2008年12月06日

政府は市場を代替するのか補完するのか?

 火曜日に心臓内科で診察を受けました。11月初めの血液検査の結果は大幅に改善しておりました。素人にはよくわからないのですが、D-ダイマーの値が劇的に低下して、要注意程度まで低下したとのことでした。血栓が消滅したかどうかまではわかりませんが、11月末ぐらいから足のむくみがかなり回復しておりまして、ワーファリンを毎日、欠かさず服用した効果がでているようです。

 毎月、最初の週の火曜日に診察を受けて、次回、診察までのワーファリンを処方していただいておりますが、診察を受ける日の朝にはぴったりワーファリンを飲み切るので、毎日、ちゃんと飲んでいるなあと自分でも確認することができます。他方、やはり心臓の肥大に先生が懸念をもっているようで、簡単な心電図の検査を受けました。ついでに、風邪をひいているのを発見されて、風邪薬と抗生物質を処方していただきましたが、やっぱり眠い。もう、下手な睡眠導入剤より眠たくて、平日の昼間に服用するのはなかなか厳しいです。仕事の最中にリアル寝言はさすがにまずいですからね。

 とにかく眠たくて「寝言」も浮かばないまま、一週間があっという間に終わってしまいました。なにかをしたという実感はまるでなく、気がついたら、週末を迎えたという感じです。

 それにしても、時の流れはすさまじく、竜王戦第5局を迎えるのがあまりに速い印象です。素人目にも飛車を捨てて6筋と端から挟み撃ちにした渡辺竜王の攻めが羽生名人を圧倒した印象です。最後は一手違いで残しているので(111手目の▲3五歩は一生に一度は指してみたい手)、勝負の綾はありそうですが、中盤以降、やはり渡辺竜王がよかった状態が続いたのではと感じました。私の棋力じゃ、「寝言」以外の何者でもありませんが。

 しかし、将棋をのんびりと楽しむ余裕もなく、ネットとか新聞とか読まないでおこうかというぐらい情報が多すぎる感じです。ひどい話ですが、こうも情報が多いと、こちらの神経まで鈍麻してしまう感覚です。全米で2008年11月には53万3,000人の雇用が失われ、34年間で最悪の数字を記録したという報道に接しても、本当に悪いねという感じで、なんだかこんな状態でよいのやら。NBERが昨年12月から景気後退局面に入ったと発表して、「今更なんだよ」という反応もあるようですが、統計の性格上、やむをえないのだろうと。この結果、昨年12月から270万人の雇用が喪失した計算になり、失業者数は1,030万人に上っています。おそらく、この雇用統計の結果は、オバマ政権で公共事業等で失業対策を行う政治上のインセンティブを与えるのでしょう。

 ただ、悩ましいのは、金融市場における混乱が財市場へ波及してきたという捉え方は間違っているのかもしれないという点です。世間様が大騒ぎしているところで、いかれた「外道」らしく、のほほんとした「寝言」ですが、どうも、金融市場と財市場の関係が捉えにくい印象です。財市場での取引の縮小が金融市場に影響する方が先なのか、財市場のちょっとした変化が金融市場を揺るがすのか、判断に迷うところです。どうも、いまだに現在、起きている事態の全体がつかめていないことを実感します。


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2008年11月24日

ボエティウスの「最後の努力」 宗教と科学の関係あるいは無関係

 いつも土日はヨレヨレの状態なのですが、この週末はひどいもので、本を読んでも頭に入らず、ボーっとゲームをやり始めたら、とんでもないミスを連発する始末。世の中は連休のようですが、業界では連休を認めない方向にありがたい指示が間接的に所轄からでているので、なんとか調整をしなくてはなりません。連休中だというのに、銀行のATMでさえお休みでいいご身分だなあと思ったりしますが、まあ、バカな規則ばかりつくってくださるので、ありがたい限り。文句ばかり言っていてもしょうがないので、お仕事、お仕事!


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2008年11月19日

「グランドデザイン」のない国際経済(2)

 2008年の11月3日付けの『世界の論調批評』では「中進国の経済危機」という記事が掲載されています。ハンガリーやウクライナ、ロシア、ブラジル、パキスタン、ウルグアイ、ベネズエラなどが中進国として挙げられています。この記事では、中進国の「構造改革努力の不足」が危機の原因であると指摘した上で、今回の金融危機でアメリカをはじめとする先進国よりも、中進国の方がダメージが大きく、先進国が協調して国ごとに優先順位をつけて救済するよりほかないと結論付けています。興味深いのは、独シュピーゲル紙がパキスタンをとりあげて、政治的に不安定になれば核が地方軍閥の手に渡れば、一大事だと指摘していることを紹介していることです。上記の「中進国」で核を保有しているのはロシアとパキスタンです。ぐらいであり、仮に政治的危機に陥っても、パキスタンのような事態になる可能性は低いでしょう。ただし、いずれの国もIMFの融資がなければ、経済的に立ち行かないのであれば、政治的に不安定になり、地域的な紛争の種になりかねないのでしょう。また、この記事が指摘しているように、ロシアやブラジルなどいわゆる「BRICs」にまで融資を行うとなると、IMFの資金が枯渇してしまう虞もあるのでしょう。日本は気前よくIMFへの出資金を倍増することを「金融サミット(G20)」で表明しましたが、外貨準備が豊富な国が出資しないと、融資をしても返済の見込みがどの程度あるのかわかりませんから、IMFや世銀が資金不足に陥ることもありうるという指摘は妥当でしょう。

 気になる点としては、「米国、日本、EUの大国、産油大国、中国が知恵をしぼり、かつ、国ごとに優先順位をつけて助けるほかないでしょう」という指摘は正論だと思うのですが、これらの諸国がいつまで協調体制を維持できるのかは疑問があります。サルコジ仏大統領は「ドル本位制」の是正を求める主張を事前に表明していました。現実的にはユーロがドルを代替することは考えにくく、ユーロがドルの役割を意識的に補完してゆくのが望ましいと思いますが。以前、「『グランドデザイン』のない国際経済」という「寝言」を書きましたが、国際協調が安定的であるのかは、今回のG20では国際協調そのものはなんとか維持されたものの、アメリカの影響力の低下によって、判断が難しいところです。経済の面では、日米が融合することでアメリカの影響力の低下を可能な限り、抑制することが大切なのかもしれません。中国の意図はわかりませんが、日本のように「お人好し」とは思えず、他の諸国と比較して相対的に高い成長率を保っていることから生じる印象をてこに、カネを出さずに口だけ出すという方向に進む可能性が高いでしょう(率直なところは本土の社会的安定と東南アジアなど周辺諸国への影響力を維持するのがやっとなのかもしれません)。

 「金融危機で先進国以上に打撃を受けるのは、9月半ばの米国『投資銀行』破綻以前に、既に経済運営に失敗していた中進国です」という指摘そのものは正しい情勢認識だと思うのですが、先進国も足元の金融危機と財市場への波及が既に進んでいる経済危機に対応しなければなりません。自国の金融危機への対応が十分にできないまま、中進国の救済を重視してしまうと、国内的な政治的な説得力を失ってしまうでしょう。最近のメディアの論調で気になるのは、G20もとうとう「財政出動」にお墨付きをだしたかのような報道が目立つのですが、G20の声明(参照)では"Use fiscal measures to stimulate domestic demand to rapid effect, as appropriate, while maintaining a policy framework conducive to fiscal sustainability. "となっており、財政の維持可能性が保てる範囲内での財政政策を行うというだけの話です。むしろ、今後、各国が財政政策を行うにあたって、財政政策の維持可能性を保つ範囲にしなさいよと釘を刺したとさえ読めるでしょう。古典的な有効需要管理政策は理論的に無効という経済学の知見抜きでも、効果があっても、それはごく短期であり、実際にはとりわけ財政政策の場合、借り入れに見合うだけの効果が期待できない状況では、政府が国民の所得減少に無関心ではないという姿勢を示す程度の効果しかないと覚悟しておいた方が良いでしょう。また、金融政策では金融システムの安定が最優先であって、マネタリーベースを積み上げたところでマネーストックが増えるという状況ではありませんから(市中銀行が信用創造に積極的になり、かつ財市場に影響しなければ意味がない)、こちらも過度の期待は無駄だと思います。財政政策・金融政策ともに、政府や中央銀行が不況時になにもしていないという批判をかわすのが精一杯でしょう。

 それでいて、金融危機の克服にはアメリカでさえTARPで7,000億ドルを積んでは見たものの、ノンバンクまで対象を広げるとなれば、それで足りるのかさえ見通しが不確実な状態です。もはや、"bailout"というよりも、金融システム不安と信用収縮をある水準になんとか抑えるのがやっとだという印象すらもちます。危機以前の所得水準や危機によって生じている所得の減少や物価水準の動きに関しては中進国の方が深刻だというのは事実認識として誤ってはいないと思いますが、だから先進国が中進国を助けるべきだという正論は実現可能性(feasibility)という点で大きく制約されていることを忘れてはならないと思います。

 今後、先進国の政府は経済政策に関して国民の信認をうるのが困難な状況になることと思います。中進国への支援には限度がある。もちろん、先ほどの記事がそのことを理解した上での話しだということは承知の上ですが、先進国の制約条件が非常に厳しいということを強調した方が良いと思います。また、単に苦しいから助けるのではなくて、不況によって社会が不安定になり政治的危機が生じることを避けるという点から援助を考えた方がよいのでしょう。とくに、東欧諸国の政治情勢が不安定化すれば、地域紛争の種となりかねず、安全保障に割かなくてはならない資源が増大するリスクがあるのでしょう。

 また、IMFのデータ(参照)では世界的にはデフレーションの傾向が強まっていることに留意する必要があるでしょう。先進国ではデフレ、途上国ではインフレという分断された状態での国際通貨制度の運用はこれという「グランドデザイン」はなく、生じた事態に対処療法的に対応せざるをえないと覚悟した方がよいと思います。それが一時的な現象なのか、新しい体制への過渡期なのかさえ不明だというのが現状でしょう。

(補遺)あまりにひどい間違いがありましたので、訂正いたしました(2008年11月20日)。


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2008年11月15日

モラルハザード?

 今週はわざわざ私みたいな人付き合いの悪いところに、足を運んでくださる奇特な方と話し込んでしまいました。よくお酒も飲みにゆく仲ですので、病気の話をしたら、びっくりしていました。話がわかる方なので、血栓自体が消滅していないので、しぱらく静脈を拡張させて血栓が動くリスクがあるので、アルコールは難しいのですよと話していて、ちょっと残念な感じ。ワーファリンが効いてきているとはいえ、血栓が消滅するには程遠い状態ですが、そのあたりを説明するのは面倒なので、ごく親しい方にだけ知らせております。それ以外の方にはとくにお知らせする必要もないので、適当にちょっと思い病気ですという程度で済ませていたら、歩けるようになったのをそこら中で目撃されたのか、これでもかと仕事が入って、ちょっと参ります。夕方から晩にはまだ足がむくんできついことも多いのですが、杖をつくのも大袈裟なので、素知らぬ顔で仕事を済ませて、帰ってからぐったりという生活をだらだらとすごしております。

 最近、金融機関やビッグスリーの救済などが話題になるせいか、「モラルハザードの連鎖」という表現をみかけます。どうも、メディアなどではモラルが道徳や倫理を指すものになっていて、金融機関や特定の産業に政府が救済策を行うことによって市場経済の原則と一般ではみなされている「自己責任」が曖昧になってしまうという懸念が背後にあるようです。モラルハザード自体は、もともと保険などの分野で、事前に設定した制度が保険加入者に病気を予防したり、火災や事故の発生を予防する努力の水準を低下させてしまい、結果として病気や事故の発生確率があがるリスクが生じ、結果として経済的な効率が保てないことを意味します。これに対応するためには、リスクの上昇を抑制するように被保険者へインセンティブを与えるように保険制度を設計することになります。今回のように、金融機関がリスクの水準を適切にできなかったこと自体は、現行の金融部門への規制でそのようなインセンティブを十分に考慮していなかったことが問題で、金融危機で金融機関を救済すること自体が「モラルハザード」と呼ぶのは、適当ではないのでしょう。もちろん、今後、金融危機を受けて制度設計の見直しが実施されるのでしょうが、モラルハザードが問題になるのは、金融危機を克服される過程での制度設計であって、救済に関しては別の問題になるでしょう。もちろん、政府が救済してくれるということが暗黙の了解となったときに、金融機関が自ら不良資産処理を行うインセンティブを低下させてしまうという意味でのモラルハザードが起きる可能性はあるでしょう。ただし、現状では、金融機関の資産の毀損を確定するには公的介入が不可欠だと思いますが。「自己責任」という倫理を強調しすぎると、逆に極度にリスク回避的になってかえってシステミックリスクの危険が高まってしまうので、お世辞にも合理的だとはいえないでしょう。現状では、9月と比較すれば安定していますが、過去の過度(実際にはどの程度が「適度」で、どの程度が「過度」なのかという基準は曖昧なままのような気がしますが)のリスクテイクの結果の処理は、モラルハザードの問題とは切り離した方がよいと思います。

 自動車産業の場合、さらに問題は複雑で、国際競争に敗れた企業を救済すべきか否かは、効率という観点からは正当化することは難しいでしょう。もちろん、ビッグスリーを救済しなければ、失業自体、大きな問題ですが、それにとどまらず、自動車メーカーが従業員に保障してきた年金や医療などの問題もあり、メーカーの救済は非効率な企業が市場から退場するのが市場経済では当たり前だという論理だけでは論じられないと思います。また、自動車メーカーを救済するなら、他の産業を救済しない理由を明確に難しいため、他の産業からも救済策を求める圧力が高まるという懸念もあるでしょう。ひどいことを言えば、農業保護などバカみたいにカネを使っているのだから、自動車だけを農業とは異なる扱いにする理由はないのではと思ったりします。ただし、それらは政治的な問題であって、いわゆる「モラルハザード」の問題との関係は希薄だと思います。


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2008年11月11日

衰退産業の構造調整

 『朝日』の「ビッグ3、国にすがる公的資金、生き残りへ頼みの綱」という記事を読みましたが、ちょっとだけ気になる数字が。「米国の自動車業界は産業の多様化とともに米経済での存在感は徐々に小さくなり、すでに国内総生産(GDP)に占める割合は3%」とありますが、以前はどの程度だったのだろうと。GDPの3%というと小さく見えますが、日本の場合でもほぼ同様の水準です。平成18年度国民経済計算 (平成12年基準・93SNA データはこちら)の「5. 付表」の「経済活動別の国内総生産・要素所得」のうち、「固定基準年方式 実質暦年」のデータから計算すると、1996年には輸送用機械が国内総生産に占める割合が約2.0%だったのが、2006年には約2.9%に上昇しています。また、農林水産業の場合、1996年には約1.7%のが2006年には約1.5%に若干ですが、ウェートが落ちています。産業の特性があるのでいささか乱暴ですが、GDPに占める割合という点からのみ見れば、自動車産業を救済すべきではないのなら、農林水産業も保護すべきではないでしょう。もちろん、悪い冗談ですが、金銭的な合理性からすると、自動車産業を保護すべきではないのなら、海外からの輸入によってある程度、代替することができる農林水産業保護など論外です。露骨に言えば、衰退産業への対応は経済合理性では説明がつかない部分が大きく、政治的問題としての側面が強いのでしょう。

 オバマ関連だったこともあって自動車産業が注目されたようですが、実体経済の低迷によって、金融機関の不良資産が拡大する状態が予想されます。AIGの救済に関しても、英字紙、邦字紙が報道していますが、TARPの目的であった、"troubled asset"の処理は景気悪化とともに困難を増してくる事態が予想されるでしょう。TARPで確保した7,000億ドルのうち、3,500億ドルは金融機関の資本注入に利用されましたが、経済情勢がさらに悪化してくると、7,000億ドルでも足りないという事態が生じるのかもしれません。可能性でしかありませんが、金融機関の"bailout"にさらに公的資金が必要となったときに、オバマは直接には議会、より広くは世論の支持をえるために腐心しなければならない局面がやってくるかもしれません。米自動車産業の救済が大きな論点であること自体を否定するつもりはありませんが、金融システムの安定は、あるレベルで抑制している段階で、それ以上の解決に踏み込むためには政権のリーダーシップと説得力が問われる厳しい局面もありうるでしょう。

 EU諸国内でも経済政策がバラバラだという指摘もありますが、アメリカをはじめ、金融システム不安をあるレベルまでに抑制するためには、金融機関への公的資金の注入や不良資産の買い入れなど納税者が不満をもちやすい政策的イッシューが国家間の協調以前に生じるでしょう。各国の政治的指導者の説得力が問われる厳しい局面が続くと思います。


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2008年10月27日

「バターも大砲も」という時代の終わり

 お金に関する話をネットで見ると、まったりと職人的なお話をされているところはホッとしますね。他方で、「オピニオン」がメインのところはとうぶん読まないでしょうね。新聞を読んでいたら、噴出しそうになるので、間違っても朝食後にコーヒーを飲んでいるときには読めません。利下げの是非はまだしも、売手を批判するというのはちとびっくり。インターバンク市場で「闇金利」でもつくれってことかとちょっとだけドン引きしますが、まあ、「寝言」みたいなものかなと思えば、心地よく、二度寝しそうになりました。今週は理由もなくスルーしてしまいましたが、先月の『サンプロ』で日経平均が1万円を割るという予想が悲観的すぎるというのが「エコノミスト」という方たちのコンセンサスだったそうで、奇怪な世界があるものだとびっくりしました。後出しじゃんけんですが、その頃、株式市場について尋ねられたら、今回の危機は、アジア通貨危機よりも厳しいのだから、そのときよりも悲観的に見る方が普通ではと答えておりましたが、「エコノミスト」と呼ばれる方たちはつくづく不思議な人種だなあと思いましたです。

 そうはいっても、記事が役に立たないとはいえ、新聞の株式相場欄を見ると、悲しいものです。しみじみ変な高校生だったのですが(たしか浜松市から静岡市に引っ越してから『中日新聞』から『静岡新聞』に変わった記憶がありますが)、一面から政治面、経済面をなめまわすように読んでつまらないなあと思って毎日見ていたのが、なぜか株価のところ。経済にはまるで興味がありませんでしたが、株価とドル円は毎日、見ておりました。「円高不況」で、父上がこれまで何度も修羅場を見てきたが、今度ばかりはもうどうにもならんとしきりに話していたせいかもしれません。ふと、郵便局と関係があるのかしらんという会社名が気になって父上に尋ねたら、海運会社とのこと。このように書くと、かえって深読みされそうですが、株価の水準を覚えているのが少ないのと、その中で社名が連続している会社が少ないことが理由です。

 株価だけ見ると、父上の勤務先と同じぐらいなので、小さな会社なのと尋ねたら、びっくりした様子で、「うちと比較するなんてとんでもない!」という反応でした。いい大学に入って、そういう一流会社に勤務してくれたらなあというのが、父上の願望だったようです。それにしても、金融セクターがボロボロなのは当然としても(失礼!)、私が高校3年生ぐらいのときに見た水準よりも一流企業の株価が下がっているのを見ると、この先、どうなるんだろうと。いくらでも後付けの理由なら探せそうですが、しみじみ市場というのは極端にぶれやすいものだと思います。2003年に冬を越したのに、日本経済にとっては春が短すぎたような感じでしょうか。ドルを支えることに反対するつもりはありませんが、足元をしっかり固めておかないと、現時点ですら、金融危機が対岸の危機という感覚が残っているようにも見えますので、危険な感じがします。

 それでも日本人は「冬」に慣れている部分があるのかもしれませんが、2008年のFT500のナンバーツーになったペトロチャイナがあっという間に3,000億ドル超から1,000億ドル超まで時価総額が低下するのを見ると、市場経済のおそろしさを初めて体験する国は大変だろうなあと。露悪的に言えば、ホッとしますね。英米の海上覇権が衰えて、新興国、とりわけ中国が経済的に力をつけ、それだけならまだしも腕力をつけるとなると、「日米同盟と国際協調」から「国際協調と日米同盟」へとウェートをかえて、リスクをヘッジする必要が生じるでしょう。時間稼ぎにすぎないかもしれませんが、アメリカ発の金融危機でアメリカのダメージも大きいですが、新興国の方がダメージが大きいのかもしれない。このあたりは、楽観も悲観も排して見ておいた方がよさそうです。経済のみで覇権が移り変わることはありませんが、その社会が使いうる資源の範囲をみておけば、長期での観測を、高い精度では無理でしょうが、意義あるものにするでしょう。

 それにしても、しみじみブッシュ政権というのは「大砲もバターも」という時代だったのだなあと実感します。両者は通常はトレードオフの関係ですが、ブッシュ政権は意図せざる結果として、「大砲もバターも」という異常な事態を継続することができました。大学時代に読んだ中村隆英先生の『昭和経済史』の章だったか、節のタイトルが確か「大砲もバターも」だったような。高橋財政の時代のことですが、日本は公債の日銀引受で、アメリカは投資銀行やヘッジファンドのレバレッジでそのようなトレードオフが存在しないかのような時代を演出したというのは「寝言」の域を超えているかも。それにしても、次期大統領が直面するのは、おそらくは景気後退下になるのでしょうが、「バターか大砲か」という通常のトレードオフであり、所得の減少を考えれば、普通の発想ではバターに極端にブレる可能性が高いと思うのですが、そのような観測が的外れなのかどうかを見極めてゆく必要があるのでしょう。もし、大砲をケチる状態が長期間にわたって続いた場合、米軍の抑止力が本格的に低下するだけでなく、覇権そのものが衰退するリスクを評価しておく必要がでてくるでしょう。もっとも、この国がアメリカの覇権を補完する勢力として生き残れるのかは別の問題としてあるわけで、リスクをヘッジする前に見捨てられる可能性の方がはるかに高いのでしょうが。


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2008年10月06日

アメリカのヴァイタリティが失われるとき

10月4日(土)

 午前9時頃にワーファリンを服用。起床後、むくみが残っているものの、外出を控えたためか、悪化しなかった。ただし、杖をもったまま、使わずに10分以上歩くと、むくみがひどくなり、杖が必要になる。

10月5日(日)

 完全に寝坊してしまう。たいしたこともしていないのに疲労のみがたまっている。午前11頃にワーファリンを服用。気がつくと、左のこめかみあたりにうずくような痛み。湿度が高いのは憂鬱。身体全般に異常が生じる。一日中、頭痛が激しく、思考が困難。幸い、日曜日であったことに感謝する。TARF成立に関する本邦の報道で見るべきものはなし。

 土曜に夜更かしをしたのは、久しぶりに『ウォール街』を見たからでした。1987年の作品ですが、冒頭と途中で流れるフランク・シナトラの"Fly Me to the Moon"がなんとも希望と繁栄、そして退廃を象徴するようで、聞き入ってしまいました。作品の主題から離れて場立ちなどが時代を反映していてすっかり懐古趣味に。この映画を見た頃は大学に入学したばかりでしたが、どちらかといえば、アメリカの「資本主義」(最近はこの言葉が私にはあまりに難しすぎるように感じますが)がダメになって、「日本型資本主義」の時代がくるという話のひきあいに出されていたような印象があります。根っからひねくれ者の私は(両親とも子育てに失敗したと絶望されていますが)、この映画のクライマックスの一つ、テルダー製紙の株主総会におけるゴードン・ゲッコーのスピーチの通り、"greed"をあからさまに肯定するアメリカが復活するんだろうなあと大学の先生や先輩連中の話を聞きながら感じていました。言いにくいのですが、1992年の時点ではまさか21世紀まで不良債権問題を引っ張るほど、この国がダメだとは思わなかったのですが。

 オリバー・ストーン監督のメッセージは、バドのお父さんに込められているのでしょうが、なんとなく当時でさえ、その方向でのアメリカ経済の「再生」はないんだろうなあと思いました。頭痛の名残があるせいでしょうか、当時の大学の講義を聴いていて、「アメリカ人はく○んぼが多いから労働生産性が低く、日本には勝てない」とか、「会社を売買の対象とするなどアメリカ型資本主義はいずれ行き詰まる」とか、挙句の果てには「小選挙区制で選出されたアメリカの議員の質は劣悪極まりない」とかアメリカの没落を予測する言動に満ち溢れていました。他方で、マクロレベルでは財政赤字と貿易赤字の「双子の赤字」があって、アメリカ経済はいずれ破綻するという見方も散々、聴かされました。率直に言えば、私自身、アメリカ経済の放つ強烈ないかがわしさを感じましたが、同時に市場経済なんていかがわしいがゆえに発展するものではないのかとも思いました。「欲」に善悪を持ち込むこと自体がはるかにいかがわしいですから。

 The new law of evolution in corporate America seems to be survival of the unfittest. Well, in my book you either do it right or you get eliminated.

 ゲッコーのスピーチは市場における「弱肉強食」へとを導く以外、衰退を避けることはできないと主張していて、それがすべてではないにしても、市場の本質の一面をここまで表現するのは露悪的としか言いようがありません。正確には、このスピーチの前後では微妙ですが、ここでの「自然選択」の主体は企業であって個人ではないのですが。このセリフを聞きながら、当時、勢いが盛んだった邦銀もいつかは敗者になるのかもしれないと感じたりしました。

 懐古趣味に浸りながら、現在に戻ると、危機を克服しては経済のみならず、多方面で世界への影響力を強めたアメリカが今回の危機を克服できるのだろうかという疑問を反芻しました。現状では、ウォール街のいかがわしさへの反発が非常に強い。それ自体はごく自然でしょう。しかし、欲といういかがわしさの根源そのものが失われてしまえば、アメリカは再び、世界経済の中心に戻ってくることはないのかもしれない。欲というのは、ゲッコーのスピーチとは異なって善悪にはなじまない。欲が強烈なほど、そのいかがわしさに人々は辟易するけれども、それは人間味の発露であって、今後の国際金融が以前のように緩やかな規制では済まないかもしれませんが、欲そのものを否定しかねない状態になれば、アメリカの時代は終わるのでしょう。現状では1980年代のような荒々しさをもって復活する確率はかなり低いと感じておりますが。


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2008年10月02日

"divided government" 苦難の道

 日記ではなくて「寝言」なのですが、今回の病状の経緯は治癒したとしても、記録しておきたいので、読者無視ですが、しばらく続けることにいたします。

 朝、6時頃、朝食後、ワーファリン6mgを服用。8時頃、嘔吐、頭痛がひどく、午前の会議をキャンセル。午後も、吐き気が強く、37.5℃の発熱。前回にない症状で、ワーファリンの副作用なのかは不明。会議の結果、来週より午前8時頃までには出勤しなければならないが、足の腫れがいまだにひどく、立ち仕事だけに耐えられるかどうか。6時半ごろには電車に乗れば間に合うので、混雑による不自由さが回避できるのが救いか。正常な判断力がワーファリン増量後、保つのが困難になっており、午後、出勤するも、進捗なし。2004年は長湯は禁物といわれたが、月曜日の晩にぬるめのお湯に30分ほどつかっていたら、むくみがとれ、呼吸も楽になり、動悸も収まった。血管が拡張して溶解していない血栓の動きが気になるが、しばらく長湯でリラックスを続けるのがよいのだろう。

 当然なのかもしれませんが、あれがダメならこれとブッシュ大統領の意思の強さは、一時的な悲劇を招いたこともありましたが、やはり感服します。下院の否決を受けて、「元老院」(上院)で成立させ、再び復活を図ろうとしています。この巧拙は疑問も残りますが。米紙の報道もまちまちで、相変わらず不透明感が強いようです。アメリカの議会の混乱を見てアメリカも日本と変わらないじゃないかという声が多いようですが、下院の"messiness"にもかかわらず、勝海舟の一言がなんとなく浮かびます。

 左様、少し眼に付きましたのは、亜米利加では、政府でも民間でも、およそ人の上に立つものはみなその地位相応に怜悧で御座います。この点ばかりは、全く我国と反対のように思ひまする(『氷川清話』講談社学術文庫 2000年 262頁)。

 FF金利は9月26日に1.08%に低下したものの、9月29日には上昇し、9月30日には2.03%と政策金利をわずかながら上回っています(参照)。ど素人なのでなにか勘違いをしているかもしれませんが、政治的意思決定が遅れている間、中央銀行が介入で支えるのは限界に達しつつあるのかもしれません。システミックリスクを金融当局だけで回避するのはかなり厳しい序協に来つつあると思います。9月29日に0.06%まで低下したT-Billも1%台に跳ね上がっており、3ヶ月物が低下しているものの、「質への逃避」どころか安全資産が見当たらない心理的なパニックが金融市場で続いているのでしょう(参照)。

 10年物国債も緩やかですが、金利上昇の傾向にあり、"Bailout Plan"が成立しても、実際に機能するのにはラグがあるでしょうから、非常に危険な状態だと思います。不成立の場合にはシステミックリスクの顕在化は避けられないでしょう。預金保険額の引き上げは、アメリカでは議会の説得という要素が大きいのでしょうが、万が一のときに備えることで少しは不安を和らげることができるでしょう。ただし、各紙が指摘しているように、財政赤字リスクを高める懸念はしごく真っ当ですし、システミックリスクが顕在化したときにFDICが耐え切れるのかどうか。もともと、"Bailout Plan"は、打ち出の小槌ではなく、相互不信を増幅させている住宅関連を中心に証券化商品をオフバランスして塩漬けにして、CDSによる負の圧力を抑制し、市場が短距離走に流れて自滅しかねない状況をマラソンレースに変えるという話だと考えておりました(素人なので、あくまで「寝言」ですが)。この1週間程度でないよりもマシになり、マラソンレースにしても耐え切れるかどうか、わからなくなったように思います。

 アメリカの政治制度も素人ですが、アメリカでは行政府とは異なる政党が立法府で多数を占める状況を"divided government"と呼んでいるそうです。この状況では上院に強い権限を与えることで、緩和するしくみになっているようです。ただし、今回のように予算がからむ法案の場合、安定化のしくみが機能不全に陥るリスクがあるのでしょうが。ただ、大統領制の下では"divided government"は例外というよりも、「有権者のバランス感覚」なのかは不明ですが、むしろ統治のあり方の一つという状態のようです。

 今回は、"divided government"に対応するプロセスで蓄積された様々なノウハウが機能しなかった。ブッシュ大統領も「レイムダック」状態で調整しきれなかった。それでも、ブッシュ大統領は限界がある中でありとあらゆる手を打ち、事態の重大さを考えれば当然ではありますが、収拾に全力をつきしています。これが不首尾に終わる可能性も無視できませんが、アメリカも日本と同じだねというシニカルな気分にはなれないです。議院内閣制ですから単純には比較できませんが、昨年の参議院選挙後のどこかの島国の政治的混迷を見ていると、アメリカ政治が最悪の状態に陥っているのにもかかわらず、なんともいえないやるせなさを感じてしまいます。


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2008年09月24日

分権的意思決定メカニズム自壊の「歯止め」

 人間というのは最悪の事態にも慣れてしまうと鈍感な私はよく感じます。「人口減少社会」とはいえ、都市部はいまだに人口密度が高く、人と接触するコストを低く見積もるタイプがある確率で存在する以上、もはや自然現象として受け入れるしかない。間違っても他人の悩み相談に積極的に乗る、心優しい人間ではありませんが、たいていの場合、時間が解決する。早いにこしたことはないのですが、個人の問題というのは本人の切迫感にもかかわらず、まずはそういうものだと自分と環境を受け入れると、たいていの場合、解決しているものです。もっとも、だんだんと組織もそういうゆとりを失いつつあるようにも見えますが。

 しかし、やはり社会の問題というのは対応が速いのがベストであって、月曜日のアメリカ議会は民主主義の最悪の側面を見せてくれます。New York TimesでもWall Street Journalでもなんでもよいのですが、あまり主観が入っていないだけに、かえって絶望的な気分にさせてくれます。もちろん、文字通りの意味で望みが絶たれたというわけではないのですが、借りて保護はどうするのとか、納税者の負担が大きすぎるとか、しごくもっともな意見で議論が紛糾する間に、どれだけ費用が膨れ上がって行くのだろうかという感じです。誰が好き好んで銀行を助けよというものか。事態を放置して信用秩序が崩れたときの災厄があまりに大きいことは過去が示していて、繰り返しているのにもかかわらず、人間というのは変わらない。ブッシュ大統領が、"Given the precarious state of today's financial markets―― and their vital importance to the daily lives of the American people――government intervention is not only warranted, it is essential."とコミットした以上、元に戻ることは出来ないでしょうが、巨額の"bailout plan"に反発している間に、7,000億ドルで足りるのだろうかとすら思えてきます。サンクコストを回収しようとすると碌なことがないのですが。もっとも、今アメリカで進行している事態は、これから将来も他国でも繰り返される光景のような気がしてなりませんが。

 それにしても、こちらを読むと公式声明をきっちりと読むのが肝心だと実感させられます。ポイントの部分で、笑うところではないのですが、つい噴出してしまいました。"We are ready to take whatever actions may be necessary, individually and collectively, to ensure the stability of the international financial system."とあって、国際協調とはいえ、戦争と同じではないにしても、よく似た状態だなあと。笑ってしまった後で、金融危機であれ、政治的・軍事的危機であれ、個別の国で対応できない問題には集団的に対処するという発想になじむのは、ひょっとしたら非常に難しいことなのかもしれないとも思いました。新聞など読まなきゃよかった。MUFGがモルガン・スタンレーに出資するという話がなんだかひどく好感をもって受け止められているようで、ひょっとしたら幻で終わるかもしれないし、下手をすると、最大で10億ドルに満たない程度の出資なんて議会の審議が一日遅れるだけで溶けてしまうかもしれないよとかひどいことを考えてしまいます。ああ、この国のジャーナリストは徹頭徹尾、対岸の火事なんだなあと感じ入ってしまいました。もちろん、けっして分の悪い賭けだとは思わないですが、もはや業態の問題ではなく、"Doomsday Machine"が敵味方(旧投資銀行よりも投資銀行を飲み込んだ商業銀行の方が体力を試されている)なく、皆殺しにしようとしている状態ですから、リスクも相当あるわけです。他人に向かって「リスクをとれ!」とお説教するのは簡単ですけれどもね。たいていの場合、ご本人は安全地帯にいる。

 煽りが嫌いな伊藤洋一さんらしく、さりげなくG8ではなくG7による共同声明であることに触れて、「この声明はポールソンの呼び掛けで行われたそうだから、アメリカは『ロシアを外した』とも読める」と実に簡潔に述べられています。もともとロシアに声をかける気がなかったのか、ロシアとの折衝で意味がないと感じたのか、背後がつい気になるところですが。一方が勢力圏の拡大を当然の権利とみなしており、他方がそういう発想は古いと感じている場合には思わぬ見込み違いが双方に生じるものです。『読売』が報じた欧州委員会の「技術的なミス」を確認しておりませんが、海外でも出来レースと見られているのかと反発するよりも、「自由と繁栄の弧」の提唱者はEUでも歓迎されていると済ましこんでおく方が、大人かどうかはわかりませんが、精神衛生にはよいのでしょう。それにしても、今回の金融危機で民主主義諸国の「兵站」が傷むのは避けられないでしょうから、そこを狙ってくるのはごく自然な感じです。ロシアの行動を正当化しようというわけではないのですが。軍事的なコミットメントなしでロシアと交渉しようとするのはばかげた話だ。お互いが食い違った状態で批判をしたり、コミットメントなしで交渉せよと空理空論がでてくるのは、やはりアメリカをはじめとする民主主義諸国の兵站が伸びきっており、「銃後」が動揺している現実を反映しているのでしょう。

 経済危機と政治的・軍事的危機はしばしば重なり合って生じる。なにか法則性というほど厳密な関係はないのでしょうが、連日同じ対象を見ているのは、なんとなく惹きつけられるものがあるからなのでしょう。それにしても、「拝金主義」がけしからんとかのたもうている新聞が「日本勢 海外攻勢の好機」なんて下劣な見出しを平気でつけているのを見ると、この国の「インテリ」とみなされている人たちの知的水準がひどいものだと脱力する日々です。もっとも、サンクコストを覆水盆に返らずと割り切ることは分権的意思決定メカニズムの下では時間がかかること(アメリカのスピードはそれでも世界最速でしょう)を実感する日々をすごしている私はいっちゃっている可能性が高いのですが。現実問題としては、解がもはや他にないことは自明でしょうから、議会がどの程度の日数で解を解として煮え湯を飲むかの問題だと見ております。


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2008年09月23日

現在と将来を結ぶのは誰?

 連休明けの連絡のおかげで念のため療養期間を一週間伸ばしましたが、さすがにいつまでも「ひきこもる」わけにもゆかず、出勤しました。杖を使うのもおおげさですし、この数日、ちょっとずつ歩く時間をのばしたところ、20分連続でもむくまないので、杖なしで「出動」しました。帰ってくると、もうふらふらです。やはり、足のむくみがきつい上に、いつも通り、スーツをばっちり決めている方に背後から押されて、疲れきってしまいました。自宅と職場は快適なのですが、途中が嫌で嫌でしょうがない。さすがに3週間も休んでいると、手を打っているとはいえ、片付けないと済まないことが多く、勤務先ではインターネットにまったく接続しない専用回線で業務をしなければならないので、火曜日も出勤です(ひどいことを書けば、下手な役所よりセキュリティが高い)。ちと欝ですね。病気さえなければ、海外の方がいいなあと「寝言」というより、独り言。

 それにしても、帰宅するとニュースの山でびっくり。国内のニュースはどうでもよく、まず、アメリカの二大投資銀行が銀行持株会社への移行。グラス=スティーガル法による銀証分離がどうたらこうたらという解説が英語で読める範囲では多いのですが、当面はそんな話ではなくて、要は公的管理の下に入る、あるいは資産の切り売りをする準備ではないかと思っていたら、『日経』のHPを見てさらにびっくり。MUFGがモルガン・スタンレーの第三者割当増資に応じ、出資額が最大で9000億円程度に上るとのことで、昨年のCICによる資本注入での騒ぎはなんだったんだろうと思いました。これも、"Bailout Plan"が成立しそうだという見込みのもとでの動きなのかどうか。この状況下ではある程度の規模をもっているところでなければ動けないのでしょうが、MUFGが手を上げたというのは、過去形になったとはいえ、二大投資銀行ですら、資金がとれなくなっていたという切迫した状況を象徴していると思います。あれこれ政治も絡んだ深読みも可能でしょうが、あまり興味がないので、成否はわかりませんが、公的なレベルだけでなく、民間レベルである種の「国際協調」が形成されるプロセスなのかもしれません。

 頭が混乱したところで、伊藤洋一さんの『住信為替ニュース』(第1939号) 2008年9月22日)を拝読したところ、恐ろしいまでにクリアカットな問題設定と分析がされていて、脱帽しました(実は私自身はブログ形式ではない、従来のサイトへアクセスすることがほとんどですが)。自分であれこれ迷いながら整理したことがゴミくずのように思えてきます。それにしても、頼もしいレポートです。「不良債権買い取り機構」に関する分析の前に問題を的確に整理されていて、現状では日本語で読めるベストの分析の一つではないかと。伊藤洋一さんの問題設定ですぐれいてるのは、「6. 一時的な不安定は収まっても、それは『市場』への不信として残らないか」という点で、現在の混乱を考えると迂遠なように見えますし、この問いにすぐに解答を急ぐ必要はないと思いますが、実は、このような視点を提起している方は、私が知らないだけかもしれませんが、他にいらっしゃらないように見えます。くどいようですが、当面は金融危機を乗り切ることが大切ですが、乗り切った後にくる世界ということも考えておく必要があるのでしょう。

 「続き」は伊藤洋一さんの提起した問題について「寝言」というよりも、「とんでも」の感覚で考えて綴ったものです。「と」が好きな方は、祝日の暇つぶしにどうぞ。お天気がよさそうですから外で日光を浴びる方が健康的ではありますが。ひがみですが、私は仕事があるんですけれどね……。


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