因ではないにしても、バブル崩壊の傷が十分に癒えない状態では、「破壊力」が満点だなと実感します。時間がないので、箇条書きです。

(1)今年の3月の小売売上高(季節調整済み)減少が3.8%であったのと比較して、4月には9.8%減少した。このような直線的な現象は先進国では珍しい。家計の支出は、通常は月単位では穏やかに変化するが、失業率が25%に達していることや、債務負担を軽減するため、節約していることから、落ち込んだ。

(2)スペイン銀行は、2008年に終わった住宅建設ブームの崩壊後、経済を支えている主要な要因である、弱弱しい輸出に注目している。4月の自動車登録は2%ほど減少した。また、建設業の被雇用者が17%も減少したことは、住宅建設が弱いことを象徴している。

(3)スペイン政府の状態を示す最新のデータは、財政赤字を2013年までにGDPの3%に減少させるというEUの厳格な要件とより高い税と政府支出の巨額の削減の中で低迷している経済の板ばさみになっていることを示している。

(4)スペインの経済は第三四半期から第四四半期にかけて0.3%ほど縮小した。今年の第一四半期の落ち込みも同程度ほどである。政府の借り入れ費用は、銀行問題が悪化するにつれて増加している。アナリストたちの多くは、ギリシャやポルトガルが経験したのとよく似た、景気後退のスパイラルに入りそうだと見ている。

 小売に関してはMarginal Revolutionというブログにすさまじいデータがでています。現状は1999年頃と同水準です。バブルの崩壊、信用不安の傷が癒えぬ状態での緊縮財政の「破壊力」を端的に示したグラフです。スペインの債務問題を見るときには、単なる金融市場の問題として捉えてしまうと、判断を誤るのでしょう。


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2012年05月17日

ルピーの急落とインドの緊縮財政

 風邪の症状からの回復が異常に遅いです。おまけに、引越しの準備では見積りの甘さが露呈して非常に苦しい状態です。環境が落ち着くまで「時の最果て」もお休みさせてもらってよいなかと。

 ただ、気になる話が次から次へと入ってくるので、なかなか休めないです。Washington Postが2012年5月16日付で配信したSimon Denyerの"India promises “some austerity” as rupee collapses"という記事は、ルピーの急落によって、緊縮財政へと舵を切るよう、インド政府に市場から圧力がかかっている一方、短期的には困難な状況を描写しています。他方、長期ではインド経済の自由化が進むだろうという見通しが基本になっており、新興国の光景は苦しいとはいえ明るさがあるのが救いです。

 それにしても、長期的な経済成長のプロセスで自国通貨の減価に苦しまなかった国というのは、日本と現在までの中国ぐらいで珍しいのかもしれません。この点を掘り下げるには力量不足ですね。嫌なことに、世界的な大不況の兆候が強まっていて、仮に起こりうる事態に対応する手段があまりに不足していることに慄然とします。

2012年05月15日

不況本番(?)と政治システムの不安定化

 ざっくり世の中を見るのには、ロイターが配信した"Wall Street to slide, S&P 500 faces key test"という記事で十分でしょう。ギリシャが揉めて欧州が大変です。次に、中国も景気後退の懸念が強まっていますと。あとは、真打のアメリカが重なれば、おまけ程度でしかありませんが日本も加えて、"quadruple"が完成しますねえ。これは付加価値ベースで世界全体の6割を超えるので、ほぼ「完全致死連鎖」と見なしてもよいのでしょう。2008年の金融危機以降、ユーロ圏を除いて、拡張的財政政策に極端な金融緩和が続いているので、日米にはほとんど選択肢がなく、ユーロ圏は緊縮財政を続ければ、スペインで80もの都市で万単位でデモが起きる状況です。日本語で眺めていると、既に発火済みのギリシャばかりを取り上げているのですが、問題はギリシャがユーロから離脱するかどうかではなく、スペインやイタリアがいつ発火するかどうかでしょう。

 乱暴に言えば、国際的に投資家が強気に傾いているのか、弱気になっているのかを見るには、米国債の金利と石油のドル建て価格を見れば十分だろうと。見ると、本当に弱気ですね。金がドルに対して大幅に下落しているのを見ると、中国やインドもさすがに金を買うのが怖いのか無意味だと感じたのかまではわかりませんが、新興国のカネの流れも明らかに変調気味でしょう。というよりも、彼らは先進国以上に金の使い方を知らない。

 現状は、ユーロ圏が景気後退といってよいのでしょう。Wall Street Journalが2012年5月14日付で配信したIlona Billingtonの"Euro-Zone Industrial Output Stokes Recession Fears"
という記事で描写されているように、3月の工業生産の低下は3月で0.3%、年率換算で2.2%の減少で、2008年以降ではそれほどでもないように見えますが、2月はプラス成長のものの、下方修正されています。工業生産は国内総生産の成長率に与える影響が大きく、1-3月期は0.2%の成長率低下というのが向こうのエコノミストの平均的な予想のようです。

 オバマ米大統領が就任した2009年には財政による景気刺激策が試みられましたが、目覚しい効果はなかったと思います。金融危機を凌ぐにあたっては、FRBの金融緩和の方がよほど効果があったのだろうと。財政政策に関しては、積極的に増やしても民間部門の代替はできず、現在のユーロ圏のように引き締めれば確実に景気を悪化させるという状態のようです。財政支出を増加させた場合と減少させた場合で効果の現れ方が異なるのは、やや違和感があって、この整理自体が間違っているのかもしれません。

 20世紀半ば前には、大不況は独裁者が権力を握る素地の一つとなったのでしょう。他方、今日では独裁が復活したくても担い手がいないのが現状でしょう。また、民間部門になりかわって、政府がヒト・モノ・カネなどを移動させるのは民間部門が自発的に行った場合ほどのパフォーマンスを挙げないことも、ほぼ自明といってよい。そもそも、ユーロ圏以外でも政府債務が膨張している現代では必要なことだけやるという、言うのは簡単ですが、平凡な指導者ではまずできないことが要求されている。時代のニーズに応えられない政治的指導者は疎まれ、代わりがろくでもない状態が続くと、政治システムそのものへの不信が強まる。

 それでも現代の民主主義国はよく無政府状態に陥らずに機能しているなと。変な表現になりますが、少しだけ不思議だったりします。


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2012年05月05日

成長と財政再建の両立 ECBの場合

 「寝言」を書いていたら、そのまま寝落ちしそうになりましたので、PCの電源を落とそうとして、書きかけの「寝言」を保存したら、うっかり非公開にするのを忘れておりました。こちらは消しますね。理由は簡単で、記事を読み返していたら、なんか変だなと。最初にとりあげようとしていたのは、New York Timesが2012年5月3日付で配信したRaphael Minder and Jack Ewingの"European Central Bank Opposes Higher Taxes"という記事ですが、どうも文脈が読み取りづらいので、土曜日にECBのサイトで理事会後のドラギECB総裁の会見を書き起こしたものを読むと、かなり印象が変わります(参考)。5番目の質問へのドラギの回答が興味深いです。その後の質疑応答も合わると、おおむね、次のような注文を各国の財政政策につける形になっています。

(1)経済成長と財政再建は両立する。

(2)経済成長には構造改革が不可欠である。財市場では起業と競争が必要であり、労働市場では、とりわけ若年層の失業へ対応するため、柔軟性と移動のしやすさ、公平さが確保されることが大切である。

(3)財政再建においては増税は好ましくない。なぜなら、ユーロ圏の各国の税率は既に十分に高いからだ。したがって、歳出削減が主たる手段になる。危機においては、より容易な増税と投資支出の削減の組み合わせが選択されるが、経常支出を削減することが要であり、投資支出を削減したり増税は好ましくない。

 ECBのサイトにYouTubeにアップロードされた記者会見の動画があるのですが、ドラギさんが時々、噛んだり、スペイン語がわからなかったりと、なかなかドタバタもあって楽しいのですが、連休のせいか、途中で何度も寝てしまいました。まあ、本業の金融政策はと言えば、金利は変えません、出口戦略を口にするのは時期尚早でございますでテンプレ化しているので、聞いていてもやや退屈なのは否定できないです。時折、英語圏の記者が質問すると、一気に要求されるリスニング能力が上がるので、迷惑だったりします。



 経済成長と財政健全化の両立を目指すというのは、普通だろうと。それ以前のECB関連で質疑応答に目を通しているわけではないので、フランス大統領選挙やオランダの政治的混迷がどの程度、影響しているのかはわかりませんが、こいつ将来、貧乏しそうだなあという相手に高利ですら金を貸すのはリスクが高いので、経済成長を財政健全化と両輪にすること自体は、まともでしょう。

 他方、偶然なのかはわかりませんが、イタリアはしばらくファイヤーウォールが機能しそうですが、火がつきそうなスペインで理事会を行ったということは、現実には有事の対応が要求されていて、ドラギはうまくそのあたりの弾を隠した印象もあります。他方、中国のみならず、アジア全域の経済で不良債権問題が水面下で生じつつあるという観測もあり、米国の長期金利が1.9%を切る状態では、投資家の心理は相当、弱気になっていると見る方がよいのでしょう。小難しく言えば、リスク許容度はかなり低いと見た方が無難なのでしょう。

 ちなみに、「時の最果て」では財政危機という用語はできるだけ避け、債務危機としております。それなりの理由がありまして、もちろん、国債の償還が問題ではあるのですが、欧州の銀行の不良債権問題も同時に火がつくので、アバウトに債務危機としております。端的に言えば、スペインの経済成長率が低迷すると、スペインの長期金利が上昇するだけではなく、資産価格の低下を契機に住宅ローンをはじめ、スペイン国内の民間部門の債務も問題視されるということです。その点でも、仮にドラギが主張する経済成長と財政再建の両立に関するユーロ圏諸国の政治的合意が成立したとしても、リスク許容度が低下していることは、スペインを苦境に立たせる確率を上昇させるでしょう。『日経』かどこかが、スペインの国債発行残高がギリシャの約2倍とか無意味な数字を出しておりましたが、単なる財政危機として見ていると、「処理」に必要な資金を見誤ることになるでしょう。国債が信用されないということは民間の債務はもっと危険ということになりますから。

 「平日ボケ」で、4月下旬から主要な経済指標をあまり見ていなかったのですが、米国債が1.8%台、JGBが0.8%台というのはかなり危険なシグナルでしょう。抹消する方の「寝言」にも書きましたが、経済成長を加速するためには、ある程度の「バブル」を容認しないと、無理だろうと。他方、これだけ金融緩和を行っても、資産市場で国債を好む傾向が強いというのは、民間部門の資産価格を意図的に上昇させることがほとんど不可能であることを示しているのでしょう。ドラギの「処方箋」は、もう少しマイルドな環境であれば、十分な気がするのですが、債務問題が生じそうな国や安全とされている国の現状を見ると、財政規律を相当、犠牲にする覚悟がないと、スペインが発火し、イタリアまで延焼するリスクを無視することは非常に難しいと思います。


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2012年04月26日

ユーロ圏 政治システムの不安定化と経済成長

 今週に入ってから、のどがとても楽になりました。乾燥しているときにはマスクが必要ですが、扁桃腺が腫れて発熱するリスクはほぼ無視できるところまで来たかなと。4月29日までにマスクなしで不自由がない状態にしたかったので、現状は想定以上に良い感じです。ただ、昨年の10月下旬、もしくは今年の2月下旬に扁桃腺が腫れた状態を治しきらずに、慢性化させてしまったのではと素人としては考えておりますので、用心深く対処せざるをえません。薬を飲みすぎているので、どれが効いているのかはまったくわからないのですが、内科の先生が処方してくれた抗生物質を服用し始めてから、急激に発熱につながるような腫れが急速にひいていったような感覚があります。

 今は、耳鼻科で処方されている抗生物質がメインなのですが、念には念をいれて、今年の4月から始まった「お薬手帳」を持参して、診察していただきましたが、「これでいきましょう」とのことでした。もう70近い先生ですが、視野が広くてコミュニケーションがとりやすいので助かります。抗生剤がかなり強い薬のようなので、ビオフェルミンだけではきついだろうとのことで胃薬が追加されましたが。問題は、ゴールデンウィークが目前まで来ているので、万が一、症状が悪化したときに困ることです。

 現状は、耳鼻科の先生の地道な治療がすぐに効果を表す段階ではなく、抗生剤がそれなりに効いているので、薬でカバーするしかないのかなと。副鼻腔炎やのどの炎症そのものは完治することがないので、あるレベルまで抑えるしかないのですが、他の細菌に感染しやすい状態が続くので、治療を続けるよりほかありません。しかし、大型連休は意外と困りますね。

 ただ、のどの状態がある程度、治まってくると、禁煙して少しずつ健康が回復していることを実感します。というよりも、よく喫煙なんてしていたなあと。禁煙したら太るじゃないとバカにされていましたが。中にはけしからんのもいて、実はメタボじゃないんですよというと、メタボの基準が変わったのかとか真顔で言う高齢者がいて、「○ね」と思ったことは内緒ですね。ただ、タバコを止めたおかげで、体を動かすのが楽になって、ジムに通わなくても、それなりに負荷をかけても大丈夫な状態になったので、昨年の11月をピークに体重が確実に減少しています。ダイエットの目標があるわけではないのですが、小学生から陸上を始めて、高校生のときに体を動かす喜びを初めて知った時期を思い出します。

 自分でもうつ病的な気質とややマゾヒスティックな傾向があって、幼児の頃から体が弱く、苦痛も多かったので、肉体的・精神的に負荷がかかっている状態が常でした。おかげで軽い状態になると不安になるようです。加齢とともに、気もちがよい方がよいというあたりまで堕落してきたので、わざわざ金を払ってつらい思いをする必要もなかろうと。「なまもの」の本題の前ふりのつもりでしたが、つい長くなってしまいました。

 滅多に読まない『読売』ですが、2012年4月25日の国際面の記事は、手際よくフランスだけではなく、オランダの緊縮財政への政治的反発を手際よくまとめていて、へえという感じでした(『日経』は仏社会党と独社会民主党の連携とか細かい論点に深入りして、記者がなにやら欧州の政治に詳しいことはわかるがなにをつたえたいのかまったくわからない。あの新聞の記者は政治と経済を両方見るということができない記者ばかりのご様子)。他方、Wall Street Journalが2012年4月23日付で配信したMarcus Walker and Charles Forelleの"Economic Gloom Deepens Europe's Political Crisis"という記事は、記者の視点が興味深く、それ自体が適切かどうかは別途、吟味する必要がありますが、なかなかでした。『読売』がオランダをとりあげたのは悪くないのですが、経済的な背景を取り上げないのは、日本のメディアになにかを期待するのは無理かなと。

  The country is a net lender to rather than a borrower from the rest of Europe, unlike the euro's southern members. That matters, because the European countries with debt crises are those that need to borrow large amounts from abroad each year.
  The main significance of the government's collapse is that it shows the fraying consensus in Europe for German-led fiscal austerity.

 オランダはヨーロッパの他の国に対して純債権国であって純債務国ではない。そのことが問題だ。というのも、債務危機にあるヨーロッパ諸国は海外から毎年、巨額の借入れを行う必要があるからだ。
 オランダ政府の瓦解の主要な意義は、ドイツが主導するヨーロッパにおけるコンセンサスが擦り切れてしまうことだ。


 オランダ政府の危機の意義としてはこれで十分なのかは確信がありませんが、単にオランダも大変ですと書くよりも、はるかによく観察していると思います。私自身は、単に政治的な問題としてだけではなく経済それ自体の問題としても、緊縮財政が債務危機解決の手段として適切だとはとても思えないのですが、ここでは債務危機からほど遠いオランダですら緊縮財政は受け入れがたい、政治的な側面に焦点があてられています。他方、債務危機のリスクを無視できる国でも政治システムが不安定化する点にも読者の注意がいくように配慮されています。分析というほど数字をいじっているわけでもなく、観察と常識的に考えているだけなのですが、悲しむべきことに日本語にのメディアでそれができているものが見当たらないのが実情です。

 私の愚痴を書くことが目的の「寝言」ではないので、次に移ります。政情がとっくに不安定化してるギリシャの政治システムの日程なども触れた上で、記事は驚くべき叙述をします。WSJの記事としては長い方なので、なんだろうと思いましたが、以下は読者を誘導しようとする意図を感じる部分もありますが、日本でユーロ圏の債務危機を論じるときになぜか「死角」になっているのが不思議でした。

  Many investors are increasingly doubtful about the austerity-for-all mantra emanating from Berlin and the European Central Bank. On Monday, financial markets were more worried about disappointing data on growth than by Holland or Mr. Hollande, analysts said.

 投資家の多くはしだいにベルリンや欧州中央銀行から発せられるすべての国に対する緊縮財政というお題目を疑っている。月曜日には金融市場はオランダ、あるいはオランド氏よりも成長に関する失望を招くデータにより懸念を抱いた。


 日本のメディアの記事を読んでいると、債務危機に緊縮財政への反発が強くなって大変ですねで終わりです。債務者がいれば、債権者がいるのですが、債権者の視点から今回の債務危機を見るという発想がおそろしく貧しいのには驚きます。貸す側からすれば、危ない相手に資金をより多く貸すというのも難しいでしょうが、これから貧乏しそうだという相手となると、減らすどころではすまないでしょう。記事は緊縮財政そのものを否定しているわけではなく、財政の健全化と経済成長という、ときに両立が難しい課題のバランスをとることへもっと注意を払うよう、読者に注意を促しているわけです。ちなみに、ドイツの製造業者からすれば、南欧諸国の緊縮財政は需要を縮小させるので、利害が対立すると指摘しています。なにげない指摘ですが、ドイツ国内ですら、緊縮財政一色というわけにはいかない背景をやんわりと指摘しています。

 Walker and Forelleの記事は、WSJでもよく見かけますし、それぞれが独立した記事を読むこともあります。とくに敏腕という感じは、失礼ながらしないのですが、あまり外さない感じです。日本のメディアは絶望的なので、せめて経済学者やエコノミストぐらいはこのレベルで発言してほしいなあと思ったこともありましたが、2年ぐらい前にあきらめました。政治も似たようなものでしょうが、まさに「愚者の楽園」というところでしょうか。


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2012年01月12日

イランとイラク(2)

 前の「寝言」を書いていたら、考え込んでしまいました。アメリカ中心の同盟国は、いろいろな錯誤があったとはいえ、北朝鮮の核開発を阻止することはできませんでした。イランも失敗するとなると、表現が悪いのですが、二連敗です。日本はアメリカの「核の傘」とMDのミックスの方が自前の核武装よりも確実であり、安上がりと踏んでいるので、核武装の「ドミノ」が生じる確率は低いのでしょう。他方、中東でイランの核開発を遅らせても、核武装が実現した場合にはどうなるのかはかなりきわどい印象をもちます。ここ数日でイランによるホルムズ海峡封鎖のリスクに関する日本語の記事が増えた印象がありますが、イギリスのミサイル駆逐艦の写真を見ながら、紳士の国なのになんでなんともいえない変○の雰囲気があるのは不思議だなあと。米紙の報道では久しぶりにGeithnerさんの名前が記事のタイトルに出ていて、ちょっとだけ嬉しかったりします。中国にプレッシャーをかけるために、かなりきついことを伝えているようで、ガイトナーが、「味方なのか敵なのか?」("You are with us or you are against us.")(参考)と温家宝に迫っているところを想像するだけで胸が熱くなります。

 他方、アメリカも徐々に政治の季節というところなのでしょうか。Washington Postが2012年1月5日付で配信したFareed Zakariaの"Iran's growing state of desperation"というコラムでは、共和党の予備選挙がらみでイランの「強さ」に焦点が集まったと描写しています。ロムニーさんは「次の十年間、世界が直面する最も大きな脅威」はイランだと述べたそうです。ギングリッジさんは「ヒトラー率いるドイツ」になぞらえたとのこと。へええ、中国じゃないんだという感じで、目からコンタクトが落ちました。

 実際はイランって弱いですよという話が続きます。経済は急速に悪化しており、政治システムはひびが入り、分裂していると。イランの唯一の友達、シリアはオワコンだし、ペルシャ湾岸の君主国はみんなアメリカのお友だち。ヨーロッパは、イランに対してアメリカよりもきついですね。

 「弱いイラン」の経済的な側面としてZakariaが挙げているは、弱いイランの通貨、リアルです。オバマ大統領誕生当時から現在までドルに対して60%ほど減価していると指摘しています。ガソリンを輸入する国で通貨安というのは大変だなあと他人事のように読んでいますが、主要食料品価格はこの数ヶ月で40%も上昇したという点も指摘しています。国際的な決済システムから外される制裁が実行されれば、高い確率でイラン経済が実質的に破綻するのでしょう。

 政治システムもアフマディネジャドとハメネイが対立しつつあるなど、機能しなくなっているようです。興味深いのは、イラン革命防衛軍の動向ですが、記事のリンク先でイランの海軍司令官のHabibollah Sayyariは、2011年12月28日にペルシャ湾を封鎖するのは造作もないことと大言壮語しましたが30日には「イランは戦略的な航路を封鎖する能力があるが、そうする意図はない」とややトーンを和らげましたことが確認できます(参考)。ホルムズ海峡は、世界の石油の40%が通過する大動脈ではありますが、ここを閉鎖するのは石油輸出に60%も依存するなど、輸出入によって成り立つイラン経済にとって自滅行為だと指摘しています。ただし、前回の「寝言」で雑にメモした法案に、オバマが2011年12月31日に署名をし、実行されれば、イランがまさに"desperate"、あるいはやけのやんぱちにならないという保証はなく、ホルムズ海峡封鎖のリスクを、主として経済的理由のみから排除するのは危険な印象もあります。

 Zakariaのコラムを取り上げるのが遅くなった理由は、"Meanwhile, Iran’s nuclear program is making progress. This is inevitable"という判断を評価するのに苦しんだからです。理由を端折るのはよくないのですが、核の技術は70年以上の歴史があり、イランが科学者集団を抱えている以上、イランが核開発を進めるのは不可避だというのは、その通りですが、そういってしまうと、緊縮財政に伴うイランへの制裁強化以前に、国連安保理による制裁はなんのためなのかという問題も生じます。また、Zakariaは、北朝鮮が原始的な核兵器を数個、保有したからといって、北朝鮮が強くなるとか興隆するとみなすだろうかと疑問を発しています。アメリカ国内の共和党候補を批判するのにはそれでいいのでしょうが、対外的には説得力が皆無でしょう。核兵器を2、3個もったって、どうってことないですよと言われても、周辺国で核武装をしていない国にはなんの慰めにもならないですし、そもそも国際的に制裁を加える目的自体に疑義を生じさせかねない部分があります。

 他方、北朝鮮のように米軍の行動を抑止する手段があるとは思えないイランでさえ、核開発を阻止するのは非常に骨の折れる作業だという現実もあります。これまでの経済制裁ですら、イランの経済を非常に悪化させているのにもかかわらず、ウラン濃縮のプロセスを遅らせるのがやっとだという現実があります。Zakariaが方便で持ち出した印象もあるのですが、"Nuclear technology is 70 years old"と指摘しているのは、的外れではないのでしょう。貧しい国が核武装することはできないというのが冷戦期の経験則でしたが、冷戦後、インドとパキスタンがその幻想を破り、北朝鮮が日米韓を翻弄しながら実現しました。国際的には核不拡散の旗を掲げながら、実際には拡散が徐々に進むリスクが高い世界へと移行する現実があるわけで、イランが核開発を成功させた場合の問題を考えてみましたが、いい感じで憂鬱になるばかりで、これという対応策がまるで浮かばないので、嫌になりました。

 それはともかく、Zakariaは、昨年12月末の制裁強化が実行されれば、イラン経済が事実上、崩壊するだろうと指摘した上で、オバマ政権はイランの体制を西側諸国と戦略的に和解する用意もなければ能力もないと決め付けたようだと述べています。今、ワシントンが欲しているのは、イランの体制へ真剣に交渉に応じるよう強いることを望みながらプレッシャーをかけることだと指摘しています。その上で、オバマ政権の戦略に理解を示しながらも、制裁強化が効力を発揮した場合、不況の下では石油価格が上昇するのは政治的リスクを理由とすることしかないこと、戦略的な考慮がないまま、政治的リスクだけが高まることに懸念を示しています。政治体制が圧力に直面している弱い国々の方が強い国々よりも問題を多く生じさせるという、やや抽象的な結論でコラムを終えています。抽象的すぎて、「弱い国々」は主としてイランやシリアを指すのか、それ以外の国を指すのかが私ではわかりかねます。他方、経済的な側面から、イランへの制裁強化のリスクを分析しているコラムではあります。

 平たく書けば、Zakariaはガチでイランを国際的な決済から実質的に追放すると、石油価格の高騰を招くだろう。その結果、国情に不安を抱える国のうち、弱い国で国際的な関与が必要となる問題が生じることに懸念を示しているのでしょう。イランによるホルムズ海峡封鎖は、下記率が低いとはいえ、米英が一体で抑止しようとしています。万が一、不首尾に終わった場合の対応も検討しているのでしょう。問題は、イランが自暴自棄の行動に出なくても、世界的な不況の下で石油価格が高騰すれば、最悪の場合、政治体制が不安定で経済的に困窮している国々で"explosive consequences"が生じるのかもしれません。イランへの制裁の実効性を高めるために中国を説得したり、圧力をかけること自体は多いに意義があるとは思いますが、国際石油市場が混乱して、ドルに対して自国通貨が減価している国では深刻な問題が生じる可能性は否定できないでしょう。より根本的な問題として、制裁を強化したところでイランの核開発を断念させることができるのかということがありますが、Zakariaのコラムではあまり重視されていない、というよりも、アメリカ国内向けの問題設定になっている印象があります。コラム一つで代表させるのは問題が多いとは思いますが、アメリカの内向き志向が強くなる10年になるんじゃないかなという「寝言」が浮かびます。


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